↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/4

洗濯バサミ2

第二話


「なんで挟んだ」


老人の家。


⸻


古い。


⸻


以上。


⸻


ユウの感想だった。


⸻


畳。


ちゃぶ台。


扇風機。


テレビ。


新聞。


⸻


全部ある。


⸻


全部古い。


⸻


老人が麦茶を置く。


⸻


「飲め。」


⸻


ユウは飲む。


⸻


老人も飲む。


⸻


沈黙。


⸻


飲む。


⸻


沈黙。


⸻


飲む。


⸻


沈黙。


⸻


ユウ


「帰るわ。」


⸻


老人


「待て。」


⸻


ユウ


「嫌な予感する。」


⸻


老人


「一つだけ聞く。」


⸻


ユウ


「何。」


⸻


老人


「お前、なんで洗濯ばさみ挟んだ。」


⸻


ユウ


「は?」


⸻


老人


「なんでじゃ。」


⸻


ユウ


「なんでって。」


⸻


ユウは考える。


⸻


「いつもやっとるやん。」


⸻


老人


「うむ。」


⸻


「だから。」


⸻


老人


「だから?」


⸻


ユウ


「いや。」


⸻


「挟むもんなんかなって。」


⸻


老人


「ほう。」


⸻


ユウ


「ていうか。」


⸻


ユウは身を乗り出した。


⸻


「なんで泣いてたん。」


⸻


老人


「それは。」


⸻


少し考える。


⸻


「終わったと思ったから。」


⸻


ユウ


「何が。」


⸻


老人


「分からん。」


⸻


ユウ


「分からんのかい。」


⸻


老人


「うむ。」


⸻


ユウ


「何なんお前。」


⸻


老人


「わしもそう思う。」


⸻


沈黙。


⸻


扇風機が回る。


⸻


カタ。


⸻


カタ。


⸻


カタ。


⸻


老人


「お前、思い出あるか。」


⸻


ユウ


「急やな。」


⸻


老人


「あるか。」


⸻


ユウ


「あるやろそりゃ。」


⸻


老人


「一個言え。」


⸻


ユウ


「嫌や。」


⸻


老人


「ケチ。」


⸻


ユウ


「何でジジイに言わなあかんねん。」


⸻


老人


「そうか。」


⸻


老人は麦茶を飲む。


⸻


ユウも飲む。


⸻


沈黙。


⸻


その時。


⸻


ふと。


⸻


本当にふと。


⸻


じいちゃんを思い出した。


⸻


大きなくしゃみ。


⸻


テレビ見ながら寝る姿。


⸻


みかん。


⸻


冬。


⸻


一秒。


⸻


それだけ。


⸻


ユウ


「……。」


⸻


老人


「あるようじゃな。」


⸻


ユウ


「何が。」


⸻


老人


「思い出。」


⸻


ユウ


「別に今のは。」


⸻


老人


「じいちゃんか。」


⸻


ユウ


「なんで分かった。」


⸻


老人


「当たった。」


⸻


ユウ


「当てずっぽうやん。」


⸻


老人


「うむ。」


⸻


老人は少し嬉しそうだった。


⸻


ユウ


「気持ち悪いな。」


⸻


老人


「そうか。」


⸻


ユウ


「てか結局なんなん。」


⸻


老人


「何が。」


⸻


ユウ


「洗濯ばさみ。」


⸻


老人


「洗濯ばさみじゃ。」


⸻


ユウ


「そういう話ちゃう。」


⸻


老人


「赤い。」


⸻


ユウ


「見たら分かる。」


⸻


老人


「百均にもある。」


⸻


ユウ


「知っとる。」


⸻


老人


「じゃろ。」


⸻


ユウ


「じゃろじゃない。」


⸻


沈黙。


⸻


老人は窓の外を見る。


⸻


橋が少し見えた。


⸻


老人


「明日も行く。」


⸻


ユウ


「橋?」


⸻


老人


「うむ。」


⸻


ユウ


「挟みに?」


⸻


老人


「うむ。」


⸻


ユウ


「雨でも?」


⸻


老人


「うむ。」


⸻


ユウ


「台風でも?」


⸻


老人


「一回飛んだ。」


⸻


ユウ


「飛んだんかい。」


⸻


老人


「追いかけた。」


⸻


ユウ


「アホや。」


⸻


老人


「うむ。」


⸻


少しだけ。


⸻


少しだけ笑った。


⸻


ユウ


「帰るわ。」


⸻


老人


「うむ。」


⸻


ユウは立ち上がる。


⸻


玄関へ向かう。


⸻


すると後ろから声がした。


⸻


老人


「明日も来るか。」


⸻


ユウ


「行かん。」


⸻


老人


「そうか。」


⸻


ユウ


「絶対行かん。」


⸻


老人


「そうじゃろうな。」


⸻


ユウは帰った。


⸻


帰り道。


⸻


橋を通る。


⸻


赤い洗濯ばさみが一つ。


⸻


風に揺れていた。


⸻


ユウは少しだけ立ち止まる。


⸻


そして思う。


⸻


「ほんまに何なんやあれ。」


⸻


第二話 終。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。