22話 支部急襲
「真さん」
「なんだ」
「真さんが前に行ってた遠征任務って支部に行ってるんですよね」
「そうだ」
くだらないことを聞くな、と言わんばかりの視線が痛い。
「支部には真さんとかボスみたいな上位者っていないんですか?」
「基本はいない。本部ですら上位者の数はそこまで多くないんだ。支部に上位者を割く余裕はない」
「なんでなんですか?」
チッ!と舌打ちが落ちた。
「そもそも[Spes]での順位は金による支配も含まれてる。ということは必然的に人と金が集まる街で上位者が多い。それに登録するための[Spes]は本部にしかない」
「なるほど、だから支部には上位者が少ないんですね」
「まあ、基本といったように支部によってはいるがな」
真さんは嫌そうな顔をしている。
おそらく苦手な人物なんだろうと察しがつく。
「おしゃべりはこの辺にしろ」
空間が歪む。
一瞬遅れてフィールドが展開される。
「そろそろ使いこなせそれ」
——稲妻が走る。
「俺が一番思ってますよ」
真さんの雷のような拳が迫り、目の前で止まる。
「?」
——ビーッ!ビーッ!
警報だ。
俺が公安に入ってから初めて聞く。
(緊急事態発生、緊急事態発生。)
(本部内にいる全職員はブリーディングルームに集合せよ)
「なにか、起きたんですかね」
「この警報が鳴って、何も起きてないはずがないだろ…」
急いで訓練場を後にする。
——ブリーディングルームに到着した。
講義室のような広い部屋だ。
100人は軽く入る。
後ろから3課、2課、1課の順に座っていた。
部屋内はざわつき、人でごった返していた。
真さんと二人で席を探していると、
「こっち!真さんかみっちゃん!」
風間さんに呼ばれ最前列に着席する。
風間さんの横には霧島がすでに着席していた。
教壇にはボスと鷹見さんがあわただしく2課の面々と話している。
来た当初はざわつきがすごかったが少し落ち着きを取り戻し
隣だけ聞こえるほどの声で、風間さんに尋ねる。
「何があったんですか?」
「俺も詳しく知らへんのやけど支部がどうたらって言ってたで」
「支部?なんでしょ…」
こそこそ話していると、マイクの大きい音にかき消される
「諸君!よく集まってくれた。」
鷹見さんの声だ。
さっきまでの喧騒が一気に止み静寂になる。
「まず状況を説明する。先ほど、第2、第3支部から応援要請が来た。レクトルからの急襲を受け大打撃を受けている。確認できたレクトルのメンバーは第2にインヴィク、第3にはデモンという情報を受けた。」
どよめきが起こる。
公安が持つレクトルの情報は少ない。
その中でも何人かのメンバーのコードネームはわかっていた。
インヴィク、デモンはレクトルの1・2を争う強者である。
その名を知る者が多く、場がどよめいた。
「本部からは応援を出すことを決定した。第2支部に1課:鳴神真 第3支部には——」
「俺が行く!!!!」
鷹見さんの言葉にかぶせ、ボスの鬼塚さんが叫ぶ。
「この両名そして2課3課の対策部隊に出てもらいます。編成は各課で行い、10分後には出発してもらいます。そのほかのものは本部にて待機、何があっても動けるようにしてください。以上!解散」
鷹見さんの号令の瞬間には全員が動き出していた。
ただ一人
――俺の隣の人を除いて。
フィールドも出ていないのに、
空気がビリついている。
「なんであの野郎が…俺を誘ってんのか…」
真さんが今までない顔をしている。
怒っている。
声を掛けることもできない。
真さんが席を立つと、
「お前らは待機だ。本部は任せたぞ」
空間が歪む。
一瞬遅れてフィールドが展開される。
真さんと鬼塚さんは能力を使い最速で支部に向かった。
2課3課は急いで編成出発の準備をして約5分後に後を追いかけた。




