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チートなおじさんが変人に会いました。

遅い上に短くて申し訳ない。おじさん痛いです。


___あれから数日。

瞼の絆創膏も剥がれ、久しぶりに両目で空を見上げる。城の中庭から見る空は青く澄んでいて、初めてこの世界の空を見たときと同じようだった。

国王様は自分を気に入ってくれたし、カサネは優しい、リアンは…なんだかんだ言って良い人だ。傷だらけだったスーツなんてリアンとカサネがとっても『お洒落』に『改造』してくれた。元の質素な黒いスーツ姿の面影等なく、革靴を履いていた足は今や草履を履いており、所々に縫いあとのあるスーツの上に着流しを着ている。当然カサネの趣味だ。通気性が良いのか涼しく、動きやすい。骸骨の竜と戦った時にいつの間にか壊れて外していた眼鏡も御丁寧にフレームが青と紫のグラデーションの綺麗な物に変えてつけている。

瞳の色は相も変わらず変だが、服装はこの世界ではあまり目立たないように、気味悪くないようになったと思う。

そう肌で感じながら眼鏡の位置を直す。その僅かな『カチャ』っという音と同時に後ろの唯一この中庭に通じる扉が開く音が鳴ったのが気づかないほど鈍くなっていた訳ではないが、おっさんの反射神経にも限界というものがある。

さすがに、さすがに超自然的な能力を持ちしかも身軽でスポーツ万能そうな女性の唐突な蹴りを一瞬のうちに回避する事なんて出来ない。

「ぐあっ!」

「おおっ?」

女性は急ブレーキをかけて煙を巻き上げながらストップすると、不思議そうにこちらを見てきた。女性は赤毛を乱雑にポニーテールにしており、前髪は真ん中分けで服装は灰色のタンクトップに迷彩柄のズボン、厚底ブーツに白衣という男のような姿で、一瞬少年かと思ってしまった。

女性は額の汗を拭うと、こちらに目を向けた。

「そこの君、怪我はないか?いきなり蹴ってしまってすまない、敵だと思ったのでな!私はジェイダ。城の中にある研究室で働いている。君は?」

女性、ジェイダはにこやかに言い、話を振ってきた。

それに慌てて答える。

「僕はケンジです」

するとジェイダは驚いたように目を見開いてこちらを覗きこんできた。

「なるほど、君がケンジ、か。うんうん、確かに瞳の色が変だ。だが病気でもなさそうだな。ううむ…」

考え込むジェイダにどう話しかけて良いか困るが、会話の中の沈黙は好きな方ではないので口を開く。

「僕を知っているのですか?」

「知ってるも何も…君はこの国にとって大事な客人、…それと、私にとっての研究材料だからね」

そう言い放った瞬間、ジェイダは白衣のポケットから青い液体の入った注射器を取り出した。そして、それをこちらに勢いよく向けてきた。

「ッ!?」

避けようとするが右腕をガッチリ掴まれ逃げられない。戸惑っていると、右手首にチクッと痛みが走り、注射器の中の液体が体内に注入される違和感を感じた。

「はっ、ぁっ、ぁ……うっ…」

次の瞬間、目の前が真っ暗になり、とてつもない眠気に襲われ、抗いきれず、目を閉じ崩れ落ちた。その後のジェイダの一言も聞けず…。 


「『最強』の研究だなんて楽しみだよ、うふふ」


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