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ただいま異世界巡回中!  作者: Riviy
一周目 絆
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第十八ゲーム・一難去ってまた一難



伸ばされた手を掴んだ神代と、その手を伸ばした朝霧とレアンを見て湊はホッと一安心し、肩の力を抜いた。ついさっき、『レベルアップしました』と耳元で声がしていたが無視する。途端、足に力が入らなくなり、崩れ落ちそうになる。それを間一髪でツキカゲが肩を掴んで支えた。獣も心配そうに瞳を歪めている。一人と一体の心配する表情に湊は大丈夫!と云うように笑った。


「終わった…」

「マスター、そういうとまた来そうだからね?」

「やめてよツキカゲ!」


クスクスと冗談を云うツキカゲに湊は勢いよく抱きついた。突然の抱擁にツキカゲは驚いて体を固くしてしまった。が、無実であるにも関わらず、知っているにも関わらず連れて行かれてしまっては誰でも不安になるというものだ。それにツキカゲも気付き、安心したように「良かったぁ…」と耳元で呟く湊をギュッと抱き締めた。嗚呼、此処にいる。それを改めて実感できたと感じ、湊は嬉しかった。と、獣が羨ましいそうに自分達を見ていることに気付き、名残惜しくもツキカゲから離れると力が入った足を動かして獣に近寄った。そして大きなそのもふもふとした頭を両手で撫で繰り回した。


「ありがと!君のお陰で色々助かっちゃった!」


湊のお礼に獣はスルリと頭を彼女の手に押し当て、気持ち良さそうに喉を鳴らす。姿は微妙だが、なんだか猫のような気がする。笑いながら獣をこれでもかこれでもか!と撫で回す。撫で回しながらツキカゲを振り返り、「なんの動物かわかる?」と視線で問う。だが、今のツキカゲは湊と獣が微笑ましそうに触れあう光景を見ているので精一杯だったらしく、気づかなかったようだ。まぁ、良いかと後で良いやとあきらめた湊は引き続き、獣を撫でる。その時、今までレアンの指示で蚊帳の外だった団員が戸惑いながらも声をかけた。そういえば、団員達をひき止めるくらいレアンにも団長や副団長のように地位があるのだろうか?女性だからさん付け、と云うわけではなさそうだった。


「……あの、団長、レアンさん、逮捕しても…?」

「誰をだ?そこにいる小僧共とは言うなよ?」


どう反応して良いかわからなかったらしく、とりあえず逮捕と云ったら朝霧は湊達だと勘違いしたらしい。レアンが「違いますわよ」と彼を振り返り、神代が「僕でしょ?」と自分を指差せば朝霧がようやっと勘違いに気づいたらしく、恥ずかしいのか耳を軽く赤くした。


「戯け!」

「え、なんでですか?!理不尽ですよ団長!」

「勘違いしたのそっちじゃないですか!」

「団長、同意です!」

「「どっちにだよ!?」」


たむろっていた団員達が口々に言い出し、会話のボールはあっちこっちに飛び火する。次第にそれは笑いを生み出し、彼らは戯いもなく笑ってしまった。解決したからか、はたまた真実に辿りついたからか。もう笑いの渦が、発端が分からない。暫く笑い合っていたのはまさに信頼の形だった。笑いの渦が収まった頃、神代が一応の形式であろう逮捕するように要求した。例え被害者が加害者であっても罪は罪。そう言っているようだった。だがそれは、一瞬の紛い物の時に過ぎない。入り口付近を塞ぐようにたむろっていた団員達が突然割れた。そして割れた道から現れたのはまたもや別の団員で。だが、彼の慌てた様子からして可笑しい事はすぐにわかった。


「団長!大変です!巨大な魔物が本部前に現れました!」

「!?嘘でしょ!?」


その言葉に驚愕を隠しきれなかったのはなにも湊だけではない。ツキカゲの予言(?)が当たったなぁと思った。すぐさま神代に視線を向けると、とても困惑した表情だった。つまり、彼は関係ない…?


「魔獣遣いの能力がなんの反応を示さない魔物に()()()()反応したって事はない?マスター。()()()よね?」

「!」


ツキカゲの台詞に湊はハッとした。そうだ、ゲームのストーリー…と云うよりも番外編で魔獣遣いの能力に反応する異形種が現れた事があったのだ。まぁそれも一回きりであったし、なにより条件が揃わないと現れない所謂レア魔物だった。それがまさか世界設定がそっくりなこの異世界で起きると誰が予想できるか!


「そうかもしれない…」

「なら、倒そうよ僕達で。彼らは手負いだよ。軽傷である僕達が行くのが筋だと思うけど」


行く、と云うその台詞は湊や獣ではなく朝霧やレアン、神代に向けられていた。確かにレアンは片腕を負傷し体力はもうない。朝霧に至っては傷が見えないので大丈夫そうに見えるがよく見るとマントで隠れている腕と足を負傷している。神代は先程半暴走した経緯からすぐに戦うのは危険だと思われた。だとすると、此処にいる戦える者は限られる。朝霧は軽くうん、と頷きながら驚愕し固まっている団員達と報告してくれた団員に告げる。


「緊急避難警報を発令し、全団員で避難に当たれ。また後方支援ができる者には第二波に備え、警戒するように伝え、あった場合は即座に討伐せよ。また現れた魔物について、他に報告は」

「は、はい。主要要員が早急に気づいてくれたお陰で体力は減っています。しかし、魔物も抵抗し、主要要員を蹴散らしてしまいました。現在、数名が速度を遅らせていますが早急に討伐が必要です」

「そうか…俺()の友人にも協力を仰ごう。それでも良いか。全責任は、俺が取る!」

「!はい!」


その了承に笑ったのは誰だっただろうか。朝霧が湊達を振り返って視線で云う。何を言っているのか、分からないほどに彼を信頼していないわけではない。団員達は一応に真剣な表情で頷くと一人が朝霧達の方へ駆け寄り、駆け込んで来た一人と他数名が駆け出した。それと同時に残った一人が湊達に向かって叫ぶ。


「こちらです!」


よくわかったな。そう思った湊は無理もない、と思いたい。湊はツキカゲと頷き合い、駆け出そうとする。すると獣が乗って、と彼女の背に頭を擦り着けた。その方がどちらかと云うと早いだろう。二人はもはや仲間と言っても過言ではない獣の背にまたがり、団員の指示のもと魔物がいる方へと駆けて行った。それを見送り、小さく神代が呟いた。


「………さすが、だよね…()()…」



……今日で一周目終わらせるって言ったんですけど、道のりが!←この言い出しっぺ

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