第14話 剣聖の血
「先に行け!」
そう言って神城を牧原さんの助けに向かわせたが、神城で役に立つだろうか。
少し心配になるが今はそれどころではない。
目の前には刀堂景虎と名乗る剣士がいる。
雰囲気と間合いでかなりの強さなのがわかる。
しかも霧島家を知っている。負けるわけにはいかない。
「いくぞ。」
——来る。
ガキンッ!!
重い一撃。
腕が軋む。
……速い。
そして重い。
刀の重みで受けた瞬間、腕が沈む。
「我の剣を止めるとは。」
「やるな。さすが剣聖の血筋だ」
力を込め弾き飛ばす。
何度も受けるのは危険だな。
「まだまだいくぜー!!」
刀堂のスピードが上がる
能力か。
キンッ!キンッ!
鋼がぶつかり、火花が飛ぶ、
徐々に押され始めていた。
「やはり女はこの程度か」
ふと刀堂が言った
「貴様。」
私は剣術の家に生まれた。父、祖父は時代の剣聖と呼ばれ道場には人が殺到していた。
祖父は跡取りが欲しかったが
父の元へ産まれたのは私だった。
——女が刀など。やはり女か。
祖父の目をいまだに覚えている。
「女でも刀には関係ない!!!」
その場で刀を振る。
ブンッと風を切る音がする。
「なにを。」
刀堂の体に刀傷がつく。
鮮血が舞う。
「飛ばしたのか?斬撃を」
傷を触りながら笑う。
飛ばす斬撃。
距離によるが連発はできない。
「舐めるなよ。私を」
刀を握り直す。
「おもしれえ。楽しめそうだ!!」
刀堂が先ほどより早い速度で切り掛かってくる
火花が散る。
一瞬の交錯。
気付けば——互いの体に浅い傷が刻まれていた。
受けに入った瞬間
懐が空く。
ドンッ!!
腹に衝撃が突き刺さる
刀堂の蹴りが入る。
「っ…」
何かが折れた感覚がした
肋骨がいったか。——問題はない。
刀堂の身体は私よりも多くの傷がついている
「楽しいなー斬り合いは〜」
「ふん。貴様だけだ。」
上階から轟音が鳴り響く。
少し焦った。
「上も楽しんでるようだな。」
急がねば。
「すまないが。遊びはここまでだ。」
私は顕現させた大太刀をしまい、
両手に太刀と小太刀
空気が変わった。
「いいねえ。…本気の斬り合い!最高だ!」
——少しの静寂の後、上の階から乾いた発砲音が響く。
先に刀堂が動く、
キンッ
刀堂の刀を小太刀で軌道を逸らす
太刀を振る
刀堂は無理矢理身を引き躱す
躱したはずの刀堂の身体に、傷が走る
——飛ばす斬撃の応用。
見えない刀が、空間を裂く。
初見では、躱せない。
「!?」
「——遅い」
刀の重さを消す。
振った瞬間
音すらも置き去る。
「ガハッ!」
刀堂の体に、無数の斬撃が刻まれる。
そのまま——崩れ落ちた。
刀堂の口元が、わずかに歪む。
倒れたはずなのに、満足そうだった。
「はぁはぁはぁ。」
ギリギリだった。
いくつもの切り傷からは血が出ている。
能力の使いすぎにより体がうまく動かない。
近くの柱まで行き、
その場に座り込み切り傷の止血をしつつ回復を待つ。
「神城……牧原さん……」
嫌な予感がする。




