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NEXUS×NEXT  作者: HS
No.1 コラボ
26/32

1部 「異界からの来訪者」

ヨキさんの「異世界で命をかけた戦いなんてどうでしょう?」とのコラボです。



NEXUS×NEXT コラボ


俺は東京総合行政統括区域第二十八放置区域に足を運んでいた。と言うのも、先日に行ったゴミとの戦闘で、俺の主武装(メインウェポン)である暮刃が破壊されてしまったからだ。

二十八放置区域の前時代的な乱立した高層ビル群を見上げながら、俺はあることを思考していた。

(……何だ?力の集まり方がおかしい?)

『霊力』と言う、その気になれば物理法則ですらも捻じ曲げられる(反動で確実に術者は死亡するが)力を扱うからなのか、魔術師は目に見えない力を感知する事に長けている。

その力の歪みが、とあるビルの一室に収束していたのだ。

とは言え、そんな事を気にしていても仕方が無い。

何時も通りとあるビルのエントランスに入り、エレベーターの回数ボタンを規則性を持って押す。

エレベーターが下に動きだし、音を立てて開いたのを確認した俺は、何時も贔屓にしている武器商店に入店した。

「お、来たか坊主!」

黒人のガタイの良い店主に出迎えられた俺は、

「それは良いけど、頼まれたものはできてる?」

素っ気なく返して店主の返答を待つ。

「可愛げのねぇ坊主だなぁ……ホラ」

仏頂面と共にテーブルの上に置かれて居たのは、「柄」と「刃」に分割された暮刃だった。

「ご希望に沿って叢玉鉄鋼(メイルダイト)で全部を作って、柄にはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)合金製のレーザー発振回路付きだが……こんなもん何に使うんだ?只のガラクタだろ」

訝しげな視線を向けてくる店主に対し、俺はある物を懐から取り出す。

「それは……魔封石(ディザイア・ジュエル)か?」

「ええ。『物質結合』と『光変換』の術式を突っ込んであります」

魔封石(ディザイア・ジュエル)とは、要するに霊力の集積体だ。鉱物化するまでに圧縮された莫大なエネルギーは、それ自体が事象改変の為の媒体になる。何より、物理的な回路が必要ではない為、非常に使い勝手が良い。

一人の魔術師が霊力を一ヶ月程度込め続けて作らるれるこの魔封石(ディザイア・ジュエル)は、魔導工学関連の人間にとっては垂涎の一品だ。

魔封石を、暮刃の柄と刃の接合部分の柄側にある接続装置(ターミナル)に嵌め込み、柄を握り締めて霊力を流し込む。

「これは……」

店主の驚愕の声が聞こえ、暮刃の接合部分から光の刃が伸びる。

高収束レーザーブレード、と呼ばれるものだ。

流し込む霊力の量を調節することで刃を1メートルちょっとの長さにする。

「……問題無し」

そう呟いて光変換の術式を思考操作でカットし、物質結合の術式を起動する。

ガシャン!

機械的な音と共に柄と刃が一体になり、元の暮刃の形に戻る。

「霊力を伝達させる事による硬度の強化……叢玉鉄鋼(メイルダイト)の利点をこんな所で使うとはな」

店主の言葉通り、暮刃の刃部分には薄っすらと薄青の光の線が通っていた。霊力が伝達されている証拠だ。

「良い仕事です。有難う御座いました」

そう礼を言うと、

「良いってーの。『暫定世界最強』さん?」

店主に皮肉を返され、思わず鼻白む。

「極東の帝王家」、その当主が死亡したというニュースは瞬く間に“裏世界”を駆け巡った。

そして、誰もが最初に思い浮かべるのが、世界でも五指に入る戦闘能力を持つ『戦場の死神』こと俺だ。

実際にはぎりぎり辛勝だったものの、俺が現世界最強である事は、一部の裏の人間なら誰もが知っている。

「はぁ……」

そう溜息をついて、武器商店を出た俺はビル街を歩く。

と、

(……何だ?)

