第6章:錨(いかり)と瓦礫
目覚めは、光への帰還ではなかった。
熱病の深淵から、泥の中をゆっくりと這い上がるような感覚。
カエルがようやく目を開けた時、最初に感じたのは胸を押し潰すような重圧だった。
まるで自分の骨がドロドロに溶かされ、間違った鋳型に流し込まれて冷え固まったかのようだ。
息をするたびに肺が擦れる。ヴェインの隠れ家特有の、オゾンと錆とカビの悪臭が充満していた。
自分がどれくらい眠っていたのかは分からない。
ベアのDNAによって強制された暴力的な膨張のあと、彼の肉体は細胞たちが必死に再編成を試みる戦場と化していた。
「ようやくお目覚めか」
影の中からヴェインの声が響いた。冷たく計算されているが、いつものような傲慢さは欠けている。
カエルはゆっくりと首を回した。錆びた蝶番のように首の関節がきしむ。
第7区画のボスは弾薬箱の上に座り、安全な距離を保っていた。
「私たちがここに閉じこもっている間は、二度とあの忌まわしい姿に変異しようなどと考えるなよ」
ヴェインは付け加えた。反論を許さない口調だったが、その目に浮かんでいる新しい感情をカエルは読み取った。
それは、警戒心に満ちた畏敬の念と恐怖だった。
「あれは……肉の地震だ。もしこの中でコントロールを失えば、私たちを死から隔てる壁など一枚も残らないだろうからな」
部屋の隅で、不穏なシルエットが動いた。昆虫の獣人だ。
彼の外骨格はあちこちひび割れ、樹脂とダクトテープで無造作に補修されていた。その足は金属の床を神経質にカチカチと叩いている。
彼は喋らなかった――喉からは鳥肌の立つようなゴロゴロという音しか出ない――だが、複眼でカエルを見つめるその様子は、まるで起爆状態の爆弾を値踏みしているかのようだった。
カエルは謝罪しなかった。
関節で爆発する痛みを無視して、無理やり上半身を起こす。
「あんたは本当に、第二階層の警備兵だったのか?」嗄れた声で尋ねた。「どうしてこんな第7区画に落ちてきて、スクラップの山のボスなんてやってるんだ?」
ヴェインはコンクリートを擦る枯葉のような音でため息をついた。
彼はボロボロのコートの襟元を引き下げ、今まで見せたことのない火傷の痕と外科手術の傷跡を露わにした。
「そうだ。私は制服を着ていた。第1区画と上層へのアクセスの境界にあるセキュリティ・ゲートで働いていたんだ。私が障壁だった。私の任務は単純だ。この第3階層の底を這い回る『何者も』――絶対に何者も――第2階層を汚染しないようにすること」
「じゃあ、何が変わったんだ?」カエルは追及した。
「野心さ」
ヴェインは虚空を見つめ、苦笑いを浮かべた。
「私は第1階層へ行きたかった。この世界の天井の向こう側に何があるのかを見たかったんだ。だが、私は間違った同僚に秘密を打ち明けてしまった。彼は私を裏切った。私の階級を剥奪し、この穴の底まで突き落とした。こうして私は、腐りゆく金属板に囲まれ、寄生虫や絶望した者たちを支配する羽目になったというわけだ」
カエルは拳を握りしめた。
ヴェインの物語は、彼自身のものとさして変わらない。脱出の試みは、墜落によって罰せられたのだ。
「じゃあ、上への行き方を知っているんだな」それは質問ではなかった。
ヴェインは頷いたが、その表情は暗くなった。
彼は立ち上がり、金属の壁に引っ掻くように描かれた粗末な地図へと歩み寄る。
「行き方は知っている。だが、私たちを見てみろ、カエル。たったの三人だ」彼はローチを指差し、昆虫は同意するように羽音を鳴らした。「その道は、君が普段使っている狩猟用のトンネルとは違う。フィルターがあり、検問所があり、君が想像すらできないような捕食者たちがいる」
