任務始動
模擬戦を急遽終え、明日の出発のため、準備を始める
「叶芽くん、虎丸様に聞いたよ、大変な任務に行くらしいね」
「はい、酒呑童子の首が封印されている、京都の首塚大明神ってとこの防衛任務です」
「なるほど、道理で、けど引っかかるな、なんで学生にそんな任務が、とにかく、叶芽くん気をつけて、必ずこの部屋に戻っておいでね」
「ありがとうございます、刃先輩」
その頃虎丸は、拓斗、犬士、鴉、四人で話し合いをしていた
「やっぱりおかしいんじゃないのか、実戦経験のないガキ共を防衛に当てるのは、ジジィ共は何を考えてんだ」
「最長老様のご意志だ、何かお考えがあるのだろ、虎丸貴様、弟子の延命の条件を忘れたわけではあるまいな」
「黙ってろよ、ハチ公、今回の防衛任務は他の任務と違って、相手が酒呑童子だ、それなのになんでガキ共を使うのかよ」
「わんちゃん、虎丸、落ち着いて、わんちゃんには悪いけど今回は、虎丸の意見に賛成だ、普通に考えて、生徒を連れていくのは、さすがに危険すぎる、実戦経験も皆無の奴らを連れていけば足手まといになる、おじいちゃん達は、どれだけ叶芽くんを殺したいんだ」
「学生ならば、弾除け程度には役に立つだろう、あわよくば、八雲叶芽も死ぬ」
「ハチ公てめぇ」
虎丸が椅子から飛び上がり、犬士を殴り掛かろうとすると、拓斗が押さえつける
「落ち着いて、虎丸戦う相手を見誤るな、怒る気持ちもわかるけど、わんちゃん今のは君が悪い、生徒のみんなを弾除けに使うなんてことは、僕が許さない、おじいちゃん達の命令でも、現場の指示は、僕が出す、文句は言わせないよ、わんちゃん」
「拓斗離しやがれ、今すぐそこの忠犬ハチ公ぶっ殺して、渋谷駅前に銅像ぶっ建てて、待ち合わせの目印にしてやる」
「落ち着けっての虎丸」
「俺も拓斗に賛成だ、今回は十二天将の俺達含め現在、防衛に当たっている一名も含めると、五名で行う大型任務、それだけの大型任務、学生にはまだ荷が重すぎる」
「賛成三つ、民主主義だよね、日本てわんちゃん」
「致し方あるまい」
渋々犬士は了承し、拓斗は虎丸から離れる
「これで決定ね、今回の防衛任務では、学生は僕らが守る、命に代えても学生は一人も殺させない、任務の全容は明日で伝える、各々準備して明日に備えて、解散」
時間がたち、次の日の朝、虎丸を含む四人の十二天将並びに推薦クラス七名が集まり、拓斗が前に立つ
「全員集まったね、これから首塚大明神にバスで向かう、一度バスに乗ればもう後戻りはできない、覚悟はいいねみんな」
そこに集まった全員はバスに乗りこみ出発する、バスの中では拓斗が前に立ち、任務概要の説明を始める
「今回の任務は防衛任務、首塚大明神に封印されている酒呑童子の首の防衛、酒呑童子の動きから予想して、早い段階で首を取り返しに来ると予想される、今回は防衛および封印の強化にあたる、学生七名は後方支援、十二天将四名は前衛にまわる」
狐火が手を挙げ拓斗に質問を飛ばす
「拓斗様、質問をよろしいですか」
「狐火ちゃんどうぞ」
「今回の任務は後方支援、封印はどちらの方が当たられるのでしょう」
「十二天将の玄武…亀 玄次十二天将の中での最高位の結界術の使い手だよ、結界術を用いた封印を行う」
「玄さんが加わるって相当な戦力だな」
「先生その亀さんって強いの」
椅子に深々と座りながら、首を縦に振り、説明を始める
「玄さんが、任務で自身含め部隊の仲間達が傷を負って帰ってきたとこを見たことがない、けどあの人の一番凄いところは経験の豊富さだ、十二天将の中での最年長で、十二天将になってからの日数も群を抜いてる、要はそれだけ場数を踏んでんだよあの人は」
「そんなに凄いのか」
「拓斗、封印の強化は玄さん一人でやるのか」
「そだよ、玄次おじちゃんが封印の強化をするから、学生のみんなはその見学って感じかな」
「もしもの時のための、多少の弾除けにもなるからな」
「ハチ公、お前まだそんなこと言ってんのか」
十二天将全員が犬士を睨みつけ、鼻で笑いながら犬士は黙る
「わかったよ」
「学生のみんなに言っておくことがある、今回の任務は酒呑童子の首の防衛及び封印強化だけど、学生のみんなは最優先に自身の命を守ってね」
