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東京ダンジョン学園  作者: 叢咲ほのを
第十章 光と影 -Heroes-
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第155話 初めてのゴブリン戦

 ようやく俺たちは、今日の目的地である第三階層へと降り立った。

 紫村が感慨深そうにつぶやく。


「まさかこんなにスムーズに第三階層までたどり着けるとは思わなかったよ。少し前まで第一階層でレベル1だった僕なのに」


 それを聞いた千堂も共感の声を上げる。


「確かに。第一階層の階層主どころか、一日で第二階層まで超えてしまうなんて、学園の授業だけ受けていたら想像もつかなかったな」


 赤石は無言でうなずいてそれを肯定する。

 何だよ。俺が最初からレベル+1階層って言ってたのに、信用してなかったのかよ?

 だが俺がふてくされても仕方がないので、俺は説明を始める。


「第二階層は色んな魔物が出てきたが、第三階層に出現する魔物はゴブリンだけだ。その点は分かりやすいが、問題はゴブリンは徒党を組んでいる場合があるということだ。一匹なら大したことがなくても、数が増えるとやっかいだ。一度に4匹以上のゴブリンに遭遇したら俺も戦いに参加する。三匹以下だったら三人で対処してみてくれ」


「分かった。でも僕たちレベル2でも本当に大丈夫かな?」


 学園では第二階層でレベル3になってから第三階層に行くことになっている。

 紫村には、まだ一抹の不安が残っているようだ。


「そんなこと言ってるけど、お前さっきレベル1の段階で第二階層の魔物を一撃で倒してたじゃないか。イオリなんかレベル2で第二階層主のジャイアントリザードですら一撃だったんだぜ。レベルっていう数字よりも、戦った感触でどこまで通じるかを確認していった方がいいと思うぞ」


「そっか。なるほど」


 紫村も納得してくれたところで、俺たちは第三階層を進んでいった。

 目標は一人十匹倒して、千堂と赤石のレベルを3に上げること。そしてあわよくば一人二十匹倒して紫村のレベルも3に上がればベストだ。

 一人二十匹というと、合計六十匹か。いや待て、俺もパーティーに入ってるから、俺の分も計算に入れて八十匹だ。そうなると効率が悪くなるな。それに、さすがに一日でそこまでは遭遇しないか。

 本当はこれだけ一人一人が戦えるならパーティーを解散して、それぞれソロで戦闘をした方が効率はいいかもしれない。パーティーだと経験値が分散してしまうからな。

 だけど安全面を考えると、今はこのままでいいだろう。それに今日一日でレベルアップする必要もないしな。今度は三人でまた来ればいい。

 毎週来れば一か月以内に紫村もレベル3に上がるだろう。レベル2に上がるだけで相当苦労したんだ。第二階層でレベル3に上げるよりも断然効率は良いと分かってもらえるだろう。


 俺が頭の中でそんな計算をしながら歩いていると、千堂がまた魔物の気配を発見した。


「前方に魔物の気配だ。おそらく二匹いる」


 千堂のスキル『気配察知』は、離れた場所にいる魔物に気付けるスキルらしい。今日は何度も魔物を発見してくれている。非常に便利そうなスキルだ。

 俺もさっきパク……コピーさせてもらったので、こっそりそのスキルを使わせてもらおうとする。


「あー……。千堂、今のはスキルで魔物を確認したんだよな?お前のスキルってどうやって使ってるの?」


 使い方が分からないので、直接聞いてみた。


「どうやってと言われても、集中して意識を飛ばす感じなんだが、感覚的にやってるから上手く説明はできないんだ」


「へえ~、そうなんだぁ~……」


「なんだそのリアクションは?」


 俺の聞き方がへたくそなせいで、なにやら不審に思われてしまった。

 俺が仲間のスキルをコピーできることは内緒だ。

 千堂の説明に従って、俺も前方遠くの様子を確認するように気にしてみる。

 すると、何かぼんやりと遠くに魔物がいるような感じが分かった。これが気配察知か?

 そしてそれが千堂の言うように二匹だというのも、なんとなく分かった。


「二匹なら俺のサポート無しで戦ってみてくれ」


 そして進んでいくと、千堂の言う通り、二匹のゴブリンが姿を現した。

 背が低く緑色の肌をした魔物。その顔は凶悪で、尖った耳、鋭い目つき、口元には尖らせた牙をむき出している。

 木刀を構えた紫村が、初めて見たゴブリンについて感想を漏らす。


「実際に動く実物を見ると気持ちが悪いな」


「油断するなよ」


「ああ、分かってるさ」


 紫村、千堂、赤石の三人は、武器を構えながら二匹のゴブリンに向かって歩き出した。

 一匹のゴブリンが様子を見ながら、赤石に襲い掛かろうとした。それを察した赤石は先手を取ろうとメイスを振り下ろす。するとゴブリンは危険を察知し、後ろに飛びのいた。

 もう一匹のゴブリンは千堂へと向かっていく。千堂は木刀をゴブリンの脳天へと振り下ろす。

 ゴツ!と骨に当たった音が鳴る。次の瞬間、ゴブリンは千堂の木刀を両手で掴んでいた。

 殴られた脳天から血を流しながら、必死で千堂の木刀を掴むゴブリン。千堂も慌ててゴブリンから木刀を引き離そうとする。焦る千堂。

 千堂がゴブリンを振り払えずにいた時、紫村がゴブリンの後ろから木刀で攻撃をした。

 後頭部を殴られ、ギャッ!という声を上げる。

 その瞬間ゴブリンの手が離れたため、千堂は慌てて木刀を引き戻す。そしてすぐに次の攻撃。

 前後から二人の攻撃を受け、ゴブリンは息絶えた。


 もう一匹のゴブリンと赤石はにらみ合いを続けていた。

 赤石の攻撃をかわして飛びかかるタイミングを狙うゴブリンと、そうさせないために確実にメイスを当てようと狙う赤石。

 仲間がやられたことに気付き、ゴブリンが視線を外した瞬間、赤石のメイスがゴブリンの頭をかち割った。


 三人の初めてのゴブリンとの闘いは、こうして特に怪我をすることもなく終わった。

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