ヴェインの手袋をはめた指が、地図上の線をなぞる。
「第5区画は軍事化された要塞だ。だが、直近の問題は第6区画だ。君がベアを殺したことで、権力の空白が生まれた。あの区画は今、主のいない墓場と化している。誰もが支配権を握ろうと殺し合っている。そして、それこそが私たちが通らなければならない場所だ」
カエルは自分の手を見た。巨人の頭蓋骨を砕いたのと同じ手だ。
上方への道はもはや遠い夢ではなく、積み上げるべき死体の山となっていた。
「24時間やろう」
ヴェインは落ち着かない目でカエルを振り返り、宣言した。
「用事を済ませ、体を休めろ。第6区画へ続くトンネルの入り口で合流する。一分でも遅れたら、君を置いて出発するぞ」
カエルは答えなかった。
自分の「用事」には名前があり、心臓が鼓動していることなど、彼に言うつもりはなかった。
彼は外套を掴み、震える足で立ち上がると、暗闇の中へと飛び出していった。
第8区画への帰路は、偏執的なダンスのようだった。
カエルは幽霊のように動き、かすかな金属のきしみ音にも体を冷たいコンクリートに平たく貼り付けた。誰も信用しない。
交差点に差し掛かるたびに、建物のうめき声の中から追跡者の心音を聞き分けようと、ネズミの耳が痛むほどに神経を尖らせた。
ブーツが第8区画の床に触れた時、ようやく筋肉の緊張が解け始めた。
隔壁のロックを解除する。レールを滑る金属の摩擦音は、彼がこれまでに聞いた中で最も甘美な音だった。
その対比は暴力的で、痛みを伴うほどだった。
血と錆の刺激臭は、湿った土と発光キノコの香りによって洗い流される。ここは、腐敗の海に浮かぶ平和の島だ。
アナベルがそこにいた。部屋の中央で、作物の手入れをしている。
ドアの音で彼女が振り向いた時、その視線は警戒から純粋な不信へと変わった。
次の瞬間、彼女の手からカゴが床に落ち、青白い塊茎が地面に散らばった。
彼女は何も言わなかった。言葉は邪魔になるだけだった。
彼女は彼のもとへ走り寄り、その細い腕で汚れた外套ごと彼を包み込み、絶望的な力で抱きしめた。
カエルは躊躇した。自分の手を見る。分厚くなった爪、暴力によって硬く結びついたタコ。
自分は聖域を汚す怪物のようだと感じた。
しかし、アナベルの涙で肩が濡れるのを感じた時――最悪の事態を想像して数日間を過ごした者の、無言で痙攣するような嗚咽を感じた時――彼は降伏した。
彼も彼女を抱きしめ返し、その柔らかい髪に顔を埋め、ほんの一瞬だけ、噛み傷も、血も、深淵もすべて忘れることを自分に許した。
「俺は、ここにいるよ」彼は声を詰まらせて囁いた。
二人は簡易ベッドの端に座り、指を絡ませ合わせた。
前置きに無駄にする時間はない。時計の針は進んでいる。
彼はヴェインのこと、第2階層へ登る計画のこと、そして、出口を見つけられる可能性が本当にあることを彼女に話した。
「こんなの、生きてるって言えないよ、アナベル」彼は避難所の暗い壁を指差した。「ここは緩やかな死刑宣告だ。もし何かのために戦わなきゃならないなら、俺はここで時間や飢えた捕食者に食い殺されるのを待つより、あの天井を突き破ろうとして戦いたい」
アナベルは黙って耳を傾け、カエルの腕の傷跡――彼の戦いの記録――を指でなぞっていた。
涙は止まり、彼女自身の決意を映し出すような暗い決断の光に代わっていた。彼が許可を求めているのではなく、祝福を求めていることを彼女は知っていた。
カエルが身にまとえる、唯一の真の鎧を。
二人は病的ながらも心地よいキノコの光の下で、横に並んで寝転がった。
