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9 エクサティック・フォヴウィード 3

 「知れたことよ!!!この大馬鹿者めが!!」



 遂に、ソル系連邦宙軍に轟く名門一族ローゼンバルト家の長女、《極悪非道冷徹無比》な摩由羅(マユラ)姐さんの逆鱗に触れてしまったのだろう、憤怒の表情をした摩由羅提督の口から発せられた大音響の叱責が、伽罹那(カリナ)に向けてドカンと撃ち込まれてきた。



 「わざわざ300万パーギルかけて迎えに来たんだぞ!デュランダル兄さんや、他の姉達、那由多(ナユタ)沙由那(サユナ)華盂羅(カウラ)倶瑠那(クルュナ)迦楼羅(カルラ)は心配し切りで大変だったんだぞ伽罹那!それに加えて、この大所帯引っ提げて迎えに来てやった姉に向かって、今のは何という言い草か!!いくら統合総参謀本部幕僚軍令部の直接命令だからと言って、ソル系中央軍の中枢新鋭の大艦隊だよ。それもこれも、周囲を見てみるがいい、これだけのアディリア連合星系と、宰華帝国の大艦隊に囲まれておって、タダで済むと思っているのかい?!一体全体お前は何様のつもりで居るんだ!私の立場も考えろ、この出来損ないの愚妹が!!その上その物言いは何だい?何しに来ただと?あんまし訳分かんないこと言うと、お前の頭の上に張り付いて居る迦楼羅(カルラ)に直接お仕置き言いつけるからね!!その捏ねくりひん曲がった無様な精神構造を、今すぐ叩き直してくれるわ!!いいかい伽罹那!大体お前は父上の寵愛を一身に受けてだな・・・」



 延々と続く摩由羅中将の怒りの(アンガー)パフォーマンスは、それは、それは激烈に・・・長かった。

 一方で、【ルーミィ】の全天フォロビジョンに投影された(かつ)ては惑星【香忰(かすい)】であった存在、恒星系破壊兵器【ヴァレダ】の周辺宙域には、忍び寄る破壊の渚【光燐海フォスフォール・オシアヌス】がヒタヒタと静かに満ち寄せて来る。



 「ええい、もう間もなく奴が満ちる頃合いじゃぞ、余計な手間を掛けておるとな、今に我らも引き潮に攣られ、あの虚界へと飲み込まれ兼ねんのだぞ?」



 リトルは次に降りかかるであろう災厄を回避すべく、【金銀妖瞳(ヘテロクロミア・オヴ・アイリス)】の瞳を一際険しくすると、伽罹那に向けて小さく不服を呟いた。



 「伽罹那よぉ、もうよいじゃろうて?まどろっこしゅうて敵わんわィ、ウザい説教には余も黙ってはおれんでな」


 「(頼むぜリトルぅ~)」



 半分泣き面になっていた伽罹那は、怯えた目つきでコクリと肯きリトルを見ると、逆に伽罹那をジッと凝視している彼女の視線を辿って、自分の足元へふと目を落す。

 


 「あ!大変じゃぞ!伽罹那ぁ!お前の足元にアンタレス火蟻(ファイヤー・フォルミーカ)がわんさかだ!!」


 「え???え゛?え゛?え゛?ええ?!ど、どこ?どこ?・・・うっぎぃゃゃややややああああ!!!とぉーってぇ。ダメ、あたしだめぇぇえええなんだ!どこよぉ?ぎぃゃゃややややああああ!!!」


 「キャハハハハ、踊れ、踊れぇい!!」


 

 過激なダンスを始めた伽罹那を横目に、ニヤリと北叟笑んでパチンと指先を鳴らしたリトルは、唖然とする摩由羅提督の映像を忽ち消し去り【トラディスカンティア】からの通信を唐突に遮断した。



 「ドドド、どこ、どこどこ、どこだぁああ!!あの喰い付きクソ蟻め、どこ行きゃあがった?!」



 過去のオペレーションで受けたトラウマである、アンタレス火蟻(ファイヤー・フォルミーカ)に襲われた時のフラッシュバックにパニックを起こしかけ、顔面蒼白になって足をバタつかせるように踏み鳴らし、ジャンプし続ける伽罹那を気の毒に思ったティアスが、大きな溜息交じりに助け舟を出す。



 「この非常時に、いい加減になさいよリトル!・・・伽罹那、大丈夫よ。そんなの居ない、リトルの冗談よ。何もそこまでやんなくともいいのにねぇ」


 「だぁーっはっはっはっのはっはー、お前を助けた代償だ、易いものではないか?《タウⅢ》でのオペを思い出すのぉ伽罹那よ。あの蟻だらけ地獄を、愉快じゃ、愉快!だぁーっはっはっはっ」



