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第十四話

・お酒は二十歳になってから。

・お酒は節度を持って楽しみましょう。

・最近飲んだお酒:七冠馬 (日本酒)

「遠距離攻撃は貴様の仕業か。ずるいぞ」

「ずるいも何も、街を占拠しようとするあなたたちが悪い」

 幹部らしき男は、明海の言うことには聞く耳をもたず側近から装備を受け取り、構え直した。

「私の名前は、ドリことソフ・ドリである。プレジデント・シラフの野望をかなえるべく、勇者をいざ倒さん」

「なんで、この団の幹部の名前ってアルコール分がないのかしら。割り材みたいな名前しているわね」

 明海も戦闘態勢をとったが、ドリが構えている武器や防具はおそらく、この前のナイが持っていたしじみ(・・・)粉末でできたものと一緒だろう。単純に火力任せに攻撃をしても相手が詰め寄ってきたら一貫の終わりになる。そう思い、思案を巡らせていたが、前日サケキエルから受けた加護のことを思い出した。

 ドリが構えている目の前で、明海はスキットルを取り出し蒸留酒を味わうように飲み始めた。その光景にドリはドン引きをしていたが、明海は何も気にせず飲み干すと、加護を得るためのポーズを取り始めた。

 加護を得ようとすると、明海の体の周りから光のようなものが浮かび上がり、スッとあたり一帯に拡散するかのように光が広がった。

「なんだ、ただ光っただけじゃないか」

 ドリは光った瞬間目をそむけたが、何も起こっていないように見えたことがわかると不敵な笑みを浮かべた。

「あれーサケキエルさんの加護うまくいかなかったかな」

 首を傾げた明海だったが、次の瞬間

「勇者も何もできないとわかったなら、倒すのみ……なっ、装備がなくなっているだと」

 正確には砂のようにサラサラと装備が風化していくようになくなっていた。加護の力はそれだけではなかった。

「ええい、仕方ない。素手でも倒すの……なんだこの空気は、アルコール臭い、いやこの空気はアルコールなのか……?」

 ドリが気づいたころには酩酊をしたかのようにフラフラとなってしまい、アルコールに弱いドリを含めたゲコゲコ団員達は次々と倒れていった。

「加護って、こんな広範囲に効くようなものだったの……サケキエルさんもなかなか危ないものを教えてくれたものね」

 明海がそう言い終わったタイミングでドリは何もすることができないまま倒れた。

 どうやら、加護は飲んだ酒を魔法としてアルコールを含んだまま周囲に霧散させるもののようだった。自警団経由で女性や子どもの避難は完了していることを聞いておいてよかったと安心する明海だった。


 ギョショーの街での戦いは明海が到着してから一瞬の間に鎮圧が完了した。

 酩酊して倒れこんでいるゲコゲコ団員を自警団が縛り上げていったが、自警団も酒気帯びになったのか、心なしかテンションが高いように見えた。

 バーレル島を発つ時は緊急事態に明海も焦りを感じたが、到着をして戦ってみるとあっという間だった。

 サケキエルから授かった加護も本来はもっと力加減を抑えて、自分の周囲だけに加護の力を留まらせるものなのだろう。今回は、子どもがいなかったからよかったが、街中で誤って広範囲にやってしまった時にはとんでもないことになっていただろう。

 縛り上げられたドリは、酔いが回りすぎたのか顔を真っ青にしていた。その際、「これで終わりだと思うなよ」と唸りながら意識を落としていったが、この言葉には誰もきづかなかった。

 明海達は、今回全くといっていいほど役に立たなかったノーマンの元へ戻ってきたが、ノーマンもドリと同じように顔を真っ青にしていた。船酔いから復活しかけていたところに追い打ちをかけるかのようにアルコールが回ってくるのだから、苦でしかない。

 明海はリーシュと一緒にノーマンを引きずるように担ぎ、バーレル島に行く前に泊まった宿に向かってノーマンを放り投げるかのようにノーマンをベッドで寝かせた。

 ゲコゲコ団の襲来をやっつけたこの日の晩は、街全体がお祭りかのように大騒ぎだった。

 明海とリーシュはそのご相伴に預かり、特に明海は好きなだけ飲み食いをしていた。


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