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二人の魔法師と五つの魔導書  作者: 手鞠 凌成
一章 戦闘訓練
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戦闘訓練 最終決戦6

「――で、どうすんだよ、クロネス」


 ドゴルが周りをきにしながら、凛とした声でクロネスに訊ねる。

 今後の指針について気になるようだ。


「とりあえず、俺は一位を取りたい」


 この願いだけは変わらない。覚悟の光が宿る瞳がドゴルを射抜く。

 ドゴルはふっと鼻を鳴らし「あーわかったよ」と微笑んだ。


「それは良いとしても、あのロンデウス家と戦うことになるんだよ? 僕たちで勝てるの?」


 自信なさげの目をクリスが向ける。ロンデウス家――レスティアと戦うことに懸念しているらしい。


 確かにレスティアは強い。そのことはクロネスも十二分に分かっていた。


 初めて逢った、あの時――入学式の時点で、すでに格が違うと、感じ取っていたのだ。


 魔力も芳潤で、密度も高い。他の女子と比べ物にならないほどの実力を用している。そこは、さすが貴族と言うべきなのだろう。さきほどの魔法だって、かなりの威力があった。


 もし、このまま魔法を行使し続ければ、倒されてしまうかもしれない。そんな危機感が頭を過ぎったが、状況が違っていた。


「多分、レスティアは一人だと思うんだ」

「……? 一人?」


 キャロスが首を傾げる。クロネスは短く息を吐くと、振り返り戦況を眺む。

 光を纏うレスティアは【巨体神の六手(ルディエト・ゴーレム)】の強大な攻撃を華麗にかわし、瞬時に魔法を放つ。そしてまた身を翻しては、距離を保ちつつ、再度攻撃をしかける。隙のない動きはクロネスでさえ圧倒される。


 しかしクロネスが見ているのは、そんな彼女の立ち回りではなく、その周囲であった。


 仲間がいるとすれば、どこかしらからか支援魔法を受けたり、協力して倒すなりとなんらかしらのヒントがあるはずなのだが、それが見当たらなかった。

 更に使用している魔法も攻撃魔法ばっかりで、一人でどうにかしようと焦ってるようにクロネスは映っていたのだ。


「このままやり続ければ、魔力を消耗し続ける――つまり、この状態を長く維持することができなんだ。いずれ、じり貧になる」


 クロネスも【巨体神の六手(ルディエト・ゴーレム)】と戦ったことで、あの強固の外装を砕くには一人では無理だと、判断した。


「あー! たしかにそうだね! ……そういえば、フラッグは?」


 キャロスはずっと思っていた疑問を口にした。その質問にクロネスは呆れ目を向ける。


「はぁ……。あの【巨体神の六手(ルディエト・ゴーレム)】の中にフラッグがあるんだよ」


「…………、え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」


 まるでとんでもない事実を告げられたような、大仰な驚き方をすると、とたんにあたふたと慌て始めた。


「そ、それってさ、あ、あいつを倒さなきゃ、勝てないって事!?」


 クロネスはキャロスの理解度の遅さに頭痛を覚えつつ、首肯する。


「あーそうだ」


 途端にキャロスの顔はさーっと血を引いたように蒼白くなると、ぷるぷると震え始め、ぶわっと涙が溢れ出る。


「い、いあやだぁぁぁぁっ! あんな奴に勝てる気がしないよう! ぼくたちの実力で、倒せるとおもうの!?」


 子供みたいに泣きわめくキャロス。


「でも、やるしかないだろ?」


 ドゴルの挑戦的な口調は、どこか戦うことへの楽しみが混じっている。

 ちらっと動かした視線がキャロスに合い、キャロスはいやいやと首を振り続ける。


「なぁクリス、お前はどうだ」


 クロネスはドゴルの後ろで身を縮こませているクリスを見やる。


 その目と合ったクリスがはっと見開き、すぐさま斜め下に視線を彷徨わせると、小さな唇を噛み、小刻みに震える身体を抑え込むように右手をぎゅっと握りしめる。 ふーと息を吐き出しぶつぶつと何事か呟くと大きく頷き、


「……うん。やる、やってやる!」


 そう言い放った。


 怯え揺れていた瞳に決意の灯が宿る。


 これで決まりだな――


 クロネスは微笑むと、作戦の旨をつたえることにした。


「……ぼ、ぼくの意見は無視!?」








今回はあまり描写がうまくかけませんでした。

伝わりにくかったり、わからないような部分があったらおしらせください。

これでクロネスパートが終わったので、これからは彼らの思惑と感情が入り混じり、葛藤と逡巡が交差しまくった内容になってくると思います。

とりあえず、次の戦闘でこの訓練に決着を付けたいと思っています、

何卒見守っていてください。


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