違和感を覚え、足を止める。

「………………………」

辺りを見回すが、敵の姿は無い。振り向きかけていた足を戻すーーーーッ!?

「おい、お前」

「ッ!?」

反射的に振り向くと、何時の間にか男が立っていた。黒髪黒目の男……大学生くらいだろうか。ニメートルはある大剣を背中に担いでいる。

「何か用ですか?」

取り敢えずは仮面を取り繕って声を返す。

「ここは何処だ?」

「何処って……東京総合行政統括区域第二十八放置区域ですけど……ここに来るのは初めてですか?」

ここを知らない人間はまず居ない。東京の膿であるこの退廃したスラム街は、表裏問わず結構有名なのだ。

「東京……?こんな錆びた街がか?」

「まぁ、他の所はこんなじゃ無いですけど……避けてッ!」

ダダダダダッ!!

寸前まで俺と男性が立っていた立ち位置にいきなり無数の弾痕が描かれる。

男性の方を心配して見遣るが、心配は無用のようだった。手にした大剣で千を超える弾丸を切り払っていた。

……ん?切り払っていた?

(オイオイマジかよ……)

大剣を盾にする人間は見た事があるが、大剣を普通の剣と同じ様に扱う人間は一寸俺にも覚えが無い。

まず相当な手練なのは間違い無い。心の中で警戒のレベルを引き上げ、俺は着地してきた男性に声をかける。

「大丈夫ですか?」

「あぁ。あいつらは何だ?」

「恐らくは俺を狙った特殊部隊でしょうね……危ないから離れていて下さい」

訳の分からない人間に闇討ちされるのは流石に避けたい、が、

「ふむ……あいつ等は俺の方も狙ってるようだが?」

「久し振りね。一条士」

「……更科七葉」

更科の声に反応して振り向くが、更科の体から放出される不穏な霊力反応に眉を顰める。

「日本国憲法特記事項第一ニ条に従い、その男の身柄引き渡しを要求します」

「特記事項第一ニ条って事は……侵食者(イロウショナー)関連のやつか?」

「先程、大規模な次元変動が対地観測攻撃衛星『天御柱(アメノミハシラ)』に観測されました。その中心に居たのがそこの男です。最低限事情を聞く必要があります」

「聞くも何もそんな物方便だろ?……取り敢えずここにいた方が良いです」

男性にそう告げる。今更科が告げた事が正しいのなら、下手したら日本の国防にも関わる事態だ。慎重さが要求される。

「って言うか、『天御柱』は霊力観測に特化した衛星で、スパイ機能は搭載されていなかった筈だ。タネが古いぞ」

「そうですか。では、特例事項第二三項に従い、目標の武力制圧を開始します」

その言葉と共にアサルトライフルの弾幕が降り注ぎ、俺は暮刃をレーザーブレードモードで起動。ブレードを盾状に成形し、弾丸を蒸発させる。

「貴方!ここから逃げ……」

「良いのですか?一条士。それは契約不履行と見做しますよ」

「……ッ!」

更科の言葉に思わず声を止める。

契約不履行……か。

最悪物理的に契約を改正するという手もある物の、今の状態でそれをやっても最低限の譲歩しか引き出せない。

何かでかいスキャンダルは………………………あるじゃないか。今、この状況だ。

世界にその名を轟かす更科家当主が、「無抵抗」な一般市民を攻撃しているという格好のスキャンダルが。

しかも、恐らく更科は洗脳の影響下。やったのは更科巌だろうが、これなら更なる譲歩をもぎ取れる。

只、それには、まずあの男性と戦う必要がある。……自身と同格の実力者は久し振りに見るが、身体強化がある以上、下手に負けることは無いだろう。

「………………………仕方ない。俺も、妹の生活が掛かってるんだ」

如何にも悲痛な表情を演出して、男性の方に顔を向ける。

