モブ、絡まれる。
本日は王城でお茶会、王太后ラファエル義母様と王妃エリザベート義姉様とです。
なんかアレですね、慣れとは恐ろしいものです
顔合わせの時はカチコチ緊張して居たのが、今やそこそこ緊張までに落ち着きました、これは中々の進歩ではないですかね!
度々王城を訪れていると王妃様達の周囲を固めるお姉様騎士とは仲良く、更にその周りを固める近衛騎士団の騎士様達とも多少顔見知りになります。
顔を合わせれば会釈したり、小さく手を振ったり程度ですが・・・
最近気付きました、一部の騎士様に「酒の姫」やら「肉の姫」と呼ばれている事に。
あれですね、騎士団の野営に参加した後に手間と迷惑を掛けたので差し入れを贈ったのですよ、賄賂と言われない程度にお酒とお肉を、そこから来ているあだ名の様なのですが「酒の姫」はまだ良いですけど「肉の姫」って何か卑猥なので止めて頂けませんかね?
私の考えが汚れているだけですか、いえ止めて頂きたいですわね・・・
それをラファエル義母様とエリザ義姉様に話すと
「卑猥ね、リリアンちゃん」
「卑猥よ、リリアン」
「何か私自身が卑猥と言われているように聞こえます・・・」
気の所為ですか?
「あらやだリリアン、貴女ヴィルと卑猥な事はしていないのかしら?」
ぴく、と反応してしまい、しまった!と思っても手遅れである
「あら、その反応、何かあるのかしらねラファエル様」
「ええ、気になるわ、ねえエリザ」
これは、やられましたね・・・
「ラファエル義母様、エリザ義姉様、ヴィーに何か言いましたね・・・」
ジトーっと睨みますが、御二人は何処吹く風
「そんな怖い顔をしないで、何かとは何を指しているのかしら?」
「そうよ、具体的に言わないと解らないわ」
ほほほほ、と御二人とも悪い高笑いですね・・・
「な、何って、少し前からヴィーのスキンシップが、は、激しく・・・」
顔が熱い!何を言わせるんですかもう
「あら、リリアン結婚まで2年切っているのよ、今の内に慣れておかないと貴女大変よ」
「そうね、わたくしが産んでおいて言うのも何だけど、ヴィルの体格とリリアンちゃんの体格差は、ねえ」
「何か、至極まともな様子で私の為と言ってますが、その「面白いわぁ」という表情くらいは隠してくれませんか・・・、いえ、御心配自体はありがとうございます・・・」
この時、私は気付かなかった、エリザ義姉様が言った「結婚まで2年切った」という意味に。
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お茶会も終わり、帰りはヴィルヘルム様と一緒という事で庭園で待ち合わせします。
流石に令嬢が王城を一人歩きは出来ませんので、近くに護衛騎士のお姉様が居て一緒に待っていますが、このお姉様は野営の時の恋話のお姉様なので気兼ねなく居られます。
軽く雑談をしていると
「お前か、最近王城をちょろちょろしてる子供は」
と、騎士に絡まれました
2人組の騎士に、絡まれました。
ビックリです、こんなチンピラみたいな騎士が居るのかと心底驚いて言葉を失っていると
にやにやしながら近くに寄って来たので、すかさずお姉様が私の前に出て言います
「お前達、どういうつもりか分からないが下がれ、陛下、王妃様の客人である」
警告しましたが聞き入れる様子は無いようで、絡んできた騎士がもう片方の騎士に目配せすると、騎士とお姉様で取っ組み合いになりました。
あー、これはこれは・・・、どうしましょうかね
「おい、声を掛けられて無視か」
無視と言うより言葉を失ってるだけです、呆れ過ぎて
そもそもそちらから声を掛けておきながら名乗りもしないのは、どうなんですかね。
私は帽子で目元を隠して名乗りもしていないので素性は分からない筈、但し護衛騎士が付いている事、その騎士であるお姉様が「陛下、王妃様の客」と言っているにも関わらず、この尊大な態度を考えるとチンピラ騎士は高位の貴族?
そんな、こんなチンピラが高位貴族なんて嘘でしょう、そもそも高位貴族の跡取りは騎士になりません、家を継ぐ必要の無い方が身を立てる為に騎士になるものでしょう?
いえ高位貴族なら王族の客にこの態度はない、筈・・・
と、チンピラを測りかねて悩む。
「あの、騎士様、申し訳ございませんがどちら様でしょうか」
言った!だって本当に分からないのだもの。
「俺を知らないとは何様だ?」
知らないわよ!何様も何もどちら様よ!本当に誰よ!良いから名乗りなさいよ!
何なのこの人、馬鹿なの!?
でもやっぱり高位貴族なの?国内はほぼ網羅してる、隣国も有力な家の者は押さえている、誰よ!
全力で突っ込みを心の中で入れる。
「まあいい、最近王城内を身分不詳の者がちょろちょろと動き回っている、帽子を取り、身分を明かせ」
あー、意外とまともな理由ですが・・・
「申し訳ございません、今この場において私は身分を名乗る事を許されておりません、ご確認は陛下にお願い申し上げます、身元と仰いますが陛下の命で護衛騎士が私に付いております、素性は明かせませんがこれで十分身元の保証になりませんか?」
嘘ではありません、未だ私の素性を公にする段階ではありませんし、この様なチンピラには余計な情報は与えたくありませんので「陛下に聞け」と丸投げします。
陛下は私の事を把握している、何も問題は無いと言外に伝えたつもりだったのですが、チンピラは何を思ったのか
「いいから指示に従え」
と腕を掴みあげて来ました。
(王城で騎士やっている位だから貴方貴族じゃないの!?これくらい読み取りなさいよ!)
話の通じない相手に掴まれ、どうするか焦り始めた時
「何をしている」
聞き慣れた声、でも聞いた事の無い冷たい声色が耳に届く。




