変態
へ、変態だ。
身なりは良いからどこぞの貴族の坊っちゃんなんだろうけど…
「えーと、確かに僕らはそこらに這いずるカタツムリみたいな存在ですが、さすがに自分の身を売るほど困窮はしてませんよ?」
「いや、その見た目の美しさも去ることながら、内に秘めた芯の強さ、そしてどんなときでも優しく包んでくれる所にもひかれました。いえ、これはもう一目惚れです!」
おいおいソフィ、モテモテだな。
「はぁ、一目惚れですか…なら買うより自分の気持ちをぶつけて、それで相手の同意のもとでついてきてもらったらどうです?」
「そんな機能まであるんですか?」
「いや、機能て…この子はゴーレムとかじゃないんですよ、ちゃんと人として扱って頂かないと。」
「いや、どう見ても人間ではないでしょう、でも君から無理やり奪うというのは忍びない…だから売ってくれと言ったんです。」
こりゃあかなりヤバい奴だな。
どうにか諦めさせないと…
元より譲る気なんてないけど。
「ローガンローガン。」
「んん?」
「あの人が言ってるのって、このワンピースの事なんじゃないの?」
「え…そうなの?」
確認の為に視線を送ると、その通りと言いたげに首肯した。
「なるほど。」
つまり、ソフィ自身がほしいってのじゃなく、ソフィが着ているワンピースがほしいって事か。
なるほどなるほど、そうだったのか、慌てて勘違いしちゃったよ。
そうゆう事なら、
変 態 じ ゃ な い か ! ! !
女のコの着てる服がほしいとか余計にヤバい奴なんじゃないか?
「理由をお伺いしても?」
「ええ、私には守りたいお方がいるのです。その方は敵が多く、身につけるものもできるだけ頑丈なものを用意しておきたいのです。」
「お方、と言うくらいなら身分の高いかたなのですね?しかも女性ですか。」
「ええ、そうです。しかし、ドレスをモンスターの素材で作るというのも外聞が悪いですし、どうしたものかと思っていたのです。そこにこの少女の着ている服と出会ったというわけです。」
なるほど、確かにドレスで着飾るようなタイミングで、物々しい格好をする訳にもいかないわな。
それを考えると、パーティ会場なんかは危険地帯だよね。
「分かりました。いざという時に要人を守るという事なら納得です。」
「それでは!?」
「でもそんなんだったらそこら辺の魔法使いでも出来るのでは?」
「え、そんな話は聞いたことが」
「ない技術ですよねぇ、ええそうでしたそうでした。このワンピースも実家の宝物なんですよ。だから譲れません。」
危ねぇ、一般的な魔法の効果付与って短時間しか保たないやつばっかりなのか。
「そんな…そこを何とか!もう時間がないんです!」
「落ち着いて下さい。明日、同じ時間にそこのカフェでお会いしましょう。あなたのニーズに合わせたものを持ってきます。貴重な品なので普段は持ち歩いていないのです。」
「…分かりました、それなら明日、ここでお会いしましょう。」
お兄さんは若干トボトボ歩いて行った。
「で、どーすんの?」
「まぁ見てな。前々から構想自体はあったマジックアイテムを作ってみるとしよう。」




