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破壊神と呼ばれた私は!  作者: 米田いすき
第一章 幼き母と子守唄
28/72

第27話 破壊音が凄いが…あいつやらかして無いよな


 食堂のところに人がひしめいてる。もしかしてみんなここに避難してたのかな。あ、人混みの中にフクロウさんがいる。こんだけ人がいてもあれだけデカいとやっぱ目立つね。

 フクロウさんが皆んなを先導しているところを見るとやはり避難してたんだろうね。不安そうな顔の子供たちの表情が明るくなっていくのを見てると頑張った甲斐があるってもんだ!

 んー、でも人が多すぎて建物の中の階段を通ってさっきの部屋に行くのは難しそう。しょうがないのでさっきまでいた部屋の窓の前でジャンプして窓越しに部屋に戻る。飛びすぎないように加減するのも大分上手くなってきた気がするな。

 

 窓枠に手をかけて部屋に足を入れるとマイ君とロゼちゃんはまだ話の途中だったっぽい。話が途切れた2人と目が合った。


「…お前また無闇矢鱈に暴れたんじゃねーだろーな。」


 私の顔をみたマイ君が開口一番に呆れた様子。後始末誰がやると思ってんだと小言を言われてしまったので小さく手刀で謝っておいた。マイ君なんやかんや言って優しいから直してくれるくせに〜。


「あれほどの魔獣をもう倒してしまわれたのですか?流石あなた様の同伴者ですわね。」


 ん?ロゼちゃんなんか雰囲気変わった?口調といい態度といいなんといい…今の間になんの話してたんだろ。


「あー、まぁコイツはちょっと変わってんだよ。それはまた後に。んで、お前はなんか用事か?どうせまた頼み事でもしにきたんだろ。」


 おぉ〜流石マイ君察しが良い。私がわざわざ来るイコールお願い事だと思われてるだけかもしれないけど気がつかないふりをしておこう。


「あのね、おっきい蜘蛛を倒したのは良いんだけどマナが強くて食べられないんだって。マイ君どうにかできない?」


 考え込む様子で返事が返ってこない。マイ君にも流石に難しかったのかな?


「今回オーバードーズしたのは悪魔蜘蛛(デーモンスパイダー)でしたのね。それをこの短時間で倒してしまうとは言葉もないですわ。」


 さっきまで表情だけでもにこやかに喋っていたロゼちゃんだったのに今はツンとすました顔で喋ってる。

 馬鹿にしてるような、呆れてるような…そんな顔に見えるのは…気のせいでしょうか…?


「ドーズ化した魔物からマナを取り出すくらいできるでしょう?貴方様でしたら。」


 すまし顔はやめたけど口の端だけを上げた笑い方で言う。やっぱり馬鹿にされてる感じの喋り方だ。この短時間にどんな話をしたらこうなるんだろう。それともこれがロゼちゃんの素?


「あー、丁度いいもんがある。とりあえずその蜘蛛の所に連れていけ。おいロゼ、話の続きはまた後でいいか?」


 お好きなように、とロゼちゃんは今日初めて見る不思議な笑い方をした。



「…あー、これはデカいな。」


 糸の絨毯の上で動かなくなっている蜘蛛を上空から見下ろしながらマイ君が呟く。風を操って飛んでいるらしいけど簡単に空に止まれるのは正直羨ましい〜。私なんか高めにジャンプするのが精一杯なのに!!


 身体とは別に引きちぎった脚はそこらに纏めて積んで置いてある。数えてみたら大小合計36本!意外と多かったね〜。


 少しザワザワしてきたので周りを見てみたら子供も大人も結構な人が集まってきている。そりゃこんだけ大きいやつ気になるよね〜。

 あ、犬くんの背中と頭とお腹にちっちゃい子がよじ登っていて遊ばれている。い〜い〜なぁ〜〜〜


「体は食える部分少ねえだろうから脚だけやるぞ。それでも十分だろ。おい猫女!」


 積み上がった脚の前で偉そうにマイ君が腕組みをしたままネコちゃんを呼ぶ。頭にハテナを浮かべたネコちゃんがマイ君の隣に立った。


「お前、今残ってる魔力全部で水出せ。」


「んにゃ⁈」


 っと何が何だか分からないネコちゃんをほっぽって積み上がった脚の頂上付近ににマイ君が降り立った。


「確か…どっか…マジックボックスに…あ、あった。」


 何をしてるか気になるので私も脚の山によじ登ってマイ君の横から手元を覗く。手のひらには白っぽい羽毛みたいなのに包まれた2センチくらいの…植物の種かな?が三つ乗っていた。


