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第19話 ありがとうの答え

俺はまた治療室にいた。


「透くん。大丈夫?」


ひよりさんが顔を覗く。


何が"大丈夫"なのかは、分かっていた。


「俺は…大丈夫です。」


特に意味はないが下を向く。


「全然大丈夫じゃないわね!カナちゃんが言ってた通りだわ!ほんと!!」


ぷんぷんと頬を膨らませる。


「霧島が何か言ってたんですか?」


「そうよ!カナちゃんすっごく心配してたんだからね!カナちゃんも透くんも責任を感じすぎよ!」


「でも、俺が弱かったから。何も出来なかったんです。それは……変わらないんです。」


「全くその通りだ。」


背後から声がした。


声の先に鳴神さんが立っていた。


手には、ボロ雑巾のようになった風間さん。


「また頼むわひより」


雑に投げ飛ばす。


「もう、またー?葬儀以来毎日これじゃないの」


「知るか。こいつから毎日くるんだ。」


ひよりさんが風間さんに駆け寄る。


鳴神さんが俺を見る。


「お前が弱い。それだけだ。」


胸がズキッと痛む。


「でも……」


「変わらねぇ」


被せられる。


「お前が多少強くても、結果は同じだ。」


「牧が死んだのは、あいつが弱かったからだ」


「っ……」


言葉が、出ない。


ひよりさんが割って入る。


「真くん!違うでしょ!透くんは…」


鳴神さんが目の前にくる。


「お前どうしたい」


「この先」


「俺は……」

言葉が出なかった。


「牧から伝言を預かっている」


無造作に紙が投げられた。


震える手で手紙を開く。


———


真さんへ


うちに面白いやつが来ました。


上位でもないのに能力が使えて、順位が見える。


最初はボコボコでしたけど、コツ掴んだらすぐ伸びて。


俺と凌に似てるんですよ。


多分こいつ、真さんが言ってた“心眼”できると思うんですよ。


帰ってきたら、一回見てやってください。


牧原山岳


———


涙が滲む。


「なんで……」


「なんで俺なんかを……」


「知るか。そんなもんはあいつに聞け」


少しだけ、間が空いた。


「……最後、お前を責めたのか」


「……」


思い出す。


最後のあの時、牧さんは。


「…ありがとうって」


「俺に…言いました」


「なら、それが答えだ。」


それだけだった。


それだけで、十分だった。


涙が止まらない。


「……っ」


拳を握る。涙を拭う。


顔を上げ前を向く。


「俺…強くなります」


「このシステムを、全部を壊すために」


鳴神が一瞬笑った。


「少しはマシなツラになったな。バカ」


——前を向けた気がした。


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