第21話 特例
目の前の結晶に懐かしさを感じる。
真さんが俺に言う。
「お前、登録したことないんだろ。やってみろ」
真さんと入れ替わり結晶の前に立つ。
ゴクリ。少し緊張する。
この懐かしさの正体も使えば分かるのか?
俺はこれに登録してないのに能力を使えてるんだよな。
そんなことを考えながら手をかざす。
真さんの時と違い白く発光する。
眩しくて目が開けられない。
「うわ!何ですかこれ!」
「登録時の発光だ。気にするな、それより本当に未登録だったとはな。」
そういうことは先に言ってくれよとつっこみたくなる。
光が収まっていき、登録が完了したらしい。
[999999]
特:神城透
力:?
金:?
支配:?
2人しかいない部屋で数秒の静寂。
「これって…変じゃありません?」
「ああ。だがお前はやはり特例だって事だな。」
真さんは腕を組み考えている。
懐かしさの正体は、結局分からなかった。
「おい、フィールド出せるのか」
「あ、やってみますね。」
空間が歪む。
一瞬遅れてフィールドが展開される。
「あれ……出来る。前まで、出来なかったのに。」
以前は能力発動はできたが、上位者のようにフィールド展開ができなかった。
なぜかできるようになっていた。
「フィールドも展開できて能力も使えるのに999999位ってどうなってる」
少し考え、
「能力に変化は?」
真さんの方を見てみる。
[3]《SSS》
「真さんの順位が見えます!」
「俺の順位も見えるのか。なら全員見えるな」
真さんをじっと見つめる。
「いつまで見てんだ」
軽く睨みつけられる。
「あ、いや…なんか変なんです」
「どういうことだ、分かるように話せ」
自分に起きている現象が説明できない。
ただ睨みつけられるより先にそのビジョンが見えていた。
「前より…はっきり見える。
しかも、目と頭も…痛くない…」
——バチッ!
雷が疾るように、真さんが拳を振る。
…見える。真さんの拳が。
首だけで躱す。
ブンッ!
耳元で拳が空気を押し出す音が聞こえる。
ギリギリで避けたため、静電気がパチリと起こる。
「ほう。本当に見えてるようだな」
真さんは驚くよりも喜びの表情を浮かべる。
これ…おもちゃにされるんじゃ……
「バカ弟子!その能力見極めるぞ。」
足早に部屋を出ていく。
「待ってくださいよ!!」
慌てて追いかける。
最後にチラリと[Spes]を見る。
結晶の中に文字が見えた気がした。
[あの人を…止めて]
もう一度見た時には文字らしきものはなかった。
(今のは…なんだ?)
——もう一度見に…
「早く来い!!」
やばっ!
声に驚き考えるのをやめ、
真さんを追いかけ部屋を後にする。