「拓斗様お言葉ですが、私達は死ぬ覚悟をしてあります、任務を疎かにして逃げることなんて」
「違う違う、確かに任務は防衛だけど一番の命令は絶対死なないこと、これが今回の任務の最低条件、酒呑童子の首は二の次、わかったこれは現場指揮を任された僕の命令、わかったかい」
「わかりました」
作戦概要を伝え終えると少ししてから、首塚大明神の近くに到着する、離れているはずなのにその場所からも感知できるものすごい霊気を感じられる
「霊気の探知が得意な子なら気が付いてると思うけど、凄い霊気でしょ」
あまりにすごい霊気にあてられ、何人かはその場で震える
「今ならまだギリギリ引き返せる、覚悟のある奴だけなここに残ってくれ」
拓斗が言うと、何人かはバスに戻り、残ったのは叶芽、狐火、草薙の三名だけだった
「残ったのはこの三人か、叶芽くんと狐火ちゃんと草薙ちゃんほんとにいいんだね」
「何度も言いますが、私達は覚悟してます、連れて行ってください」
「わかった、この三名はこの任務に連れてく、いい絶対自分の命は守ってね」
三人同時に頷く、学生三人と十二天将四人は任務の地である、首塚大明神の近くに到着すると、いくつかのテントが立っており、その一つからガタイの良い少し肌の焼けた男が出てきた
「やっと来たか、お前たち」
「玄次おじちゃん、久しぶり、元気そうだね」
「拓斗の坊主も元気そうだね、任務よろしくね」
「虎丸に鴉それに犬士もいるとはめずらしい、じいさんたちの命令で仕方なくって感じだな」
「わかっているなら聞かないでくれないか玄次さん」
「相変わらず、ツンケンしてるな、いいや、今回は学生も参加と聞いたが、その三人か今回参加するのは」
大柄な男はこちらをのぞき込む
「うん、右から草薙残夜ちゃん、狐火紺ちゃん、そして八雲叶芽くん、叶芽くんのことは知ってるよね」
「知っているとも、酒呑童子の器だろ、うわさには聞いていたがなんの危害も無さそうだ」
玄次は豪快に笑いながら叶芽の肩をバシバシ叩く
「凄い霊気、この今まで会ったどんな人よりも大きい霊気だ」
「また筋肉つけたな玄さん、どこまで鍛えてんだよ、歳考えろよ歳」
「俺は生涯現役、死ぬ時は陰陽師として死ぬんだよ」
「あっそ、てか俺らが来る前に強化ちゃっちゃとやってくれてたら良かったんじゃないの」
「それが一つ問題があってな」
全員で首塚大明神まで向かうと、柵で囲われた所に着く
「拓斗、封印やばくね」
「うん封印崩れかけてるね」
「これが封印をできない理由なんだよ」
「どういうことですか」
「今これにかかっている封印は、少し特殊で、あらゆる術を無効化されてしまう、それが例え封印を修復する術でも、だから封印を新規でかけ直さなくちゃいけない、一度今かかっている封印を解いてな、封印を施す数分間は酒呑童子の首が無防備になる、だからお前らを呼んだんだよ」
「あのジジイども、酒呑童子が襲撃してくるみたいな、口ぶりで命令してきやがって紛らわしい」
「それとだな、言いづらいのだがな」
森がざわめき始め小さな鬼の妖怪が全員を襲いに来る
「下級の妖の餓鬼か、てか数多」
「酒呑童子の膨大な霊気を食おうとして集まってんだよ、これが邪魔で邪魔で」
「要するに、俺たちに雑魚処理させたい訳ね、玄さん」
「ピンポーン」
「このオヤジは、範囲攻撃はお前が得意だろハチ公」
「俺に命令するな」
犬士が一歩前に出て手をかざすと上に向かって突風が吹き全ての餓鬼が吹き飛ぶ、すると首塚の方からひび割れる音が聞こえてくる、そちらに目をやると、犬士の霊気の影響で綻んでいた封印がさらに不安定になる
「ハチ公、お前もう少し威力考えろ」
「黙れ、大体この程度の霊気で壊れると誰が予想できる、それとどうせ壊すんだ、関係なかろう」
「このクソ犬、開き直りやがって、しっぽ振るのはご主人様だけかよ」
その封印の綻びのせいで多くの霊気が周りに放出され、わらわらと多くの妖が集まってくる
「仕方がない、拓斗指示をくれ、それに沿って動く」
「おっけーなら玄次おじちゃんは、封印のかけ直しをお願い、僕を含めた四人の十二天将は前衛の敵の足止め、学生は玄次おじちゃんのサポートをしながら僕らの取りこぼしの対処をそれじゃ作戦開始」
「了解」