「フワフワで可愛い、これ何?」


 背後から覗き込むようにマイ君の手のひらの種を指で突きながら聞く。鬱陶しそうな顔をしているけど振り解こうとはしないのでやはりマイ君は優しい。


「トワルの種だ。別段珍しい植物でもないがこれは特殊な条件下で大きく成長する木だ。条件さえ揃えば急速に伸びることができる。」


 蜘蛛脚の山に適度な間隔で三つの種を置いていく。適度な条件下?


「おい、早く降りろ。どうなっても知らんぞ。」


 私が置かれた種を突いている間に早々に降りてしまったマイ君を追いかけて私も地面に降りる。


「おい猫娘、さっき言ったように魔法で出した水を目一杯これに掛けろ。魔力壁…は流石に出す気力はないか。まぁそれは俺がやるからいい。」


 え?水?魔法で出した水を目一杯なんて、この蜘蛛の脚に沢山の水をかけるのが適度な条件ってやつなの?

 猫ちゃんの方を見ると「マジでか…」と今日出会ってから初めて聞く口調が出てた。

 今マイ君が言ってた魔力壁っていうのは私がさっき戦ってる時に出てきた透明な足場のことみたい。魔力の塊で透明な壁みたいなやつなんだってさっき猫ちゃんが教えてくれた。最初に猫ちゃんの気配が真上の高い所にあったのもそれに乗ってたんだね。

 というかそう考えると猫ちゃんさっき一緒に戦ってた時に魔力壁ってやつで私のサポートもしてくれてたってこと?そんなに頑張ってたなら魔法出す元気残ってないんじゃない?


「ふぅ…わ、わかりましたにゃ。貴方様の言うことには従えと姫様にも言われましたのにゃ。トワルの木を育てられるほどの魔力が残ってるか分からにゃいですが…〈源よ巡れ ウォルタージ〉」


 おお〜!今の言葉カッコいい!初めて聞く詠唱だけど文言的に水魔法かな?詠唱って魔法に慣れた人だと決まった文言無いみたいなんだよね。無詠唱で魔法できる人もいるみたいだし、魔法をイメージできれば何でもいいとか何とか。曖昧だよね〜。

 お、猫ちゃんが手を伸ばした先に光の輪っかが出てきたと思ったらその真ん中に水の塊がポヨンと出てきて浮いてる。

 ふよふよキラキラ綺麗だな〜って眺めてたらそれがどんどん大きくなっていく。凄〜い!

 蜘蛛脚の山の上でふよふよ大きくなっていくお水の塊。見上げる空が全部覆われるくらいの水の天井ってすっごく綺麗だ〜と思ってたら水の塊がバシャンと落ちた。

 こっちにお水がかかるかとも思ったけど取り巻く風の入れ物で蜘蛛の脚の上に落ちたまま蜘蛛の脚と共にチャプチャプと揺れている。猫ちゃんの方を見るとゼーゼー息をしながら地面に落ちてた。や、やっぱ大変だったんだね、お疲れ様…


 そのまま地面に腰掛けて揺れるお水の観察をしてると溢れてないはずなのになんだかお水が減ってきた気がする…と思ったくらいで小さな真っ白い芽がほぼ同時に3つピョコンと出てきた。そのまま目で見てわかるくらいのスピードで大きくなっていく。凄い!なにこれ〜!!


