男に首輪とか………
真夜中………ベッドの上で横になっていると、部屋の端の床が下から開いた。
その僅かな音を感知して、俺は目を開けた。
来るとは思ったけど、やっぱり来たか………どうやら何人かがこの部屋に侵入してきたらしい。
部屋の中に2人、隠し通路の奥に1人………
さてさて、何が狙いだ?
物盗りか、ソフィが狙いか………と思ってたけど、まっすぐこっちに向かって来る。
「うーん………ん?うわっ、誰?」
中肉中背の顔が四角い男と、顔が細長い男がこちらを覗き込んでいる。
一応、近づかれて偶然起きちゃいましたアピールをしておく。
「ん?あのババァ、仕込んで無かったのか?まぁいい、ボウズ、俺達と一緒に来てもらう。抵抗はしない方が身の為だぞ。」
「そうそう、お前が見た目通りの雑魚だってのは分かってるからな………今すぐ死にたくないなら大人しくしな。」
「そ、そんな………一体何が目的なんですか?お金なら枕の下です。それで勘弁して下さい。」
体を震わせながら、懇願してみる。
男の1人が枕をどかし、財布と短剣を回収する。
「いいや、俺らはお前に用があるんだわ。と言うわけでこれを首に着けな。」
そう言いながら渡して来たのは何らかの金属でできた首輪だった。
正面に小さな魔石が嵌め込まれている。
はいはい、隷属の首輪ですね………テンプレテンプレ。
「これは?」
「さっさと言われた通りにしろ。俺達も気が長く無いんでな。」
そう言われ、慌てた感じで首輪を装着する。
装着した瞬間、首輪がキィンと音を立てた。
男に首輪とか………誰得………
「よし、立て。」
俺はベッドからすっくと立ち上がった。
表情を無くし、正に洗脳完了といった感じを出してみる。
「うぉっ!?随分従順だな。」
「こいつの性格なんだろ、普通は口だけは嫌がったり罵倒したりしてくるのにな、恐怖で言葉も出んのか。」
嵌めた瞬間洗脳完了パターンの奴じゃなく、意識だけはそのままで身体だけ言う事が効かないって奴でもなく、首から下だけ自由を奪われるタイプか!
完全に読み違った………恥ずかしー。
あ、又は主人の意向に反するともしくは主人の思った時に首が絞まるとか、電流が走るみたいなタイプもあったか。
でも今回は恐らく首から下だけパターンだろ、こんな小物臭いのが黒幕なわけがない。
もし俺が魔法使いだったらどうするつもりだったんだろ?
口が封じられてないんだったら使われるだろうに、魔法。
ちなみに当然隷属はされてない。
嵌める前に魔石に多量の魔力を流しこんで循環させ、プログラムされた魔力回路を全部まっさらの白紙状態にしてやった。
名付けて、魔力ロンダリングフォーマット!
これじゃ長すぎるから、これからは“フォーマット”と呼ぼう。
これ以降使うか分からんけれども
「そ、それじゃあ僕はどうなっちゃうんですか?」
「さぁな………向こうで聞いてみるこった。」
男に促されて、部屋の隅の隠し通路へ向かって歩いて行く。
予想通りというか、階段になっていた、地下通路とかワクワクだな。
真っ暗かと思いきや、薄っすら明るい。
階段を少し降りた所で黒いローブを来た男が土壁にもたれて立っていた。
何でカッコつける人って自分から汚れに行くんだろう?
「そいつは魔法使いさ、お前と違って優秀な全属性使いだ。」
「そうそう、お前が水魔法で抵抗しても、どうとでもなったって事よ。」
男の眉根が寄る、不機嫌そうだ。
そりゃそうだよね、自分の個人情報垂れ流す奴が仲間とか………ご愁傷さま。
しかも………俺が魔法使えるの知ってたんかい!?
口を塞げ、口を!
この狭い空間に、自爆上等で大量の水を発生させたらどうするつもりだったんだよ!
黒ローブは俺が魔法を使えると聞かされて無かったのか、少々慌てた様子で猿轡を噛ませてきた。
良かった………この人は多少マトモみたい。
ひと悶着あったけど、そのまま暫く進んで上り階段を登ると、城壁の外に出た。
城壁の外かー、このまま他国にドナドナされちゃうパターンかな?
と思ったらそのまま城壁に沿って進み、10分程進んだ所で黒ローブが城壁に向かってモニャモニャ言うと、城壁の一部がクルっと開いた。
まるで忍者屋敷だな。




