会合(3人称視点)
ローガンがその場を去った後、酒場の一角で三人の人間がテーブルを囲んでいた。
「さっきのローガン君はお二人から見てどう映りました?」
「俺は良いと思うぜ、後は実際チェックしてたロニー次第だな。」
「私から見ても、彼ならばEランクくらいまでならば十分にやっていけるかと思います。」
「ほう、筋は良いって事か、俺が絡んで行っても動じた様子も無かったし、鍛えていけば化けるかもな。」
男が二人と女が一人、女は先程の受付嬢、最初にローガンに絡んで行った男と依頼中にローガンを見張っていた男の三人だ。
エミリーはメモを取りながら質問を続ける。
「なるほど、依頼遂行中も不正は無かったのですね?」
「ああ、街の外に仲間が居たりとか、店で薬草を買ってくるとか、そうゆう事もしなかった。スライムとの戦闘もそつなくこなしていた。」
ロニーと呼ばれた男は、戦闘の様子を詳細に説明した。
「スライムより強い魔物とは戦えそうですか?」
「ゴブリン3体くらいなら対処できそうだったな。だがそれ以上となると現状では無理、といった所だな。」
ガストンが酒を呷りながら感嘆の声を上げた。
「依頼終了後に話せなかったのが残念だな。何故か急に腹が痛くなってな。」
「おかげで、あの子の中ではガストンさんの印象は最悪のままですね。」
「そうなんだよ………お前のせいだぞエミリー、安全の為とは言え、毎回新人から怖がられる俺の身にもなれってんだ。」
「まぁまぁ、せっかく新しい仲間が入ったんですから、皆で暖かく見守ってあげましょう。」
あの絡みは元々茶番だったのだ。
バスクでは有能な者は兵士を目指す。収入が安定しているからだ。
だからこの街で冒険者を目指す者は兵士の試験に落ちた者が殆ど。
故に報奨金に目のくらんだ新人が実力も無いのに依頼を受け、命を落とす事が多かった。
それを防ぐために、自分の現状の強さを認識させる為に、古参冒険者が一肌脱いでいると言うのが真相だった。
「そうだな………ロニー今日は空いてるか?これから一杯やろうぜ?」
「そうですね、良いですよ。………そういえば、彼はこの後行く当てはあったんですか?」
「なさそうだったので、宿を紹介しておきましたよ。」
エミリーは宿の方を指さした。
「ああ、あそこか。まぁ新人の内はあそこ辺りが妥当だろうな。あいつも誘って歓迎会でもやってやるか。」
「ガストンさん、今日は止めてあげた方が良いのでは?彼も初依頼で疲れているでしょうし。」
「そうだな、それじゃお疲れさん。」
「では。」
二人は揃ってギルドを後にした。
「あの二人も引退した身だというのに、本当に優しい人達ね。さてさて、私も残りの仕事をやっつけちゃいましょう。」
残されたエミリーも立ち上がり、ギルドの奥へと消えていった。




