↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/17

第9章:屠殺者(とさつしゃ)と父

排気パイプの中での目覚めは、光への帰還などではなかった。

それは、彼自身の記憶の底からの、遅く泥沼のような浮上だった。


カエルが目を開けると、彼を幽閉するこの場所の不気味なサウンドトラックとして、ダクトの絶え間ない低いハム音が響いていた。

前回の狂暴な退行に伴っていた骨を刺すような痛みは、鈍い疼きへと変わっていたが、代わりにさらに陰湿なものが彼を襲った。


飢えだ。


それは、配給を一食抜いた男の飢えではない。

胸の中にブラックホールが生じ、内臓を喰らい尽くし、異星の変態の暴力に耐え抜いたばかりの細胞への燃料を要求する『原始的な呼び声』だった。


カエルは上半身を起こした。関節が錆びた金属のようにきしむ。

肩甲骨の下にはまだフクロウの翼の幻影的な緊張感があり、そのグロテスクな力を使って下へ滑空したいという誘惑があったが、彼は歯を食いしばってそれに抗った。


『温存しろ』

彼は自分に命じた。変異のたびに、正気を失うリスクを伴う盲目的なギャンブルになる。

飛びたくはなかった。歩きたかった。一歩ずつ、現実にいかりを下ろしたままでいたかった。


暗いダクトの中を這い進む孤独の中で、彼は考えざるを得なかった。

『俺は、何者なんだ?』


かつては禁じられていたその問いが、今はコンクリートの壁に反響している。

自分はこの地獄で偶然生まれただけのハイブリッドなのか? それとも、第2区画で記録が燃やされ、怪物たちが歴史から消し去ろうとしたあの『プロジェクト・キメラ』の本当の産物なのか?


彼は立ち止まった。指が床の乾いた泥に沈み込む。

答えは分からない。だが、自分が何者であろうと、忘れ去られた実験室で自分のDNAにどんな罪が犯されていようと、今この瞬間に感じていることは変わらない。


胸の痛み、アナベルの元へ帰りたいという絶望的な願望、そして自分自身を失うことへの内臓を抉るような恐怖……

それらは紛れもなく、人間の感情だった。

もし奴らが俺を造り出したのだとしても、奴らは俺から魂を奪うことには惨めに失敗したのだ。


ダクトは唐突に終わり、工業用建造物の深淵を見下ろす金属の棚へと開けた。

カエルは身を乗り出し、息を呑んだ。


目の前には巨大な要塞がそびえ立っていた。

溶接された金属板、工業用ボルト、そして黒い蒸気を上部へ噴き出すパイプで構成された怪物。

第5区画だ。

獰猛な警備兵と致命的な罠についての伝説が語られる場所。


彼は建物の基部を観察した。鉄の棒や鎖で武装した巨大なハイブリッドの集団が、正面入り口を守っている。

飛び降りて『ベア』に変異し、動くものすべてを引き裂くこともできた。だが、嫌悪感の波が彼を止めた。

『俺は屠殺者じゃない』彼は自分に言い聞かせた。『まだ、な』


捕食者の鋭い視線で周囲を分析し、奴らの傲慢さの中にある欠陥に気づいた。

下層階には警備兵が群がっているが、見えない天井に向かってそびえ立つ要塞の高い壁には、誰もいなかった。誰も上を見ていない。


彼は音を立てずに登攀とうはんを始めた。

トカゲのように動き、何もないように見える場所に手掛かりを見つけ、ミリ単位の精度でネズミの筋肉を屈伸させる。

変異は一度も使わなかった。ゲームが過酷になった時のために、すべてのエネルギーを温存する純粋な意志の訓練としてこの登攀に挑んだのだ。


頂上に到達すると、巨大な排気ファンの影に身を平たくした。

眼下の通路は、暴力のキャンバスと化していた。


豚蟹の獣人ボア・クラブ・ハイブリッド――『屠殺者』が、重くリズミカルな足取りで要塞の中を前進していた。

角を調べたり罠を警戒したりする様子はない。区画の構造的完全性などお構いなしに、自然災害のように動いている。


細身で絶望したコヨーテの獣人コヨーテ・ハイブリッドが、ノコギリ状の刃を手に柱の影から飛び出し、自殺的な突撃を仕掛けた。

怪物は立ち止まりすらしない。巨大なキチン質のハサミを無造作に振り抜いた。

衝撃音は吐き気を催すものだった。コヨーテは金属の壁に叩きつけられ、濡れた羊皮紙のように体がぐしゃぐしゃに潰れた。

屠殺者は、背後に残した死体を振り返ることもしなかった。


カエルは上の梁から彼を追跡し、怪物の小さく残酷な豚の目が、すべてのドアと端末を吟味していることに気づいた。

ただ道を切り開いているのではない。誰かを探しているのだ。


突然、屠殺者の頭上の梁から、ぼやけた影が飛び出した。

女だった。栗鼠の獣人スクワラル・ハイブリッドだ。爆発的な運動エネルギーを解き放つために作られた、細くしなやかな手足。


彼女はただ着地したのではない。激突した。

怒りのシューという音と共に、ボアの巨大なキチン質の胸に真っ直ぐ身を投げ出し、破城槌のような力で爪の生えた足で蹴りつけた。


屠殺者は低く耳障りな音で唸り、半歩後ずさった。

カエルが、あの怪物がバランスを崩すのを見たのはこれが初めてだった。


栗鼠の女は錆びたスクラップの山の上に優雅に着地し、興奮で尻尾をピクピクと動かした。

屠殺者は即座に体勢を立て直し、ハサミの硬いキチン質を金属の罠のような音で弾き鳴らす。彼女を真っ二つにしていたであろう一撃が放たれたが――栗鼠の女はすでにそこにはいなかった。