どちらも言葉を発しない。天井を見つめながら、同じ考えに飲み込まれていた。
24時間のカウントダウンはすでに始まっており、この脆い平和は永遠に終わろうとしている、と。
換気サイクルが低い音を立てて再稼働した。
カエルとアナベルにとって、その音はすべての終わりを告げる合図だった。
別れは短く、シンプルゆえに残酷だった。
アナベルは彼の手を握りしめた。泥だらけの指が、彼のタコだらけの手の上で震えている。彼女の埃まみれの顔に、一筋の透き通った涙が流れ落ちた。
「死なないって、約束して」
めったに見せない感情で声を震わせ、彼女は囁いた。
カエルは彼女を引き寄せ、最後にもう一度抱きしめた。
胸に伝わる彼女の温もりは、崩れゆく世界における唯一の固定点だった。
そして、彼は拘束を解いた。
振り返ることなく敷居をまたぎ、隔壁を密閉する。
彼は、自分に残された唯一の人間性の欠片を、そこに閉じ込めた。
第7区画との境界にたどり着くと、空気は変わっていた。
彼の縄張りの心地よい静寂は、悲鳴、金属がきしむ音、そして新鮮な血の匂いの不協和音に取って代わられていた。ヴェインの予言は的中した。ベアが残した権力の空白の中で、戦争が勃発したのだ。
支柱の影に隠れながら、カエルは二匹の爬虫類のハイブリッドが、周囲の状況などお構いなしに互いの喉を引き裂き合っているのを見た。
さらに奥では、スカベンジャーや絶望した者たちが、水道管の支配権を巡って瓦礫の中で争っている。
カエルは歯を食いしばった。喰らった獣たちに汚染された彼の血が、脈打ちはじめる。
『奴らを喰らえ』本能が囁いた。『奴らは弱い。DNAを奪え』
『違う』
カエルは目を固く閉じ、アナベルの顔を思い浮かべて自分に言い聞かせた。
『今じゃない。俺は、ただの屠殺者じゃない』
彼は小競り合いを無視し、亡霊のように影をすり抜け、すでに積み上がり始めている死体の山を避けて進んだ。
ここでこれほどの混沌なら、第6区画は完全な地獄に違いない。
約束のトンネルの入り口に到着した。彼は暗闇にしゃがみ込み、感覚を研ぎ澄ませた。
誰もいない。
カチッ。
小さな小石が彼の顔に当たった。ど真ん中だ。
カエルは怯むことなく、メインの通路から離れた、さらに深い影の方へとゆっくり振り向いた。
ヴェインが瓦礫の中に隠れていた。自分の影すら信じていないような、氷のような視線を向けている。
二人は、格子から立ち上る有毒ガスの合間で素早く合流した。
「第6区画へ続くトンネルは墓場と化した」フォックス・マンは淡々とした、しかし緊張をはらんだ声で始めた。「ベアの死後、生き残った副官たちが隔壁を封鎖し、通路を罠と爆薬で満たした。あそこを進むのは自殺行為だ」
カエルは眉をひそめた。
「そこを通るしかないんだろう、ヴェイン。他に選択肢はないはずだ」
ヴェインはすぐには答えなかった。彼が横に退くと、カエルが気づかなかったずんぐりとした灰色のシルエットが露わになった。
それは背の低い生物で、分厚い皮膚と、鋼鉄のシャベルのような爪を備えた巨大な前肢を持っていた。極めて敏感な巨大な耳が、地面のあらゆる振動を捉えようと絶えず回転している。
ハイブリッドが鈍い唸り声を上げると、カエルのブーツの下で地面が微かに振動した。彼に攻撃性はなく、地殻変動のような忍耐力だけを漂わせている。
「こいつはグロムだ」
ヴェインはひび割れた土とコンクリートの床を指差し、冷たい期待を込めてカエルの視線と交差した。
それ以上の言葉は必要なかった。要塞の心臓部への突破口は、厳重に警備された廊下を通るのではない。
『大地そのもの』を通るのだ。