 騒がしくブリッジの床を笑い転げるリトルを見て、一瞬硬直した伽罹那の顔が、再び怒髪天を衝くにはそう時間もかからなかった。



 「リトル、あの変な光る海原状の物が【ヴァレダ】の天敵なのか?」


 「・・・うっく、ぐうぇえええ・・・」


 「この目の前の光景に比べれば、時としてお前の発する苦悶の呻き声も、安らかなる心地よい音色に聞こえるなぁ」



 ティアスは宇宙空間に広がる菊の花弁にも似た、煌めく海面の様な青白い発光現象を食い入る様に見つめたまま、伽罹那に《HYPER・ロメロスペシャル》を掛けられているリトルに向かって、低く唸りながら問い掛ける。



 「ぐおぉぉぉ・・・そうだのぉ、人類の心象概念的に具留化されたものであれば、あれに近いものとして【光る海】とでも云おうかノオぉぉぉ!【輝く水面(みなも)】そんなイメージを描くのがハァぅーっくっ、やはり妥当なのかもしれんなウギャぁぁああ!【光燐海フォスフォール・オシアヌス】と呼ばれるのも無理からぬ事だ・・・ぁぁああ伽罹那!ギブ、ギーブ。許せぃギブーじゃぁあああ!!」



 四肢を反り返し悶絶しながら絞り出すリトルの答えに載せて、漆黒の闇を切り裂き幾筋にも顕れた淡く青白い燐光に煙る海面状空間【光燐海フォスフォール・オシアヌス】が、華球を描くように花弁を閉じ始め【ヴァレダ】を包み込んで行く。



 「まだ喋れるのかぃ?このチビクソガキィがぁ!!オラオラオラァ!」



 自らを滅ぼす天敵の存在に抗い、対惑星破砕用超高出力グラビティー・ブラストをあらゆる方向に放射して、断末魔の叫びを上げ激しくうねり続ける【ヴァレダ】を捕捉した【洸燐海】は、あっという間に【ヴァレダ】の構造体を虚界の水面(みなも)の底へと引き摺り込んでゆく。



 「(伽罹那ぁおぉぉオゥ、ノォオオ!)」


 「綺麗だのゥー、海に溶け込む・・・」


 「(ええぃ、リトルゥ墜ちろ、落ちろぉぉ!)」


 「美しいのゥー、これはまるで・・・」


 

 青白い燐光の波頭は光り輝く飛沫をあげ、強靭な呪詛帯樹状クラスターを切り裂きながら溶かし込み、更には原子崩壊を続けるその躯体を、虚数空間へ通じる波間の中へと粛々と飲み込む。



 「「《HYPER・ロメロスペシャル》の前に溶け落ちる、《綿飴細工》のようだのゥー」」



 古く美しき魔物の、儚くも滅びゆく光景に愚かさと惨烈さを感じたのか、双星神(アシュヴィン)の口元から切れ切れに零れ落ちた言葉には、何処か悍ましき儀式へと寄せる畏怖の片鱗が込められてれた。



 「(ふっ、ぎゃーぁぁああああ!!!)」


 「伽罹那よゥー、もう許してやってもいいでしょゥー?」


 「(そ、そうじゃああアアアア!!!)」


 「伽罹那よゥー、使い物に成らなくなっちゃうよゥー?」


 「(未だ!まだ!まだだぁあ!!!)」



 【洸燐海】その薄線の姿をした虚数空間の入り口は、巨大な【ヴァレダ】の存在を溢れさせるも事も無く、只静かにキラキラと揺らめく海原の奥底へと続く永劫の虚数空間に向かって、ゆっくりとその躯体を引き摺り込む様に沈め去って行った。



 「(もっぎゅぅぅうううううう!)」


 「古代の滅びし文明によって創り出されたモノとはいえ、流石にこれも恐怖だな」



 ティアスは眼前で繰り広げられる、神の摂理とも云うべき宇宙的規模に及ぶ壮大な自然淘汰の結末を、まざまざと見せ付けられていた。



 「あっ、【金銀妖瞳(ヘテロクロミア・オヴ・アイリス)】只今、白目で逝きましたぁ、撃沈~だよゥー」



 その饗宴の狭間で沸騰する宇宙空間には、渦巻く海霧(ハール)状の光渦を氾濫させながら出現した渚が、泡立ち打ち寄せる漣の様に揺ら揺らと輝きを増す。

 やがてそれらは全てを飲み込み、光り輝く切れ切れになった海原を静かに閉じ合わせて消滅すると、水面に爆ぜた波紋を撒き散らしながら標的の全てを屠った【洸燐海】は、急速に元の宇宙空間へと力場を平衡させ、何処へともなく再び他の次元宇宙の彼方へと去って行った。



