怪力
あ、危なかった…
「ソフィ〜。」「テヘッ。」
テヘペロじゃすまされないわ!
この子、身体強化の魔法をごく自然に発動しちゃうみたいで、こんな事故がちょくちょくある。
「全く、最近の若者はひ弱ね。」
「いやいや、ソフィが馬鹿力なだけだからあぶねっ!?」
「私のどこが馬鹿力なのよ?」
「いやいや、今のツッコミボディーブローを処理できるのなんて俺意外あまりいないからね?」
「ソフィ…」「ごめーん」
「ソフィ」「めんごめんご」
「ソフィ!」「ごめりんこ☆」
まずい、まずいぞ…
持ってたリンゴを握りつぶしたり
露天のコップを握りつぶしたり
握りしめていた硬貨を握りつぶしたり
俺か?俺のせいなのか?
何にせよ、俺が責任をとって力の使い方を教えてやらねば…
バリッ
「「あ、」」
はい、防具屋さんの鎖帷子が薄い和紙を破くように壊れちゃいました。
「すいません、買い取りますので…」
呆然とする店主とお客さんに詫びをいれてお金を置く。
「いやはや、こんな簡単に壊れちゃうんじゃ、何も守れないよねぇ。」
「対ゴブリンなら十分なんだよ!皆がみんな世界の命運をかけて戦っちゃいねぇんだよ!」
「にしても、ローガンが作った服はこんなに頑丈なのに…」
ソフィが着ているワンピースを引っ張っているが、それは破れたりしない。
「ドラゴンの皮でも使ってんの?」
「そんな肌触りが悪そうなもん使わんわい、綿100パーセントじゃい。」
もちろん仕掛けがある。
いわゆる効果付与ってやつだな。
「あのぅ、すみません…」
「へぇ、すごいねぇ、こんなに引っ張っても大丈夫なのに!」
「こら、あんまり引っ張るな。いくら頑丈とはいえ壊れるときは壊れるんだぞ。しかも裾をたくしあげるな、はしたない。」
「あのー。」
「おお?なんだか心なしか顔が赤くないかローガン君?」
「そうだよ、だからもうやめろ、人目を集めるぞ。」
「ちょっと話を聞いてほしいので」
「ほれほれ~」
「あーもーだからやめろって。」
「ちょっとすいません!」
んん?
何か話しかけられてた?
見ると、15、6歳くらいのハンサムなお兄さんがこっちを見ていた。
「えっと、僕たちに何かご用でしょうか?」
「ええ、お邪魔をしてはいけないと思ったのですが、この機会を逃したらもう会えなくなりそうでしたので。」
お兄さんは目を閉じて大きく息を吸うと、カッと目を開き、ソフィを指差した。
「それを私に売って下さい!」