因みに、生活が掛かっていると言うのは強ち嘘では無い。これが失敗した時点で俺は更科に『譲歩しなければいけない』側になる。

それだけは、絶対に避けたい。

「お前は、それで良いのか?」

「……良いも何も、もうとっくに決まってる」

そう呟き、暮刃を構える。レーザーブレード形態の暮刃は、元の暮刃と随分質量バランスが違うが、慣らしの意味も込めてこれを使う。

「そうか。悪いが……少し眠ってもらう」

そう男性が呟いた瞬間、俺の目の前には大剣の背があった。

「グッ!?」

反射的に掲げた暮刃でその一撃を叩き落とし、距離を取る。

「速い……けど、ゴミ程じゃない」

十分俺の身体強化で届くレベルだ。

「……驚いた。あれを躱すとは」

男性は驚いた様に言葉を零す。

「仲間割れ、ですか……なら、共に潰すのみ!」

更科の言葉を号令にアサルトライフルの弾丸が降り注ぐが、レーザーブレードの暮刃にとっては防ぐのは簡単だ。

霊力を更に込め、ブレードを伸長させる。

一メートルの長さから五メートルほどの大剣に瞬時に変化。

弾丸を斬り飛ばすと同時に大剣を小太刀レベルまでサイズダウン。

後ろから斬り掛かってきた男性の大剣を受け流し、大剣の腹を蹴り飛ばす。

男性は大剣を手放しこそしなかった物の、大きく大剣を弾かれ、その隙を逃さず更科の腰を引っ掴みビルに飛び移る。

跳躍の途中で更科に霊力を流し込み、洗脳術式を解除。

「……はっ!?私は?」

「操られてた。暗部の長がザマァ無いね。まずは、あの男性(ヒト)をどうにかするとしよう」

「うぉぉっ!!」

意気込んで跳躍してくる男性を見ながら、次の一手を思考する。

……と、

ドンッ!

反射的に傾けた頬に切り傷が走る。

(事象変化……しかも、面に対する概念操作形!?)

概念操作は術式としては中程度の難易度に属するが、点ではなく面に作用する術式となると、その難度は桁違いに跳ね上がる。

男性は発生させた衝撃の壁を蹴り飛ばす事でこちらに接近してきたようだ。

(それにしては、いやに改変の強度が小さい……)

振り向くまでの数瞬を使って思考する。

あの術式に使われている改変出力は、魔術のそれよりも遥かに小さい。

詰まる所、

(世界からの直接的なバックアップ……正しく「人外」だな)

世界からその力を認められ、扱う事を許可された者。

「真理への到達者(アカシックレコーダー)」と呼ばれる、常識の埒外の存在である。

但し、その分改変強度で劣る為簡単に破壊できる。

二撃目が発動する前に座標干渉して術式を破壊し、ビルの床に降り立つ。

「今の内に離れたらどうだ?」

男性は驚愕している筈だが、すぐに持ち直してこちらに話しかけてくる辺りは流石玄人(プロ)だ。

「……この腐り切った街にはそこかしこに監視カメラが仕掛けられている。逃げたって無駄だ」

男性の申し出は有り難かったが、こちらの目的からしてみれば悪手だ。渋々といった感じで拒否し、暮刃を構え直す。

事象改変の前兆が確認しにくい以上、見てから対応する事になるが、実力が拮抗している以上こちらがやや有利と思われる。

「そうか。多少手荒になってしまうが、悪く思うなよ」

その言葉と同時に距離が詰まる。二十メートルの距離を一瞬でゼロにするこれは、紛れも無く『縮地』だ。

抱えていた更科を適当な所に放り投げ、暮刃を振るいその刃の軌道を変える……寸前で事象改変の気配を察知。半歩バックステップを踏み、「横殴りに」軌道を変えた大剣を鼻先で見切る。

バク宙と同時にサマーソルトキックを叩き込むが、腕で押し留められる。男性は足をこちらに引き込もうとしているが、それも織り込み済みだ。

ドゴンッ!

