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一鬼当千  作者: カズト


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11/12

鬼童丸VS蠱毒

鬼童丸と蠱毒は睨み合いを続け、鬼童丸が先に動き刀を振るうがその刀を簡単に掴まれる


「どうした威勢よく出てきた割には、骨がない」


蠱毒は刀を押さえ込み腹に膝蹴りを入れる


「小僧身の程を知れ」


そのまま押さえ込んでいた刀をへし折る


「この程度のなまくらで俺を倒そうと思っていたのなら、笑わせる」

「これが貴様の本気か蠱毒、そうなら拍子抜けだ」


鬼童丸は刀を手放し両手で蠱毒の片腕を押さえ込み炎で燃やし、あまりの熱量に蠱毒の片腕が燃え蠱毒はその腕を躊躇なく切り落とす


「お前のその炎、忘れもしない酒呑童子と同じ鬼火」

「蠱毒お前父上を知っているのか」

「父上、そうか貴様が酒呑童子の倅か、ならば丁度いい、酒呑童子の霊気の復活を感じたと思ったらやはりか、貴様を殺し酒呑童子に見せればさぞ極上の憎悪を見せてくれるであろう」

「下衆め」

「せめて苦痛に歪んだ顔をして、死んでくれ、そうすれば奴の苦痛も増えるというものだ」

「お前は一つ勘違いをしている、俺は確かに酒呑童子の息子だが、俺が死んだ所で父上はなんとも思わない、つい先日仲違いしたばかりだからな」


鬼童丸は蠱毒の懐に潜り込みそのまま炎柱を発生させ蠱毒の全身を焼く、勝ちを確信しそのまま後ろを向き、倒れた陰陽師の元に駆け寄ろうとするが炎の中から体に炎を纏った蠱毒が余裕と歩いてやってくる


「なんてやつだ」

「虫は脱皮をして成長する、感謝しよう、おかげで身軽になれた事を」


蠱毒はその場を動く事なく手を振るうと鬼童丸に向けて五本の斬撃のような物が飛んでくる、その斬撃をよく見ると蠱毒の手から透明な糸が見える


「どうした小僧、威勢よく出てきて逃げるだけか俺をもっと高ぶらせろ、そして甘美な悲鳴を上げてくれ」


蠱毒の糸はさらに激しさを増し鬼童丸の周りを繭のように取り囲む、その繭は鬼童丸に向けて縮まってくる、鬼童丸はその繭を炎で生成した刀で何とか受けるが体の至る所から流血する


「さすがは蠱毒と言ったところか、結界で弱くなっていても雲の上か」

「これが俺の本気と思われているのであれば笑い草だ」

「だろうなだから、少しだけ本気を出そう」


鬼童丸は懐から小さな瓢箪をとりだす、そしてその瓢箪の中に入った物を一気にあおる


「こうでもせねば、本物の力を出せぬとは、混ぜ物とはほんとに不憫なものだ」

「その中身、妖命酒だな」

「ご明察」


妖命酒を飲んだ鬼童丸の気配は先程より落ち着いてはいるものの凄まじい存在感を滲み出す、鬼童丸は地面に手を付くするとその地面が割れ炎の柱が出現し蠱毒に向かう


「ぬるいわ」


炎柱を振り抜き糸が鬼童丸を襲うがその糸を鬼童丸は隠し持った小刀で斬る、その短刀を見て蠱毒は少し取り乱す


「その刀どこで手に入れた、その刀は八咫烏の物、なぜ貴様のような小僧が持っている」

「薄々感じていたやはり蠱毒貴様は八咫烏の言ってた両面宿儺か」

「俺の名まで知っているのか答えよ、何故それを貴様が持っている、八咫烏を殺したか、やつは死んだのか」

「八咫烏は死んだよ」


その言葉を聞き一瞬場は静寂に包まれ蠱毒は肩を震わせ高笑いを始める


「そうか死んだか、人なんぞに与するからそんなことになるのだ馬鹿者が勝ち逃げをしよってくだらぬ情に流され死ぬとは涙も出ぬはあの愚か者には」

「なんだと。訂正してもらおう」

「やっといい顔になってきたな小僧、真実を言って何が悪い、八咫烏が死んだのは少し驚いたが情や情けをかけられた者の屈辱がわからぬ愚か者に愚か者の言って何が悪い」

「八咫烏は愚か者だと言うなら、その者に情をかけられ生き長らえている貴様はなんだと言うのだ」

「決まっているであろう俺はただの負け犬だよ、畜生風情に勝つことの出来ぬ出来損ないの呪いだが、愚か者は死に負け犬は生き残るこれ以上笑えることがあるか」


鬼童丸は短刀を強く握り刃を震わせる


「八咫烏は愚か者などではない、自身が死ぬとわかっていながらも他者を救うことを選んだ優しき心を持つ者を愚か者とは呼ばない、八咫烏の旧友とて許さないこれ以上俺の恩人を愚弄するのは決して許さぬ」

