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挿絵(By みてみん)

 赤城を離れたUSー2は、Pー1から受け取っていた位置情報を頼りに、先行する潜水艦部隊の捜索へ向かった。


 すでに赤城からは無線封止を破って作戦中止の緊急通報が発せられていた。第一航空艦隊が反転したこと、ハワイ作戦の機密が失われた可能性が高いこと、攻撃行動を停止して上級司令部からの指示を待つこと。南雲の指揮系統に属さない潜水艦部隊へ直接命令することはできなかったが、少なくとも作戦の前提が崩れたことは伝えられる。


 USー2が最初の潜水艦を発見したのは、それからさほど時間が経たないころだった。

 黒い細長い船体が海面を進んでいた。艦橋から白い航跡が後方へ伸びている。現代の潜水艦とはまるで姿が違い、海自隊員にはむしろ資料写真から抜け出してきたもののように見えた。

 USー2は十分な距離を保って高度を下げた。

 潜水艦側でもすぐにこちらへ気づいた。艦橋に人影が集まり、双眼鏡が一斉に向けられる。USー2は一度側面を見せ、日の丸と「海上自衛隊」の文字が確認できるようにしてから、発光信号を送った。


 キドウブタイ サクセンチュウシ。

 アカギト セッショクズミ。

 ムセン ジュシンセヨ。


 返答はすぐにはなかった。

 潜水艦の艦橋では何人もの人間が動いていた。やがて信号灯が点滅した。こちらの正体を問う内容だった。

 USー2は同じ回答を返した。


 ニホンコク カイジョウジエイタイ。


 それだけで納得されたわけではない。それでも潜水艦側は無線受信を始めたらしく、しばらくすると艦橋上の動きが変わった。赤城からの緊急通報を確認したのである。

 USー2はその場を離れた。

 一隻ずつ説得して回る必要はなかった。旧海軍の通信網が生きている以上、一度作戦中止が伝われば、それが最も早い。現代日本側はPー1などによる捜索を続け、確認できた潜水艦の位置を照合していった。


 一隻。

 また一隻。

 攻撃行動停止の確認が増えていった。


(*注)特殊潜航艇を搭載する母潜水艦についても、まだ艇を発進させる時期ではなかった。各艦へ作戦中止が伝われば、真珠湾口へ特殊潜航艇が送り込まれる事態も避けられる。

 南雲機動部隊は西へ向かっている。

 潜水艦部隊も攻撃を停止した。

 ハワイへ向かったPー1はすでにオアフ島へ到着している。

 いくつもの場所で同時に進められていた作戦が、ようやく一つの結果へ収束しようとしていた。

(*注)特殊潜航艇を搭載する母潜水艦は伊号潜水艦16号、18号、20号、22号、24号が参加

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