 「(ぎゃおおおう・・・ぐへぇ・・・)」


 「けっ、思い知ったかリトル、暫くそこで伸びてやがれぇい、悪は滅びる!ハーッ!」



 呪われし【ヴァレダ】の存在があった場所、古き時を刻みし碧く瑠璃色に輝いていた惑星【香忰(かすい)】は既に跡形もなく搔き消えて、そこには静まり返った茫漠たる宇宙空間が広がっている。

 【ルーミィ】のブリッジでは、寂寥たるその画像に重なって勝ち誇る伽罹那の姿と、コロリと(ごみ)のように転がって床でピクピクと痙攣を続けているリトルの傷ましい姿があった。



 「ざまミロ!このクソチビガキ。はあ~、すっきりしたぁぜぃ!」



 (かく)して、太古の昔より相克の宿業の果てに滅びし文明が生み出した、超兵器【ヴァレダ】の一体は、時を越え暴悪の目覚めを迎えて間もなく与えられし狂気の使命を果たせぬ儘に、その主人が歩んだ姿と同じくして、永劫の彼方へと滅び去って行ったのである。

 そして残された歪曲場の波紋は、幾重にも広がりながら周囲の空間を捻じ曲げ【ヴァレダ】の痕跡を消し去るべく、あらゆるものを徹底的に破壊し尽し始める。



 「あだだだだ。こりゃいかんぞティア、グズグズするで無い。そうら、掃討の大波が押し寄せて来よるぞ。余は、あれに乗ってサーフィンするほど暇ではないからな。くっそう酷い目に合うたわ、早う逃げるとしよう」



 奇妙な角度に手足を曲げて、床を這い摺りながらティアスを見上げるリトルに、多少ギョッとしながらも彼女は抱いた懸念を口にする。



 「丈夫だなぁ姉貴・・・。ああ、だがセイレーズと、ソル系中央軍をこのまま放っては置けない。せめて退避勧告だけでも伝えたいのだが・・・その手足大丈夫か?そこ変に曲がっているぞ姉貴」


 「やれやれ、お前も世話の焼ける事だな。これくらい何とかなるわい。いでででで、(ゴキュ!)妙な処で律儀と云おうか、お見事能天気と云おうか。(ポキッ!」)


 「リトルゥー・・・手の向き片方反対だぞぅー・・・」


 「おお?そうか?・・・奴らは我々を拘束しようとしているのだぞ?あっ、肘もぉ擦りむいとるではないか、(コキ、コキ!)」


 「リトルゥー・・・爪先が尻を向いとるぞぅー・・・」


「イカンな、くそっ。このまま捨て置けばよかろうに(ゴリュッ!!)・・・ふぅ、これで良し、戻ったであろう?では余に任せるがよい」



 不気味に復活を遂げるリトルの様子を、コンソールシート越しに覗いていた双星神(アシュヴィン)の怯えた声が、恐怖で小刻みに震えている。


 その頃、【トラディスカンティア】のブリッジには、何の前触れもなく突如、星銀蒼色の荘厳な龍翼を広げ不気味に浮遊するリトルのフォロビジョンが出現していた。



 「摩由罹・ローゼンバルト提督とやら、猿芝居はもうよいぞ。さてよ、護衛と言われてもな、余にとっては足手纏いになるだけの事なのじゃ。これ以上、貴官等による子守は無用なるぞ」


 「ウーム、これはまた珍しい物体ですなぁ?《綺羅韻絶星龍》の神属ですかな?」



 【トラディスカンティア】のブリッジでは、フォロビジョンに向かって身を乗り出したネレス・イディアス・ド・パズール艦長が、リトルの姿に殊の外興味をそそられたのか、珍しく何時もの冷めた表情を崩して感嘆していた。



 「これは、ローゼンバルト提督もお顔が広いですなぁ、お知り合いか何かで?」


 「何とも戯けた事を。だが、これ程貴官が興味を示すなんてのも、実に珍しいわね?」


 「それは、光栄の至りですな」



 明らかに、イメージ侵蝕心理コントロールを意図して転送されたリトルの姿は、古の銀星龍神属に対して人間が抱くであろう、神格化された神聖なるイメージを髣髴(ほうふつ)とさせるように補完構成されているのか、リトルは神々しいまでの光に包まれた人龍神の姿をして、ゆっくりとブリッジの中央部に居る摩由罹提督の傍へと舞い降りてくる。



 「無駄な時間稼ぎ等に構わず、一刻も早う此処を立ち去るが良い。愚図愚図するでないぞ【洸燐海】の生みし波状紋は、未だ周辺の《雑草刈り(あとしまつ)》を行っている最中じゃ。その余波を受け、跡形もなく虚界に還りたくなくば此処から去れぃ。」


 