もう片方の足を地面に叩きつけ、その反動で上昇。同時に魔術を用いて自身の体を現空間座標に固定。円周運動の要領で足を掴んだままの男性の体を跳ね飛ばす。

男性の体はビルの床をブチ抜き、一つ上の階層へ消えていった。

(……やり過ぎたか?)

そんな思いが頭を過るが、あの程度で死ぬはずが無いと思い直し、更科の回線に通信を繋ぐ。

『更科七葉。適当な所でお前が間に入って止めろ。ある程度戦闘は長引かせるが、それまでに記憶の整理でもしとけ』

『え、えぇ……』

黒幕の情報を知るのは現時点で更科だけだ。それをある程度整理しておかないと要領の得ない説明になってしまう。男性の協力を仰ぎたい以上、それは必須事項だ。

『回線は開けとく。記憶の整理が着いたら教えろ』

『……分かったわ』

年下に命令されるのが不服なのか、不承不承といった感じで頷く更科だが、裏社会なら年下に顎で使われる事もまま有り得る。

(……さて、来たか)

心の中で呟き、人間大の穴に視線を向ける。上の階層の床の縁に手を掛けてこちらの穴の縁に着地した男性は、全身に『衝撃の鎧』を纏っていた。

「随分と様変わりしましたね。イメチェンですか?」

「フン。そう思うならそう思えばいい」

皮肉って質問するが、男性は意に介した様子も無く返す。

「衝撃」の術式を体内に随時循環させる事で、接触した相手に迅速に衝撃を叩き込む。

シンプル故に効果は絶大。但し、その状態になったのはこちらとしては有り難い。

さっきも説明した通り、俺と男性の間にある情報改変出力の差は甚大だ。同格の出力を持つ相手なら、この戦法は最も効果的ではある。然し、「真理への到達者(アカシックレコーダー)」である弊害として、どんな術式でも反動無しで扱う事が出来る物の、その改変出力はどうしてもその魔術本来の事象干渉強度に劣る。

『安全で完璧な魔術など存在しない』

魔術が発見されて二十年弱。その間に行われた膨大な数の人体実験と試行錯誤(トライ・アンド・エラー)の果てに導き出された結論だ。

その結論に従うならば、そして、先程男性の術式を解体した感触を合わせた結果、

(0.01秒間触れて、霊力を男性の体内に流し込めば、あの術式は解除できる)

空間制御では改変出力が分散してしまう為、こちらが押し負けてしまうが、その点、触れればダイレクトに力を伝えられる。

同時に、霊力を流し込む事によって体内エネルギーを掻き乱し、体の自由を奪う狙いもある。

男性の大剣を躱し、自身の足を霊力で強化しながら男性の足を払って跳躍。衝撃の弾丸を暮刃で切り裂くが、同時に男性に暮刃のブレード部分を掴まれ、衝撃が送り込まれる。

ドパンッ!

概念的な振動を送り込まれたブレード部分が爆散する寸前で柄とブレードを物理的に切り離す。即座にブレードを展開し直し男性に一閃を見舞うものの、男性の大剣に阻まれる。

「チィッーーーー」

「……やるな」

男性の大剣を暮刃で迎撃し、切り返しで薙ぎ払いを見舞うが大剣に叩き落とされる。暮刃を展開し直し刺突……大剣で弾かれる。男性の反撃を躱しながら男性の懐に飛び込み、

「……」

「なっ……」

男性の肩口に触れ、霊力を瞬間的に流し込む。衝撃の術式を破壊すると同時に、男性は膝から崩れ落ちた。

男性と俺の実力は拮抗しているが、俺の得物が直剣で、男性の得物が大剣だった時点で俺の方が有利だ。

あの馬鹿でかい大剣を振り回すにはそれ相応の予備動作が必要で、しかも殺さない様にだろうが、攻撃を無意識に手加減していた。

これなら大丈夫だろうと判断して離れようとしたその時、

「セイッ!」

唐突に声が聞こえ、半身になった俺の体の側を紙一重で大剣が通り抜けていった。

(なんーーーーッ!?回復はまだもう一寸先だろ!?)