「事実を言われ怒るかならば訂正させてみよ小僧、貴様の力で八咫烏は間違っていなかったことを」


鬼童丸は一度深呼吸をして心を落ち着かせ刀を握りなおし、刃を宿儺に向ける


「そのようなことを言ってしまっていいのか宿儺、すぐに訂正することになるぞ」

「威勢だけは一人前だな、小僧」


鬼童丸は刀を一度鞘に収め居合いの構えをとる


「八咫烏の猿真似を」


居合いの構えを取った鬼童丸の気迫は凄まじく、宿儺は踏み込めずにいた


「凄まじい気迫若き日の八咫烏を見ているようだが所詮は猿真似剣技なんとも醜い」

「どうした宿儺、急に喋りだして臆したか、一つ忠告だ俺の間合いに踏み込んだ時主の胴は二つになるそれでも踏み込む勇気があるのであれば覚悟せよ」


宿儺はすかさず糸で鬼童丸を刻もうとするがその糸は鬼童丸に達する前にちりじりになり糸はキラキラと鬼童丸を包む


「目にも止まらぬ抜刀つくづく猿真似を」

「自身では踏み込む勇気もないか、所詮は情によって生きながらえた負け犬か」

「いい加減しろ、小僧俺の前で八咫烏の剣技真似しよって、やつの剣技はもっと美しかったお前がその剣技を使う度やつの剣技が穢れているのだぞ」

「知っているさ、俺が八咫烏に及ばぬ事など俺が一番わかっているそれでも俺はこの剣技を使う、この剣技は八咫烏から受け継いだ思いこの刀と共に俺が受け継いだものだ」


鬼童丸は居合いの構えを取ったまま思い切り踏み込む


「八咫烏に届かずともこの剣技が八咫烏の生きてきた象徴、ならば歪だろうと汚かろうとも、八咫烏から教わったこの剣技を使い続けるそれが俺の恩人に報いる為ならば猿真似を続ける」


鬼童丸が宿儺との距離を詰め宿儺は反応することができず首を斬られる、斬られたその一瞬鬼童丸と八咫烏の姿が完全に重なり、少し頬がほころぶ


「見事だ感謝しよう最後を八咫烏の剣技で俺を終わらせてくれた事、最後に教えてくれぬかお前の名を」

「俺の名は鬼童丸八咫烏の弟子だ、宿儺お前の残虐非道の数々到底許されることでは無い、だが八咫烏の剣を美しいと言ってくれてありがとう、きっと八咫烏も浮かばれる」

「最後の最後まで八咫烏のような事をいいよって」


宿儺は満足したように静かに目を閉じその生涯に幕を下ろす


「両面宿儺、結界で力が大幅に落ちているのにも関わらずこれほどまでの実力とは」

「お見事です鬼童丸様」

「影鰐、そんな事よりあの陰陽師は」


影鰐は静かに首を横に振る


「そうか、間に合わなかったか」


鬼童丸は影鰐を連れ倒れた陰陽師たちの元に向かうと雲外鏡が陰陽師達の死体を綺麗にその場に寝かせていた


「すまなかった、もっと早く覚悟を決めていればあなた方は俺の力不足で」


影鰐と雲外鏡の二人は鬼童丸の肩に優しく手を置く


「鬼童丸様、行きましょう長居をしていては他の陰陽師達が来かねません、そうなれば誤解を生むやもしれない」

「わかっている」


鬼童丸はその場を離れる時もう一度だけ振り向き頭を下げる


「あなた方のおかげで宿儺を倒せました、ありがとうございました」

「先を急ぎましょう、早く酒呑童子の器八雲叶芽の元にあなたと八雲叶芽が酒呑童子を倒す鍵なのですから」

「わかっている、行こう八雲叶芽の元に」

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