 少しばかり悪戯っぽく笑みを湛えたパズール艦長は、摩由罹提督へ小さく囁く。



 「提督、如何でしょう?邪魔でしたら、回線毎焼いて片付けますかな?」


 「いや、その必要に及ばない。と云うより、無理でしょフツー祟られるゾ」


 「まぁそうですね。こうまで易々と侵入されれば、艦の自動防壁システムでは凡そお役に立てそうもありませんな」  


 パズール艦長はお茶目にも、肩を竦めて意外な程あっさりと引き下がる。



 「其方等の艦隊によるあの無駄な足掻(あが)きも、所詮は蟷螂(とうろう)の斧に過ぎぬわ。まあ、あれはあれで善い策ではあったがな、世理臼坊やにはそう伝えておくが良かろう」



 リトルは、光り輝く星銀蒼色の龍翼を一際大きく羽ばたかせクルリと宙を舞い、次に発した彼女の咆哮はブリッジ全体に波動となって轟き渡った。



 「早々に去ねよ!!」



 威圧を込めたその咆哮と、豪快に振り降ろされる蒼銀の龍尾に(おのの)くブリッジ・スタッフ達を余所に、眉一つ微動だにしなかった摩由羅提督の口元がニヤリと歪む。



 「時間稼ぎがバレて居たのではしょうがない。だが、こちらの事情としてもそうも行かんのだよ、我々にも遂行せねば為らない任務があってな。蒼銀星龍よ、このまま鎮まりて大人しく御同行願えないか?」



 摩由羅提督の話を真面に聞いているのか否か、リトルは尻尾を可愛くフリフリしながら、何とも楽しそうな顔をして彼女の方へと振り向いた。



 「ハハン?所詮無駄な足掻きと解らんとはのぉ、何とも気の毒な事じゃ。そうれ、もうすぐ最初の掃討波が押し寄せるぞ、【ヴァレダ】のように消えたくなくば、あの白い結界兵器を円錐状にでも展開させたうえ、各艦のイナーシャルキャンセラーを全開にして備えるが良かろー。上手く行けば1度くらいは乗り切れるかもしれぬのぉ、キャハハハハ」



 姿しなやかに動き廻るリトルの尻尾を然も面白く観察していたパズール艦長は、彼女の言葉を耳にした途端、反射的に火器管制スタッフに向かい素早く指示を飛ばす。



 「後部フォトンフェザー魚雷発射管開け、時限信管付き多階層胎蔵界結界《MIRV-TZQr2》弾頭を装填次第、各弾1ミント遅滞設定にした5F攻撃タイムラグ・ディフェンスアタックを三斉射の後、分遣艦隊後方に広域三重円錐結界を張れ、急げ!!」


 「パズール艦長!空間断層反応急速接近、感ありです。接触予測480セクル後、本艦隊に向け後方より来ます」



 珍しく胸鰭を激しく揺すって興奮する白い《レゥレカス属ヴィナスーリア》の早期警戒要員が、銀色の錆びた波頭が迫り来るのを告げ、ブリッジに鋭く響き渡る緊急アラートにパズール艦長の瞳が一際険しく眇められる。



 「摩由羅分遣艦隊司令、《MIRV-TZQr2》実証弾頭を試験搭載した左翼後方第3迎撃護衛艦群にも同様な指示を与えても、宜しいですかな?」


 「構わん!!各艦【トラディスカンティア】を中心とした高密集隊形ガリレオ二重球形陣を形成のうえ、イナーシャル・キャンセラー緊急全開、セイレーズにも伝達しろ!!急ぎ広域三重円錐結界傘下の内側に入れ!!」


 「ラジャーであります。第3迎撃護衛艦群、全弾ブチ込め5F迎撃戦闘開始。セイレーズ緊急退避だ!」



 【トラディスカンティア】を始めとする複数の迎撃護衛艦から放たれた、多階層胎蔵界結界《MIRV-TZQr2》弾頭は、分遣艦隊の後方に再び白亜の多階層胎蔵界結界による広域三重円錐結界を展開すると、簸た寄せる破壊の渚【光燐海フォスフォール・オシアヌス】の残波と干渉し始め、強力な空間振動を発しながら次々と消滅する。

 迎撃護衛艦のイナーシャル・キャンセラーが最後の防壁となって虹色の輝きを発し、その干渉波に耐えきれず曳き剥がされた各艦の装甲盤が、砕けた砂の様に【光燐海フォスフォール・オシアヌス】の残波へ吸い込まれて行く。



 「提督、如何やら辛うじて乗り切れたようです。が、残念ながら使用可能な《MIRV-TZQr2》弾頭の残弾をほぼ消費しました。次があれば覚悟を決めるしかありませんな」



 パズール艦長はニコリともせず、何時もの様に冷めた表情のまま摩由羅提督の横へ佇み、対峙するリトルのフォロビジョンに厳しい視線を向けていた。



 「うまく躱したではないか?善哉、善哉・・・ああ、そうであった。それとな、世理臼坊や、いや、レイルズ総監閣下であったか?彼に伝えておいてはくれぬか《【星刻(せいこく)の鍵】は余が預かるでな、くれぐれも余計な手出しはするでない。火傷しちゃうぞ》とな」