「トワルって木はな、オドでもマナでも魔力を喰うんだよ。取り巻く環境の魔力量に比例して成長具合の変わる植物だ。急激に成長させるためには魔法で出した水を与えて魔力を吸う取っ掛かりを作ればいい。まぁこれであらかた食えるくらいまではマナも無くなるだろう。」


 ふ〜ん、この世にはいろんな植物があるんだね。真っ白な枝がどんどん太く大きく高くなっていくのをしばらく眺めてた。3本の木はそれぞれが上を目指してやがて沢山の枝葉をしならせる。なんだかとても美しい。


 ぼんやり眺めて2時間くらい経ったかな。陽が傾いて周りを取り囲んでた水と風が消えた頃にようやく木の成長も止まったみたい。

 んー、3本とも20メートル無いくらいかな。手のひらのみたいな葉っぱがそよそよと風に揺れている。

 真っ白な葉っぱだと思ってたけど遠目に見ると薄っすらピンク色で桜の花びらみたいかも。幹は白いんだけどね。

 その木の下では最初は見たことない木に警戒していた子供たちがすっかり慣れて遊んでる。なんだかほんわかした空気が心地いい。

 なんやかんや揶揄われつつも遊んであげてる犬くんはやっぱりいい子なんだろうな。猫ちゃんは今だに横の隅の方でグデッと寝転んだまま休憩中。猫だけにね!


「そろそろ止まったか。」


 蜘蛛の胴体を調べてたマイ君がひと段落ついたのか降りてきた。その手も身体も色々としていたんだろう、蜘蛛の体液でネチョネチョしてる。うわぁ…

 そんな私の目に気がついたのか魔法で一瞬で綺麗にした。汚いものを見る目で見てごめんって、そんな複雑な顔しないでよ〜。


「…こんなにトワルの木がデカくなるとは思わなかったな。あのドーズ化した蜘蛛も調べたが少し様子がおかしい。おい、2、3日くらいここに滞在するが…いいか?」


 樹を眺めつつ私の隣で喋るマイ君。あ、今のって私に言った?私に許可を取ってくれようとするとは思わなくてちょっと反応が遅れてしまった。別にマイ君の決めたことに口出しする気は一切ないので大丈夫だよ!!

 とりあえず了承の意を込めて親指を立てておいた。そんな私を見て苦笑するマイ君。よく私に向けるこの微妙な顔の意味に毎回悩むよ。


「とりあえず陽が落ちて暗くなる前に蜘蛛の脚を一本でも取り出して食堂に渡しておくか。」


とマイ君が言うので木の根元に行ってみる。あー、積まれた蜘蛛の脚に絡みつくように根が張り巡らされてるや。真ん中の方の脚なんてほとんど見えないよ。

 これ取れるのかな、と思ったけどベリっと引っ張れば根っこ取れるみたい。そのまま力づくで脚を救出していく。

 無我夢中になりすぎて上の木の様子に気がついてなかった。脚の救出が15本を超えた頃に思い出したように上を見上げると腕組みしたマイ君が風で樹を支えつつ葉っぱをしげしげと眺めていた。

 何してるか分かんないけど適材適所って言葉があるし、私には分からない頭の良いことをやってるんだろうな〜と勝手に納得する。私には力仕事が1番だしね。

 周りの子供達を犬くんに遠ざけてもらいつつ脚の救出に勤しむ。今日くらいお腹いっぱい食べてもらえると嬉しいな〜。



「おやおやまあまあ!これあんたがやったのかい?大したもんだね!!それにこんなに山菜やキノコ、果物まで!久々に腕が鳴るよ!今日は目一杯、力を奮わせてもらうさね!!」


 思いの外簡単に脚の救出が終わってしまったので周りで遊んでた子供達とワンニャンズ、何人か遠巻きに見てた大人達に手伝ってもらって脚を食堂付近まで運んだ。

 ここの人たちの食事は全て最初にロゼちゃんの話を聞いた場所の一階食堂で管理されてるらしいからそっちにあった方が良いと思うし。

 マイ君のアイテムボックスなら一瞬で運べるだろうけどあまり人にバレたくないスキルらしいし、かといってアイテムバックじゃ入りきらないし。人海戦術で一気に運んじゃえば問題なし!

