カンコー
「ソフィ、これが…」
「…そうか、これが」
「王都だっ!」「王都かっ!」
まぁ、俺も来たのは初めてなんだけどね。
「今回の目的は、観光だ。」「カンコーか!」
どうせなら観光しとかないとね。
「…で、カンコーってなんだ?」
「そうだな、強制エクストリームヒッキーだったソフィには馴染みのない言葉だ。しかし、俺がお前を一流の観光客にプロデュースしてやろう!」
「それなら安心だな!」
「任せろ!まず第一に観光客とは、どんな世界にもいる伝統的な職業で、物凄く軟弱な存在だ。」
「それって何か良い事あるのか?」
「これは紳士達のエグゼクティブな世界の渡り方なんだ。ちなみに上級者は、より過酷な条件でやる。」
「ふーん。で、第二は?」
「あとは好奇心の赴くままに、市場でショッピングを楽しんだり、街中で爆弾を爆発させても良いし、酒場や食堂でグルメを堪能しても良いし、鉄火場で有り金全部スられても良い。」
「つまり、何でもありって事だな!」
「そうだな、でもあんまり目立ち過ぎない奴が良いかな。ここでお尋ね者になったら、もうどこに行っても犯罪者扱いだと思うし。」
「分かった、目立ち過ぎない!」
「よし、とりあえずは飯だ!」
「お腹空いた!」
とりあえず市場に移動して、果物やら肉の串焼きやらパンやらを買い込んだ。
それにしても、前に誰かが王都は下水が整備されてないから臭いって言ってた気がするけど、別にそうでもないな。
誰かが改善したのかな?
つまみ食いをしながら広場の木陰に移動して、本日の戦利品を広げた。
「んー!美味しい!」
「結局、まともな食事ってこれが初めてだもんな。」
「そうかもしれないけど、私はローガンが作ってくれたご飯も好きだったぞ。レッドボアの丸焼きとか。」
「あーあれか、あれは血抜きがミソなんだよな。」
ソフィがアラクネだった頃の話だな。
たまにそこら辺の動物とかを狩って差し入れで持っていってたなぁ。
「さて、お腹も一杯になったし、次はどうしよっかね?」
「なぁ、ローガン。あれ…」
ソフィが言っているのは、こっちを見つめている複数の目だ。
ボロを着た俺達くらいの年齢の子供が複数人、こっちを観察している。
「気になる?」「ちょっとね。」
敵意は感じない。
まぁちょっとぐらいは援助するか。
という訳で、余った食糧を全部その場に残し、その場を去った。
ちょっと歩きだした所で、小さな影がそれらをさっと持ち去っていった。
「あー、食糧をとられてしまったぞー!これは困ったー!」
一応被害者のフリ。
「…ローガン、声かけないのか?」
「これ位が丁度良いのさ。あんまり首を突っ込むと後が大変だ。」
「金やら薬やらも仕込んでおいてか?」
「何の事かな?」
「まぁそうゆう事にしておいてあげる。」
そう言うソフィも偵察蜘蛛をつけてるじゃないか。
「よし、それじゃ今日の宿を探しに行くか。」
「おお、ついに!一晩だけとはいえ、私だけの、百年ぶりの、ベッド!!」
ソフィ…いい宿とってやるからな。