彼女は目も眩むほど速かった。

鈍重な屠殺者が彫像に見えるほどの、動きの混沌としたサイクロン。

カエルはナイフから手を離したままでいた。『観察しろ』と自分に言い聞かせる。手札を晒すな。

女は致命的なゲームをプレイし、自らの速度と引き換えに打撃のチャンスを得ていたが、永遠にあのハサミを避け続けることはできない。


「お前は一体何なんだ?」女が吐き捨てるように言った。その声は鋭く、反抗心で震えている。「誰を探している?」


屠殺者は動きを緩めた。その重い呼吸は、錆びたふいごのような音を立てていた。

「俺は第5区画を頂くために来た」彼の声が轟き、金属の床を揺らす。「お前たちのボスを探している。暗闇の中での奴の時間は終わったと伝えろ」


栗鼠の女は怯るまなかった。彼女の姿勢は、機敏なスカベンジャーのものから、より冷酷で致命的なものへと変わった。

「間違いを犯しているぞ、屠殺者」彼女は声を低く危険な音域に落とした。歯をむき出しにし、その瞬間まで隠されていた権威の光を燃やして彼を見据える。「第5区画のボスに用か? あんたは今、彼女を真っ直ぐ見ているんだよ」


屠殺者の面白がりは、喉の奥の唸り声へと凝固した。

「お前が?」怪物は軽蔑を滴らせてしゃがれ声を出した。「お前がこの糞山のボスだと? 巣穴から這い出たばかりのような、ちっぽけな栗鼠が?」


女は言葉で答えなかった。

ピクピクと動く筋肉が詰まった彼女の小さな体が、弓のように限界まで引き絞られる。

空中で尻尾を鋭く鳴らして加速し、強力な跳躍と共に攻撃を仕掛けた。

空中で彼女の片頬が不自然に膨らみ、ほんの一瞬変形したかと思うと、弾丸のような速度で強化金属製のハンマーを吐き出した。


不意を突かれたボア・クラブは、辛うじて巨大なハサミを顔の前で交差させて身を守った。

ハンマーは金属的な甲高い音を立てて衝突し、バンカーの壁を揺らした。ハサミの殻にクモの巣状の亀裂が瞬時に広がる――怪物がこれまで知らなかった、弱点の兆候。


「お前は今、自分の死刑執行令状にサインしたぞ」ボアは憎しみを滲ませてシューッと息を吐いた。


硬い剛毛に覆われた彼の巨大な足が、止めることのできない突進で前方へ弾ける。

栗鼠の女は避けようとしたが、巨獣の速度は大きさに全く比例していなかった。かすめるような一撃が彼女を直撃し、区画の土台を揺るがすような暴力的な力で彼女を床に叩きつけた。


天井のパイプから見ていたカエルの心臓が跳ねた。

地に倒れ、無防備になった女の姿を見て、明確なイメージが脳裏に焼き付いた。

第8区画で初めてアナベルに会った時のことだ。同じ脆さ。彼が守ると誓った、彼女の目にあるのと同じ光。


ボア・クラブが獲物に近づく。ハサミは彼女を解体する準備ができている。


カエルは考えなかった。選択しなかった。

キメラが、痛みと絶対的な力の交響曲の中で彼の中で爆発した。

骨がほんの数分の一秒で砕け、再び結びつく。推力を生むウサギの足、流動性を生むヴァイパーの体、空を切り裂くフクロウの翼。

彼は肉と本能の発射体となり、女と死刑執行人のちょうど中間に着地した。彼のコンバットナイフはすでに、怪物の弱点に深々と埋まっていた。


嵐のような速度で、カエルは栗鼠の女を掴み、ハサミの届かない金属スクラップの山の上まで引きずって安全を確保した。

そして再び下に降り立ち、ミュータントに立ち向かう準備をする。


「なぜ第2区画の記録保管所を燃やした?」カエルは要求した。彼の声が静かな部屋に鞭のように響く。


ミュータントは凍りついた。

彼はそのハイブリッド生物を、毒素と変異の緊張でまだ震えているその肉のモザイクを観察した。

人間性が完全に欠落した歪んだ笑みが、ボアの豚のような顔に広がる。


「お前か……」怪物は臨床的な好奇心で頭を横に傾け、しゃがれ声を出した。「お前が、我々に生まれるチャンスを与えてくれたネズミに違いない。パズルの最後のピース」


狂信に満ちた不吉な光が、彼の小さく残酷な目にきらめいた。


「知っているか。ある意味で……俺はお前を『父』と呼べるかもしれないな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。