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ドローの時は小指と薬指をしっかり握りこんで3本指をピンと張るんだよぉ!

でもその前にやっておかないといけないことがある。


「それは、ジャンさんの改造です。」

「へ?」


ジャンさんの今の戦い方は何だかムズムズするから改善していこう。

床に三角座りのままのジャンさんを立たせると、椅子に座らせ


「それでは座学から始めますね。それが終わったらドローの素振り1000本ね。」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!私は別に」

「ああん!?敗者に発言権があると思ってんの!?」

「ゴボァ…そうです私なんてゴミムシのような存在です…」

「よし、それじゃあいきますよ。まずデッキは必ずシャッフルします。何故ならですね…」


「私のターン、ドロー!」

「声が小さい!そんなんで起死回生のカードを呼び込めんのか!?」

「は、ハイ!ドローッ!!」

「そうだ!まずは気合いだ!気合いで最善のカードを引き出すんだ!」


「ドロー!」

「腕の角度が下がっているぞ!指先もピンと伸ばしてスタイリッシュに!」

「ハイッ!」


「ひ、『卑屈なゴブリン』を召喚!」

「どんな魔物を召喚する時も堂々と!自信を持って!」


…


「よし、これだけできればある程度は戦えるでしょう。」

「はい、ありがとうございました師匠!」


いつの間にか師匠になってしまった。


「アズミさん達も調子良さそうですね。」

「はい、おかげ様で良い感じです、師匠。」


こっちも師匠になってしまった。

ちょっとアドバイスしただけなんだけどな。


「それじゃ僕らは上の店を見てきますね。」

「行ってらっしゃいませ。」


ソフィと連れ立って上の店に行く。

上の店とは。


「いやー意外に繁盛してるねぇローガン。」

「そうだねぇ。」


ズラリと並ぶスロットマシンや自動カジノゲームの数々。

そのゲーム筐体に座って遊びに興じる人々。

いわゆるゲームセンターって奴だ。

ジャンさんのカジノの倉庫に、いくつものスロットや自動のカジノゲームの筐体や、景品引き換え機みたいなのがゴロゴロ置いてあった。

実家でも使い方のわからない魔導具を鑑定してもらおうと持ってきたらしいのだが、結果は「何らかの魔導具」という散々な結果だった為、倉庫の肥やしになっていたそうだ。


スロットやゲームは勿論、景品引き換え機もまだまだ使えそうだったので、ジャンさんにゲーセンでもやってみませんか、と提案してみた。

魔導具なだけあって、こいつらはプレイ中の人間からごく微量の魔力を吸収する事ができる。

それを景品交換機と繋げておくことで、景品交換機に魔力が貯まっていき、その魔力でポーションや魔石などの景品を自動生成する。

コインを借りるレートが安い方が効率的に魔力が集まるし、運営側はノーコストで収入を得られる。

基本的にここには店員を配置してない。

全自動でプレイしていけば、何となくは分かっていくし、荒くれ者がやってきても面倒なだけだからね。


ダンジョン産なので自動防衛システムもついている。

叩いたりイカサマをしようとしたり、設置場所から動かそうとかから!すると、何らかの魔法が報復で飛んでくる。

だから『危険!叩いたりすると反撃されます!(最悪死にます!)』

と注意書きがしてあるけど、一日に一人二人は再起不能になって外に放り出されているみたいだ。

「冒険者に流行ると思ったんだけどな…」

「流行ってるんだから良いんでないの?」


景品なんて三流ポーションだったり小粒の魔石だったりだから、一般人にはウケないと思ってたんだけど、大体が一般人だな。

ちなみに、地下カジノのスロットマシンも改善して、ゲーセンの100倍、1000倍のレートで楽しめるようになっている、その分景品も良質になっているので、懐に余裕のある冒険者達はそっちに行っているらしい。

皆よっぽど娯楽に飢えていたんだな…。



地下カジノに戻ってくると、何故か店内がゴチャゴチャに荒れていた。

ジャンさんやアズミさんなど、皆で床に散乱したゴミを片付けたり、倒れたルーレット台を起こしたりしている。


「何かあったの?」

「御戻りでしたか師匠。客の一人が急に暴れだしましてね。このような惨状になってしまいました。」

「それはまた…この間のボッタ組の残党とか?」


ゲーセン開設の際に、競合相手のボッタ組が嫌がらせをしてきて、やんややんややってる内に魔物は出るわ向こうの組のボスは魔族だわで、ルミナスブラックも出動するような事態になってしまっていた。

あの時に打ち漏らしでもいたかな?


「いえ…邪教徒だとか異教徒だとか粛清がどうの言ってましたので、別の存在かと…魔物か魔族ではありましたが…」

「だよねぇ、アズミさんの退魔刀が抜けているから、そっち関連だと思っちゃったよ。」


アズミさんは、普段使用している刀の他に、腰に小ぶりの短刀を一本身に着けている。

それは魔物か魔族と対峙したときのみ抜ける退魔刀と呼ばれるもので、魔物や魔族に対してのみ絶大な威力を発揮するとか何とか。


だからそっちだと思ったんだけどな。

ファンタジーあるある、邪教徒だの粛清だの物騒な事を言うのは決まってあの組織なんだろうけどな。


「よし、次の目的地はヒノデ、と思ってたけどまずはこの国とヒノデの間にあるゼブー神教国!」

「えー!?」

「毎度毎度観光ってのもね、ちゃんと働いてこそ休日の観光が良いものになるんだよ。」

「うぅ…分かった。」


せっかくだし、この世界の教会の総本山も見てみたいしね。

下手するとこれも観光になっちゃうかもな。

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