 リトルの幻影ともいえる神々しいまでのフォロビジョンは、勝ち誇ったように更に満面の微笑みを湛えている。



 「さて、余は先に行くとしよう。世話になったな、摩由罹・ローゼンバルト提督。そう、一つ覚えておくが良いぞ、どの様な難敵であろうと余の前に在っては《諸余怨敵、皆悉摧滅》となるがこの宇宙の常理よ。あまり気に病むでないぞ?では、去らばだ。アッハハハハハハ!」



 リトルはそう言い残し、一際大きく高らかに嘲笑をあげ摩由羅提督との別れを告げると、【トラディスカンティア】のブリッジからあっという間に搔き消えて行った。

 無言のまま立ち尽くす摩由羅提督へ、再び淡々としたパズール艦長の声が投げかけられる。



 「《奇跡は二度ない》と聞きます。我々も逃げるとしましょうか?」


 「・・・フム、面白い。やはりこの艦は居心地がいいな」


 「光栄ですと言いたい処なのですが、それはきっと、多分に提督の気の所為でしょうな」



 その直後、SID専属艦【ルーミィ】救難支援分遣艦隊の眼前に拡がる漆黒の宇宙空間を切り裂きながら、優雅に滑るように進んでいた【ルーミィ】は、華麗に拡げていたバリアブル・テールフィンをゆっくりと自らの艦体に密着させ、その艦首から仄かな紅い輝きを発し始める。



 「ティア、【煉獄宇宙】潜航深度確保、潜航稼働領域へ到達しました」



 キャプテンシートを振り向いた伽罹那の操艦スーツが、通常空間での七色の輝きから次第に萌え上がる深い茜色へと、その彩色を移り変え始めてゆく。



 「ティア、【ヴァルハラ】駆動系機関システム・ロックゥー、オール拘禁装置(フィジカル・レストレイント)グラヴィティ・アンカーボルト解除(パージ)、全方位へシフト・アップ、出力フル開放しちゃったよゥー」


 「ティア、周囲の空間因果律変動値領域を完全掌握ゥー。リヴュス反応炉臨界停止低出力域までゲイン・ダウン、通常主駆動機関停止コンヴァート完了だよゥー」



 明利の替わりに入ったテミアのコ・パイロットサポート・フォロキューブに、紅蓮の炎を模した【ヴァルハラ】駆動系機関システムの賦活データが踊り始めていた。



 「姐さん達、怒ってたな。でも、何時かはきっと・・・」



 多重操環円フォログラム・ステージの中で、彼女はゆっくりと()り出してきた白銀色に輝く煉獄宇宙航行専用操舵輪を確と握り締めて、【煉獄宇宙】への潜航ダウントリム・ステージに取り掛かる。



 「・・・そう、何時かはきっと、軍属じゃない主席航宙師としての私を認めさせてやるんだ!!」



 伽罹那の心に去来するのは、偉大な兄姉たちとの惜別の後悔か、はたまた仲間と共にまだ見ぬ未来へと漕ぎ出してゆく希望であったのか、白銀色の舵輪を確りと握る彼女の手の感触だけがその答えを知っていた。



 「多重護法陣梗塞祁群、まだまだみーんな元気ですゥー。ダメージ・コントロール対応施術祁全柱インテグレート結界再設定韻倶(セッティング)ゥー。防壁勤行結界伝奏ゥー護法防壁展開開始ですよゥー。梗塞祁群の皆さんはご苦労様でした。暫しお休みくださいませ、踏ん張ってくれて有難ゥー」


 「伽罹那、【煉獄宇宙】第弐階層琴海周辺チャートのセットアップ完了ゥー。アルのマッピングほど美味そうじゃ無いけど、アシスト・ナビ・ガイダンスやっちゃるよゥー」


 「うん。テミア、たのむわぁ。ああ、来た来た、これぞあたしの本領【天祥宙航師ヘヴンズ・ノーツ】の醍醐味だぁ。イケる、何時でも行けるよティア」



 伽罹那の視野領域には、何時もとは違う奇妙なアイテムで具象化された【煉獄宇宙】の膨大なチャートが流れ込んで来る。

 確かにアルほどの緻密さはないが、チャートに書き込まれた癖にテミアらしくユニークにディフォルメされたマッピング・テキスト・メッセージが煌びやかに踊っていた。



 「ラジャーだ。伽罹那、ディストーション・フィールド(次元空間歪曲場)展開。【ヴァルハラ】駆動系機関システム全開放、事象因果律を超えてハイパー・フォールド駆動【煉獄宇宙】第弐階層への潜航開始。リトル、伽罹那のサポートは宜しいか?」