 ついでにマイ君に頼み込んで植物系の食べ物が入ってるマジックバックを一つ分けてもらった。蜘蛛の足ばっかりじゃ栄養偏っちゃうもんね。

 今日だけは食べ物の使用量を厭わないってロゼちゃんからお達しがあったので目一杯の料理が出るみたいだよ!やったね!周りの子供達の熱狂ぶりにこっちまで嬉しくて仕方がないよ。


「私も料理手伝いまっぅぐっ!」


 手伝いを申し出ようとしたのに後ろからマイ君に口を塞がれてしまった。これじゃ喋られない。


「お前はこっちで俺の手伝いしろアホ。」


 と言いながらその格好のままズリズリ引きずられていく。お料理の手伝いしたかったのになー。


「お外もう暗くなって来てるけど今から何やるの?」


 外まで引きずられてようやく離してもらえた。私、見た目よりも結構体重あるのによく引っ張れたなぁ。


「えっ、あぁ…あー…く、蜘蛛の移動をしたいんだが昼間にアイテムボックスでやると見られるだろ?だからといって人の力でやるのはあまりに無謀だ。だから今のうちにお前と俺が2人で運んだ事にして町外れまで持っていきたい。って事だ。」


 あー、なるほど。確かに運んでたはずの私が違う場所にいたらおかしいもんね。アリバイづくりってやつか!そうとなったらいざ行かん蜘蛛の場所!


「…自分で歩いていくから手を伸ばしても…ガキにはならねぇぞ?」


ガーン!!

 また小さいマイくん抱っこできると思ったのに!!両手を前に突き出して受け止める姿勢のまま時が止まってしまったようだ。


「ま、町外れまで遠いよ?」


とりあえず足掻いてみたけど


「いや、歩いて行ける程度の距離だろ。」


バッサリ切り捨てられた。残念…


「それにロゼのこととこの国のことも少し話しておきたい。まだ料理が出来るまで時間があるだろ。歩きながら聞け。」


 さっさと歩き出してしまったマイ君の後を急いで追いかける。ロゼちゃんとの会話を教えてくれるとは思ってなかったのでちょっと驚き。別にそこまで気にして無いし興味も微妙だけど教えてくれるなら聞こうじゃないか!


「色々とあって話せないことも多いが…まず結論として俺はロゼと互助関係になった。互いに進んで手を貸すわけじゃないがこちらに不都合がなく互いに利益があると分かってる時は手を貸す。」


 へー、マイ君にしては意外な結論だと思った。だってかなり警戒してたし普通にただ通りがかった町の一つとしてほっときそうなイメージあったし。


「それとサーシャの正体が神子で今から奴隷印を消すためにグズリアに向かってることも話してある。」


 おおっと、流石に驚きすぎてちょっと足が止まった。ふぉっとかよくわからない声も漏れてしまったし。

 え?マイ君?神子ってこの世界でどれほど凄い存在なのか前に教えてくれたよね?さ、流石にサーシャちゃんのこと…本人が言ったならまだしも…いや、でもマイ君が判断したことなら…間違いないか。


「いや、お前のその俺への信頼はどっからくるんだよ。」


 呆れたような顔をしてため息を吐くマイ君。だってマイ君頭いいし…


「普通は絶対言うなよ。ロゼはなんつーか…俺の昔馴染みだった。あいつは良くも悪くも自分自身はともかく大事な奴らを巻き込むことはしない。それに互いが不利益なことにならないように契約も結んだ。早々悪いことにはならねーだろ。…おいなんで止まってんだ。」


 マイ君の昔馴染みという単語がうまく頭に入ってこない。いつもの可愛いプニプニミニマイくんの方の昔馴染み…ってことはないよね…?じゃあ、つまり、も、もしかして…


「ろ、ろぜちゃんも…子供じゃ…な…い…?」


「そこかよ!!!!」


 マイ君が全身を使って全力でツッコミを入れる。だってあんなにお人形さんみたいで可憐で可愛い女の子が実は私より年上の妙齢の大人でしたとか…やだぁ!信じたくない!!


「…あー…まぁ、俺よりは年下だな。」


 明確な答えは濁すように言われたが私は薄々気がつき始めている。マイくんの見た目はともかく中身の方は実は結構な歳上であることを。


「この世界に神様はいないのか!」


 思わず拳で地面を殴る。小さなクレーターができてしまったので慌てて撫でて戻しておく。その横でマイ君は引き攣った顔をしながら神様は沢山いるぞ…と呟いた。


「…とりあえず話進めるぞ。今回のことで俺らが互いに交換したのは魔力と食糧だ。現状俺はサーシャの奴隷印を抑えるために魔力の回復が遅い。そんでここの町には食い物がない。だったら答えは簡単だろ。ただ魔力回復のための…」


 ガックリしている私は放ってさっさと前を歩きながら説明を続けて行く。はぁーあ、大きなマイ君見ても何にも楽しくないんだよね…

 小さなぷにむに手足を必死に動かして頑張って歩くあの姿が…ぁぁぁ゛あ゛がわいいぃ…思い出しただけで可愛い…


「…というわけでお前の望み通り食料は渡してやるからその分お前もここで目一杯働け…お前話聞いてんのか?」


 おっとやばい途中から聞いてなかった。とりあえず必死に頭を縦に振りながら親指を立てておこう。大丈夫!マイ君は多分私の記憶力にそこまで期待してないと思うし!