驚愕しながらも掌底を男性の胸へ打ち込むが、命中する寸前で男性に手を掴まれ、逆側に投げ飛ばされる。

(鮮やか過ぎる返し……妙なアレンジが入ってるけど、合気道か?)

合気道は一応俺も習得してはいる物の、まさか男性がその使い手だとは思わなかった為一瞬反応が遅れる。

魔術で自身にかかる重力を擬似的に増大し、着地。それと同時に増大させていた重力を反転させ、重力低減と疑似質量低減の術式を起動。更に縮地を併用する事で数十メートルもある男性との距離を一歩で零にする。

意識を最短で刈り取る為に寸頸のモーションを取った所で、横合いから声が掛かる。

「ちょっと!ストーップ!」

その言葉に俺と男性は同時に動きを止め、更科の方を見る。僕の手は男性の左胸一歩手前の所で止まり、男性の手は俺の喉元で止まっていた。

(あの速度に反応したのか……?そこまでの身体スペックは無かった筈だ)

この技は、元々ゴミを殺す為に考えていた技の一つだ。

それに反応出来るのならば、この男性はゴミと同レベルの身体能力を持っていることになるが、打ち合っている時の男性にそんな素振りは無かった。

「……では失礼して。私は日本帝国軍第三特務分室所属、更科七葉です。先程の無礼な真似は平にご容赦を」

「俺は世界機密国際機動隊所属特等捜査官。藤堂駆だ」

「……それは世界機密諜報機関(WSIO)じゃなくて?」

国連傘下の組織といやに名称が似ているが……非公式組織なのか?

「それがなんだか知らんが……説明を頼めるか?」

「えぇ……恥ずかしい事に、私は身内に催眠術式で操られてしまいました。下手人の目的は恐らく一条士の排除。それに駆さんは利用される形となりました」

「霊力反応が確認されたのは事実なのか?」

「えぇ。下手人にとっては正しく渡りに船だったでしょうね」

俺の質問に肯定で返す更科を見て、俺は軽く溜息をつく。

「それで、お前はどうしたい?」

俺の言葉に、更科は予想通りの言葉を返した。

「一条士。貴方に対して、日本国憲法特例事項第一条裏一項に基づき依頼を申請します」

「で、内容は?」

「目的は……「おい、依頼ってのはどういう事だ?」……どうかされましたか?」

更科が口を開きかけた所で、今まで沈黙を守っていた男性……駆さんが声を上げる。

「依頼って、人を殺すのか?」

「ええ。一条士に依頼したいのは、下手人……更科巌一派の殺害です」

「………………………」

「分かった。報酬は?」

「助けてもらった恩を考えると、私からは釣り合うものが提示できそうにありませんね……そちらで考えて下さい」

「フェイクだな……『天御柱』への最優先アクセスコードと、織奈への手出し禁止」

「……了解しました。成功の暁には、必ず」

「おい、何でそんな簡単に……人を殺すとか言えるんだ?」

呆然としていた駆さんの声に、更科共々思わず吹き出す。

「……何が可笑しい」

「いえ。人の命が重い?人は尊重しなければならない?ーーーーそんな物は、表の話です」

「なっ……」

「俺は兎も角として、更科は暗部。人の命を掛け(チップ)にして動く壮大なパワーゲームのプレイヤーですよ?今更十人や百人「程度」の命で怖気づく訳が無いじゃないですか」

「どうせ何れ「粛清」する積りだったので、それがこの時だっただけです」

「そんな馬鹿な事があってたまるものか……」

呆然としている駆さんの声を聞きながら、俺は移動する為の算段を立てる。

「巌が詰めている所は?」

「二十八区よ。ここから……右に二kmね」

「FBIの日本詰所……合同作戦か?」

「その可能性が高いわね……行きましょう」

「駆さんはどうします?」

「あぁ……俺も行こう」

俺が声を掛けた時点では、もう冷静さを取り戻していた。

「じゃあ、行きましょう」

そう言って、歩き出した。







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