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ただいま異世界巡回中!  作者: Riviy
三周目 御伽噺ノ古城
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第五十三ゲーム・予想外過ぎて予想外


「はぁ?!あり得ないあり得ない!どういうことじゃおい!!説明求むっ!!」

「湊ちゃん、落ち着いて!」


驚愕と混乱のあまり湊が叫んでしまったのをピィアレナが両肩を掴んで「はい、深呼吸ー」と言って落ち着かせる。ピィアレナが深呼吸するのに合わせて湊も深呼吸を繰り返す。よし、落ち着いた。で、此処は何処だ?そう考え、湊が周囲を見渡すと良かった全員いた。先程まで泡のようなものがついていた清光も泡が取れている。とりあえず、全員無事だ。そうして見渡した光景ははっきり言って殺風景だった。四方八方コンクリート。いや、一面だけコンクリートではなかった。鉄格子になっており、その向こう側には見張り用の部屋と階段があるようでへこみが遠目に見える。


「…牢屋?」

「みたいだよ主人。よくわからないけれど、あの人の逆鱗に触れたようだね」


どうやら牢屋にぶちこまれたようだ、あの泡で。壁に寄りかかりながら龍華が言った。その隣にはツキカゲが座り込んでおり、彼の腕の中から降りた清光が申し訳なさそうに湊の方へ寄ってくる。しょぼーんと耳も尻尾も垂れ下がっているところから自分が原因だと落ち込んでいるようだ。湊は清光を勢いよく抱き上げると自分の顔の高さまで上げ、問うた。


「清光、何か危険があると感じたの?」

「…にゃうん、にゃあ」


清光がむやみやたらに唸るなんてあり得ない。清光が唸るのは今までの経験上、警戒や危険の時だけだ。つまり、あそこにいたのは清光が唸るだけのものだと言うことだ。湊は清光をギュッと抱き締めるとピィアレナと共に座り込んだ。清光は申し訳なさそうな表情をしながら、湊の腕に毛並みを擦り着けた。


「清光がなにか察知して臨時態勢を取ったと仮定して、なんでこうなったの?」

「もう一回説明いるかい?ツキカゲ」

「そういうことじゃなくて。明らかにあの部屋に入った途端、可笑しかったじゃん…逃げれば良かったかな」

「うーん、難しかったんじゃないかな…」


もっともな疑問がツキカゲの口から滑り出る。そう、あの部屋さえも異常だった。魔方陣の中心にいたあの人物と出会った瞬間、シンデレラ()は変貌を遂げた。逃げたくてもあのいびつな瞳に足が止まっていたことは事実だ。それにあの状態で逃げ出せば、どうなったかわかったもんじゃない。そこで湊は「あっ」と声を上げた。そういえば、糸が切れた操り人形のような人物が着ていたのは古びたフードだった。私の記憶が正しければ…


「?マスター?どうかした?」

「あのさ、シンデレラがご主人様だって言ってたの、〈bloody red † bloody rose〉の異端児。プレイヤーポジションの異端児だと思う」

「「「………は?!」」」


驚愕の声が見事重なった。湊は驚くのも無理はないよなと苦笑する。ピィアレナが驚愕した表情のまま、問う。


「え、え、じゃあ、どういうこと?」

「顔は見えなかったし、多分だけどね。

自称神様が私以外にも送り込んだって可能性もあるけど…ないと思う。あの自称、めんどくさがりそうだし。てかさっさと行かせたがってたし」

「あぁー…納得」


湊の考えにツキカゲがくうを仰ぎながら答える。湊をツキカゲと共に送り込んだと云う自称神様に龍華もピィアレナも清光も会ったことがないので二人がそうなる意味が分からず、首を傾げていた。


「あ、質問ほったらかしにされたんだったかしら…」

「…なんだろ、分かる気がして来た」

「なぁん」


二人の説明を思い出したらしくほぼ満場一致。まぁもしかすると本当に送り込んでいる可能性もあるだろうが、あの生気のなさそうな雰囲気とシンデレラの異常なまでの瞳からするとなさそうにも思える。では、どうしてこうなった?ピィアレナが「はい」と挙手をする。それにノるように湊が「どうぞ」と云う。


シンデレラ(あの子)()()()()()()()って言ってたわよね?どういうことかしら?清光に攻撃されそうになったからかしら?」

「確かに…オレたちが何か弁解するよりも早かったよな。ていうか、何故、あそこまで怒ったならば牢屋にではなく、追い出せでもすれば良いのになんでしなかった?」


龍華の言葉に全員がそうだと頷いた。何故、彼の云う通り追い出さなかった?領地を救った一応の恩人だから、世間体を気にしたのか?そう考えていると湊の膝の上にいつの間にか丸くなっていた清光が顔を上げ、小さく鳴いた。


「なぁ。みゃなん」

「うん、清光もそう思う?」

「なん!」


清光も同じ意見のようだ。そこでツキカゲがなにか思い出したらしく、考え込んだ。それを横目にピィアレナが鉄格子に触れながら云う。


「それにしてもどうやって此処から出ましょうかね」

「出れたとしても、見つかれば意味ないだろう?…問題が山積みだね…」

「…あそこにいるのは、異端児じゃなくてもっと違うもの」


その時、唐突に湊が呟いた。その言葉に全員が彼女を振り返ると真剣な瞳で顎に手を当てて考え込んでいた。全員の目が自分に向けられている事に気づいた湊はギョッと軽くあとずさった。そして、ガン!と背中に鉄格子が激突し、甲高い音を立てた。背中が少し痛い。


「うえ…え?」

「マスター、どうしてそう思ったの?」


ツキカゲがどうしてその答えに行き着いたか聞く。湊は困惑気味に表情を歪めたが、ただ単に簡単なことなのだ。なぁんにも考えていない。だから、だから一番簡単な答えが目についた。


「いや、ほら、これが全部異端児じゃない別のものだったら解決するじゃん?此処はゲームとそっくりな世界設定なんでしょ?だったら、()()()()()()()()()()()()がいても不思議じゃないでしょ?」


ペロッと舌を出して笑う湊。湊の考えに全員はそれもあるかと納得した。確かに此処はゲームにそっくりな世界設定を持った異世界だ。例え、本当にプレイヤーポジションの異端児が存在していたとしてもその逆、そっくりななにかと云う事もある。だが、結局


「振り出しに戻る、かぁ…」


答えは見つからない。湊は大きくため息をつきながらピィアレナの肩に寄りかかった。ピィアレナがクスクス笑いながら寄りかかってきた湊の頭を撫でた。情報が乏しい以上、決定的な真実は出てこない。「それもあるかぁ」とツキカゲは再び考え込んだ。龍華も考え込み、全員が再び「うーん」と考え込んでいた。しかし、いくら考えても情報が少ないため、難しい。と、その時、清光が鉄格子の向こう側に突然視線を向けた。龍華が一番初めに気づき、鉄格子の向こう側、見張り用の部屋と階段があるであろう空間に視線を向け、その瞳を細めた。


「?龍華?」

「誰か来る」


ツキカゲが彼を見上げた瞬間、そう龍華が呟いた。途端に全員の体に警戒と緊張が走った。湊とピィアレナが勢いよく立ち上がる。清光が湊の肩の上に移動し、その口から唸り声が漏れる。全員がその方向を凝視していた。すると、カツン…カツン…と音が聞こえて来た。足音…誰だ?シンデレラか?警戒する湊達の視界に眩い光がうつりこんだ。


謎解き開始!

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