 「ほほう、第弐階層にまで【光燐海フォスフォール・オシアヌス】の影響が出て居るではないか?」



 チャートには、肉食魚類の姿を模して渦を巻いて群れを成す【光燐海フォスフォール・オシアヌス】の掃討波が、次第に遠ざかって行くのが表示されていた。



 「ティア、ラジャー。【煉獄宇宙】第弐階層へ潜航突入します」



 伽罹那の発した声に載せて、明利のこ・パイロットシートにちゃっかりと座り込んでいたリトルは、すっくと立ち上がり、柄にもなく伽罹那を励ますかのように呟く。



 「ふん、サポートも何も、伽罹那の腕は超一流だからな、余の出番なぞないわ。さぁてと、ティアよ、余は明利とアルの様子でも診に行くとするぞ」



 リトルは小さなヒップの上に後ろ手に手を組みながら、何食わぬ顔をしてさっさとブリッジを出て行き、ティアスの号令と共に【ルーミィ】は、銀河先史文明の残したポータル・ゲートを使用せず、未だ人類銀河文明が為しえない単艦でのハイパー・ディストーション・フォールドを駆って、味方であるソル系宙軍の包囲からの脱出を図る。


 スカルメールのコクピットに座る迦楼羅・ローゼンバルト少佐は、【煉獄宇宙】に沈みゆく紅蓮に染まった【ルーミィ】を見つめ「フン」と鼻を鳴らし、久々に果たされた長姉と末妹との邂逅への喜びと、逞しく成長していた末妹の無事を願う。



 「ハイパー・ディストーション・フォールド駆動か、流石だな、いい腕をしているじゃないか伽罹那」


 「マミラリアです。大隊長、結界弾頭残弾数3ですが、SID専属特務艦を我々が撃ってでも抑えましょうか?」



 先程まで【ルーミィ】を護衛して大活躍をしていた、鮮血の《ヘルヴァ》隊、隊長マミラリア准尉の赤黒い鼻血に染まったアバターが、気色ばむ様に彼女の視界に入り込んできた。



 「ローゼンバルトだ。いや、その必要はない。我々は攻撃命令を受けてはいないよ、マミラリア准尉。このまま見送ってやれ」


 「マミラリアです。申し訳ありません僭越でありました、ラジャーであります。それに・・・とても愉快な奴らでありました」


 「ああ、そうだろうな。・・・伽罹那と、その仲間と、良き艦に航海の無事と、その成長を諸天善神に私も祈ろう。諸天善神の威光勢力よ、我らが末妹の旅路に加護有らん事を・・・」



 迦楼羅の言葉が終わらない間に、【ルーミィ】は虚無の空間を切り裂いて【煉獄宇宙】への扉を抉じ開け、蒼星銀色の艦体を美しく紅き閃光のナイフと化して漆黒の波間へとその姿を消し去って行く。


 【トラディスカンティア】に座乗した摩由羅提督は、【煉獄宇宙】へと消えゆく【ルーミィ】の姿を冷徹な表情を崩さずに見つめ続けていた。



 「提督、ハイパー・ディストーション・フォールド発動現象を確認しました。私も始めて目にしましたよ、ハハハハ、単艦でこれ程の性能とは確かに凄い艦ですなぁ?いゃビックリですな」

 


 パズール艦長は、摩由羅提督の吸い込まれるような冷徹さを湛えた表情の裏に隠された、複雑な思いを感じ取ったのか、テンションも高く妙に明るい声を発している。



 「ほう、貴官もそう思うか?実に善い艦だ・・・それにしても見事に逃げられたな。これでは追うに追えないではないか?」


 「如何でしょう、再浮上想定エリアでも探索してみますか?まぁ、無駄とは思いますがね」


 「無駄と解っているならもう宜しい、貴官のその具申は聞かなかった事とする。それより、この危ない宙域から急ぎ離脱するぞ。・・・それからパズール艦長、艦隊総監へ回線を繋いでくれない?」



 躊躇するように彼女の発した最後の言葉に小さく肩を竦めたパズール艦長は、艦隊総旗艦【ファランドゥール】の艦隊総監席へフォロビジョンを繋ぐ様に命じる。



 「いやな役回りを押し付けてすまなかったね、摩由羅提督、救難回収役ご苦労さん。如何やら同行説得の方は不調に終わったようだね?」



 薄らと彼女の手元に浮かんだ小型フォロキューブ・ディスプレイには、何故か、ニコやかに温和な顔をした世理臼・レイルズ艦隊総監の姿が映っていた。



 「申し訳ございません。既に閣下の到来を推察していたようです。我々も未だ為し得ぬ単艦HDフォールドにて、本分遣艦隊の制圧宙域から離脱されました」


 「そうか、構わんよ。あの御転婆嬢ちゃん達の事だ、そう簡単に行かなくて当然だよ。で、《あれ》は無事だったかね?」


 「はっ、御姿は確認できませんでしたが、無事であるとの報告を受けております」



 摩由羅提督は、レイルズ艦隊総監から繰り出された意外な《あれ》への問い掛けに、一瞬言葉を選ぶべきなのかと迷ったが、私情を一切挟まぬ冷徹非情を誇る偉大なソル系宙軍中央艦隊総監とて、流石に人の親に過ぎないのかと推察するべきなのだろう。

