怖い(請求)
バックステップで扉から離れる。
次の瞬間、木の扉は木っ端微塵に吹き飛んだ。
「これだけの力が、簡単に手に入るんだ。君はイエスと言うだけで良いんだよ。」
「それじゃあ、気が向いたらやりますから、今日はもう解散しません?扉も直さないといけないですし。」
「いや、今すぐやってもらう。あの人からも出来るだけ急ぐように言われているからね。」
「あの人とは?」
「さぁ、誰だろう?分からないな、あの人って誰だったっけ?別に良いだろ、下らない事言ってると殺しちゃうかもしれないよ!」
これは頭にナニかされてますね。
さてどうしようかな…出口は塞がれてる。
窓を開けて飛び出す時間は無いから、壊しながら抜けるか…弁償請求されそうだからパスしたいなぁ。
「なんだぁ?随分騒がしいな。」
壊れた扉から顔を出したのはいつものおじさん。
手にはスープとパンの乗ったお盆…ご飯はいらないって言ったのに、わざわざ持ってきてくれたのか。
「あーガストンさん、良い所に。どうやらこの地味君が酔っ払ってるみたいでしてね、どうにか取り押さえるのを手伝って下さい。」
「僕が酔っ払いだってそんなわけがないだろう君はそんな事を言って実は仲間を呼んだんだな卑怯な奴めでも大丈夫僕にかかれば雑魚が何人集まろうと雑魚でしかないからねと言う訳で死ね!」
地味君の右拳が繰り出される。
中々の速度だ、生前のソフィ(アラクネ)の半分に届かないくらいかな。
これならオーガくらいなら殴り合いでも倒せるかも?
当然俺は受け止めたりはしない。
目をぎゅっと瞑り、左斜め前に前転し偶然ギリギリで躱した風を装って回避。
そのまま立ち上がっておっさんの持って来てくれたお盆を地味君に向かって投げつけた。
「熱っつ…そこのジジィも死にたいようだな。」
「おいおい、お前のせいで俺までターゲットにされたぞ?」
「全く、頼れる先輩に向かってジジィとは…新人冒険者に風上にもおけないですね。先輩、やっちゃって下さい。」
「た、頼れる先輩?俺が?ふ、ふふ…そうかな、新人冒険者に怖がられウザがられ苦労する事5年…ついに頼ってくれる後輩が現れたか!」
まぁ、ウザいよね。
「死ねぇ!」
地味君の愚直ダッシュからのタックル!
しかし、ストーカーおじさんは辛くも回避、結果廊下の壁に大穴が開いた。
廊下の壁ならおっさんに弁償を擦り付けられるな…俺は今の所木の扉の弁償か…
「うぉぉ!?あんなのに当たったら死んじまうんじゃないか?」
「そんなもの当たらなければ良いのです。それよりここでは満足に動けません、酒場まで移動しましょう。」
そんな訳で二人で酒場に向かって走る。
そう、あっちで暴れてくれれば目撃者もいるだろうし、弁償費は地味君が払う事になる。