なんか自分で言ってて悲しくなってきた。


「お前にそこまで期待してねーから別に聞いてなくてもいいけど。とにかく今はさっさと蜘蛛の移動するか。」


 あれ、いつの間にか蜘蛛の元まで着いていたみたい。昼間にはあんなに沢山いた野次馬も今はいないや。陽もすっかり沈んで静まり返った場所に夕焼けの残香で照らされた白い蜘蛛の糸絨毯が空中にあるのがなんとも言えず不気味だな〜。


「よっと。」


 小さな風を吹かせたマイ君が蜘蛛の胴体部分に飛んでいく。私もジャンプして糸の絨毯の上に立った。蜘蛛の糸ってベタベタくっつくのか心配だったけど少しねちょっとするくらいでぬかるみを歩いてる感じ。全く問題はないね!


 私は夜目が効くので多少の光があれば充分周りは見える。蜘蛛の胴体端の方を見ると少し切り刻まれていたので昼間にマイ君が何かしていたのはあそこなのだろう。

 そういえばくり抜いて放置しておいた赤い目玉はどっかに消えてた。マイ君が回収したのかな。ねちょねちょのベチャベチャのぐちゃぐちゃで気持ち悪いのに何につかうんだろう。


 そんなこんな考えてるうちに山のように見上げていた蜘蛛が一瞬にして消えた。マイ君がマジックボックスに入れたみたい。

 いーよねこのスキル。私にもマイ君にもらったマジックバッグがあるけど何もないところに荷物を入れて置けるの凄く便利だと思う。

 マイ君のは時間も進まないし、いくらでも入れられるんでしょ?私もお腹すいた時とかに暖かいお弁当取り出したい。


「おい、誰かに見られる前にさっさと行くぞ。」


 ぼんやりしてた私にそれだけ言ってさっさと歩いていくので慌てて追いかける。そこらに広がる蜘蛛のネチョネチョした体液が気持ち悪い〜。


「その蜘蛛の体の部分はどうするの?」


 蜘蛛の体液に気を取られつつようやくマイ君の隣に追いついたので素朴な疑問を聞いてみる。

 蜘蛛の脚はおいしいんだけど体はねー…食べる部分少ないしどんな魔獣食べてるか分からないからあんまり食用に向かないんだよね…

 前に森の中に放置しといて群がってきた別の魔獣を獲るのに使ったことはあるけど…基本牙の部分以外利用方法を見つけられてないんだよね。


「…牙と外骨格部分は分解して…中身はなぁ…正直取っておいても仕方ないから調べ終わったら燃やすなり埋めるなりなんなりすりゃいいか。…食いたいのか?」


 流石の私でも遠慮したいので全力で首を横に振る。一回だけカニ味噌みたいなのを想像して内臓部分をちょこ〜っと舐めて心底後悔したから本当に遠慮させていただきたい。

 そんな私を見たのか「そりゃ良かったよ」とニヤリと意地悪そうにマイ君が笑った。

 もしかして揶揄われたのかな?「流石の私でも不味そうなものはあんまり食べたくないよ?」と訂正を求めたら今度は顔が引き攣ってしまった。

 マイ君は割と表情に出るよね〜とピクピクしてるほっぺをつついてみる。結構素早く本気めに頭を叩かれた。

…手、痛そうだけど大丈夫?


「お前と話してるとペースが持ってかれる…」


 え?私普段からあんまり喋ってない方だと思うんだけど…と言ったら今までで1番大きなため息がでた。それはなんのため息なのでしょう?


「もういい、さっさと行くぞ…。」


 マイ君は頭いいからあんまり考えてる事がわかんないなぁと思いつつ急いで後を追いかけた。


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