 そう考えてみれば、至極真っ当な回答を選択したのだと自分に満足すると同時に、何処となく落胆しそうな奇妙な感覚にも囚われると、確かに彼と宰華帝国との間に存在する関係が、途轍もなくシュールに見えて来る。

 彼女は、それ以上余計な報告をするのを止めた。


 不思議そうに彼女を見つめていた世理臼は、艦隊総監シートに座ったまま安堵の溜息を吐きながらも、更に柔和な微笑みを浮かべて摩由羅提督に問い掛けた。



 「ありがとう摩由羅提督、それで十分だ。それから、末の妹さんは無事だったかね?」


 「はっ、閣下のご高配有り難く存じます。ご懸念には及びません、無事でありました」


 「大切にしてやりたまえ、きっと父君もご心配だろうからな」


 「これは、畏れ入ります」



 摩由羅提督は、艦隊総監の何時もとは違う意外な反応に再び躊躇する。



 「以上、友邦艦救難支援模擬演習は終了だ、良い結果に満足したよ摩由羅提督。即刻中央基幹艦隊に帰還合流してくれたまえ。君の師匠、グリーニー提督も待っているぞ。ご苦労だったな」



 世理臼は、摩由罹・ローゼンバルト中将麾下のSID専属艦救難支援分遣艦隊による、実質的な【ルーミィ】捕獲作戦が未遂に終わった責を一切問う事無く、程よくり替えられた《演習評価シナリオ》の講評結果を不問に付す。



 「何故だ?模擬演習だと?レイルズ艦隊総監の狙いは何処にあるのだ?今更私に、いや、ローゼンバルト家に貸しを作った処で何の益も無かろうに。・・・いや、やはり、何か他に隠された目的があるとでも云うのか?」



 こうまで見事に《模擬演習》と言われては、逆に潔ささえ抱くのも禁じ得ない。

 彼女はローゼンバルト家の存続と、目まぐるしく遷り往く星域世界間情勢の渦に我が身が巻き込まれるのを恐れてか、何気ない事にも過敏に勘ぐってしまう自分を逆に憐れみ、なだめていた。



 「それにしても、あの跳ねっ返りの末ッ娘め、必ず還って来るが良い。その時はきっと・・・」



 摩由罹の脳裏には、天真爛漫に満面の笑顔を浮かべ彼女に向かって一途に駆け寄ってくる、幼き頃の愛くるしい伽罹那の姿が湧き上がっていた。



 「・・・その時はきっと、有無を言わさずこの両の腕で死ぬほど強く抱きしめてやる」



 摩由羅・ローゼンバルトはそう言ってふと小さく笑みを零し、彼女の手をすり抜けて【煉獄宇宙】を往く末妹の幸せに想いを馳せていた。


 劃して、対【ヴァレダ】制御兵器系の実戦テストを果たせぬまま、こちらも撤収せざるを得なくなった、ソル系連邦中央総軍第七早期打撃機動艦隊《熾天使艦隊》総監旗艦【ファランドゥール】のブリッジでは、グリーニー提督と、世理臼艦隊総監の会話が続いていた。



 「閣下、このままで宜しいのですか?」


 「アディリア連合星系の連中が失敗したのも、既存技術の応用に拘り過ぎた故の結果なのだろう。これまで人類の得た、然程の知識では【ヴァレダ】を操ることが容易ではない事さえ判っただけでも収穫だよ。そして何より、あの【洸燐海フォスフォール・オシアヌス】の実態観測データが確保出来たのも幸いだったがね」


 「しかし、中央総軍軍事査問委員会も黙っては居ますまい。対応は如何なさいますか?」


 「承知しているよ。そっちも手配済みだ、提督の御懸念には及びませんよ。ご苦労だったね、では、帰りましょうか?グリーニー提督。全艦に帰還発令を願います」



 世理臼は、艦隊総監ストールの襟を整えて整然と身構えると、グリーニー艦隊司令から告げられる帰還命令を静かに待った。



 「全艦隊に通達、本時点を持って当該星域での無告知長距離遠征外洋演習並び友邦艦救難支援模擬演習【ティリオット・レイズン88】を終了する。レイルズ艦隊総監講評は後日コミット実施予定だ、即刻帰還する!」



