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第20話 Spes

「998……999……1000。」


ポタポタ汗が滴る。

薄暗いトレーニングルームで1人腕立て伏せを終える。


朝の空気が白く揺れている。

身体から立ち上がる湯気が、それを歪ませている。


「…終わりだ。真さんに報告するか。」


あの日から約3ヶ月。

俺は真さんから命じられた身体能力の強化を実践した。


「お前は能力も弱い、身体も弱くてどうする」


ごもっともである。


3ヶ月間はひたすらトレーニングの日々


走って、鍛えて、飯を食う。


トレーニングが終われば真さんの元へ行き、型練習と実践訓練。


そうして3ヶ月。


いつも通り真さんの元へ向かうと

そこには霧島がいた。


「今日の相手はこいつだ」


「霧島…ありがとう!よろしく!」


——あの日から俺は変わった。

迷惑をかけた全員に、謝りに走った。


霧島に謝った際は


「お前のせいではない。私も弱かった、

これから強くなるんだ。2人で。」


「ふ、2人で?」


「っ!ばか!言葉の綾だ!」


少し焦り、顔を赤らめていた。


笑っていたら木刀で殴られた。



あれ以来なので、会うのは久々な気がする。


「鳴神さんに頼まれたから来てやったんだ!勘違いするなよ!」


なぜか少し怒ってるように見えるが、よく分からない。


「ああ。分かってる!」


「もういいか?早くしろ」


真さんが呆れた顔をしていた。


特殊訓練場で2人で構える。


「いいな、能力の全面使用を許可する。最悪俺が止める」


「「了解!」」


「私もいますからね〜」


ひよりさんが真さんの後ろで跳ねている。


「始めるぞ。」


2人の間に緊張が走る。


霧島は二刀流を構えている。


両方ともが小太刀のような長さである。


俺も半身になり鉄甲をつけた拳を構える。


相手は真剣だ。わずかに拳に力がこもる。


真さんは2人が構えたのを見て、ゆっくりと腕を上げる。


「始めっ!!」


片方の小太刀を振り斬撃を飛ばしてくる。


飛んでくる斬撃と同時に霧島が踏み込んでくる。


左の鉄甲で斬撃を弾き霧島の切り込みを躱す。


2刀で絶え間なく斬りつけてくるが足でステップしながら躱す。


連撃の後、少しの隙にジャブを喰らわす。


「ぐっ。」


「少しはやるようになったな」


「このまま勝たせてもらうぜ!霧島!」


「…調子に乗りやがってあのバカ」


霧島は再度突っ込んでくる。


ズバッ。


足元が切れる。


なんだ?見るとそこには


さっき放たれたはずの斬撃が残っていた。


(さっきのやつか)


逃げ場がない。目の前に霧島が迫っている。


何個かの斬撃を喰らいながら前へ


「うおーーー!」


スローモーションの世界で2つの小太刀を見切り


そこにカウンターの拳を置く。


(——届く!)


雷が疾る

霧島と俺の間に真さんが立ち、攻撃を止めている。


「真さんなんで!」


「よく見ろ」


真さんは霧島の刀の先を掴んでいた。


見えない刀身を伸ばしていたのだ。


「その程度の使い方なら、能力の意味がねぇ。バカ弟子」


「す、すいません。」


「ここまで成長してるとは思わなかった。すごいな」


霧島は驚きの表情を浮かべる。


「そうですよ〜カナちゃんとほぼ互角に戦えるなんて公安に入って半年で相当強くなりました!」


「まだまだ甘ぇ。能力は使いこなしてこそだ」


ひよりさんは励ましてくれるが真さんの言葉が重い。


蛇喰との戦いで咄嗟にできた"心眼"はこの3ヶ月で1回しか成功していない。


ほぼ毎日真さんに教えてもらってるのに。


「霧島。お前もまだまだだ」


「鳴神さん、私にも稽古を!」


「誰に師事すべきなのかお前が1番分かってるだろ。俺じゃない」


ここ3ヶ月霧島は自身で鍛錬をしていたらしい。

だが、成長にも限界を感じているという。


(でも真さんより適任なんているのか?)

疑問を残しつつも霧島と別れる。


「バカ弟子。そろそろ身体も追いついてきた。能力の方に移るぞ」


「能力?この目ですか?」


「そうだ。そもそも上位者でもないお前が能力を使えること自体がおかしい。前例がない。」


「それは鷹見さんにも言われました。」


師匠について行きながら知らない道を通る。


「俺も鷹見も失念していた。お前が[Spes]に登録してないって事実をな。」


地下のさらに地下にくる。


「鳴神さん。お疲れ様です。」


扉の前に、見たことのない人たちが警備している。


「こ、ここは?」


「黙ってついて来い」


扉を開けると部屋の真ん中にクリスタルのような結晶がポツンとある。

部屋にはそれのみで他にはなにもなく空気の循環だけが感じ取れる。

神秘的な空間だった。


「普通の公安は全員ここを見たことがある」


結晶の前まで歩く。

空気が、わずかに重くなる。


真さんが静かに手をかざした。


[3]

鳴神真

力:6

金:4

支配:6


表示される。


「これって。まさか…」


「—— [Spes]だ。」


懐かしさを感じていた。

——触れたことがあるような、そんな感覚。


まるで、ずっと前から知っていたみたいに。

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