 グリーニー艦隊司令の号令と共に、あっという間にゾディアック・ポータル・ゲート【アクエリア004】へと遷移するソル系連邦中央総軍第七早期打撃機動艦隊《熾天使艦隊》は、古き神々の闘争によって激烈な破壊痕を残し、深く大きく傷付けられた「六慾天」第五化楽天ニェルマーナ・ラーナティ星系を後にする。


 ポータルゲート【アクエリア004】のタキシングエリアへと次々に進入してゆく艦隊を見守って、艦隊総旗艦【ファランドゥール】の艦隊総監執務室では、サウンドオンリー表示のフォロ・ディスプレイの前に浮かび上がったソル系連邦首府軌道衛星都市【エリシュオン】のアバターを前にして、世理臼が静かに語り掛けていた。



 「如何だい?今回の演出は面白かったかい?アーノルド。ちょっと派手だったかな?」


 「ホント君には恐れ入るよ、空いた口が塞がらない。それでもって統合参謀本部は今頃蜂の巣を突いて大騒ぎなっているぞ?中枢直衛の主力大艦隊一つが、忽然と根刮ぎ消えちまったんだからな」



 暫くの沈黙を置いて、世理臼はゆっくりとシートに体を(もた)れて言葉を続けた。



 「ご苦労な事だよな、連中が勢い頭上に振り翳した強制査察も全くの空振りさ。叩くべき裏切り相手の巣窟がもぬけの殻じゃな。で、足跡は拾えたかい?」


 「ああ・・・やはり【FOSS】だったよ。【外周星系連邦(FOSS)国家情報統制府オルガナイゼーレ矯正機構】の枝が付いていたぞ。憑りつかれていたのは、やはり君んとこの【MID】情報第2局に間違い無いな」


 「そうかい、それは意外だったな。俺はてっきり美怜帝リーミンの嫌がらせかと思っていたんだがね?ハハハハ」



 世理臼は満面の笑みを浮かべ、既知の間柄にある相手に向け小気味よく笑い声をあげる。



 「全く!そこかよ・・・世理臼。君のところの夫婦喧嘩はいい加減に余所でやってくれないか?こっちもハッキリ言って迷惑だぞ!単なる夫婦喧嘩を恒星間国家紛争にまでエスカレートさせ兼ねんとは、全くもって言語道断だ、銀河人類文明史上にも例がないぞぉ!」



 苛立たしそうに皮肉をタップリと込めた【SID】クラファード局長の声を耳にして、世理臼は思わず失笑を隠せなかった。



 「今回、宰華帝國ヴリューガルは掠りもしていなかったぞ。恒星間国家間の覇権諍いと家庭内紛争を同一視するような所業とは、一体全体どうゆう了見かねぇ?やれやれ、君ら夫婦は、真面目な我々が営む日々の苦労を何だと思っとるんだ?」



 クラファード局長の嫌味も、次第に落ち込み度を通り越して既に自虐的にさえも聞こえ始めている。



 「さてよ、僕にとっては国家も家庭も一緒の事なのだがな、何も変わらんぞ?だが、もしそうであれば苦労を掛けて済まないなクラファード。処で、今回の件、【FOSS】は一体何を企んでいるのかな?」


 「・・・解らんが、何れ奴らの狙いもハッキリさせねばならん。存外、もう既に君には見当がツイとるんだろう?だが、その時は政治的にも複雑すぎる。【MID】の力を借りる事になるやも知れんな」



 クラファード局長のリアル・アバターは、手に負えない幼子の悪戯に手を焼く様に、やれやれと言わんばかりに腕組みしながら世理臼を見上げている。

 今回のソル系連邦宙軍中央統制部の内紛について、【FOSS】=外周星系連邦フェデラル・アウターの特殊調査機関の介入が見え隠れするよう故意に暴露される仕組みになってはいたが、その上で尚且つ、彼らの真の狙いが何処にあるのかを見定めねばならなかった。



 「それはそれは、光栄の至りだね。その時は【MID】も労を厭わないはずだ。で、当面の情報第2局の整理方法なんだが、【FOSS】の火遊びに少しばかり復讐してやるいい知恵があるかい?」



 世理臼は両手を後ろに組んだまま、部屋の中空に浮かぶエリシュオンのアバターを見上げ、少しばかりの期待を寄せてクラファード局長の答えを待った。



 「僭越ながら元帥閣下、今回の軍内部の粛清。いや、外部介入に起因する強制的構造改革に関して我が【SID】当局は一切関知しない。いーや、する積もりも無いねぇ。論外だ」



 世理臼の期待に反して、先程とは打って変った極めて事務的な声を発したクラファード局長は、キッパリと突き放す言葉を彼へ帰して寄越す。



 「えっ?手厳しいなぁ。そりゃないよ、クラファード。君ん所で手伝ってくれるんじゃなかったのかい?」



 世理臼の秀麗な唇の端が半ば困ったようにニヤリと歪み、それを見ているクラファード局長は、この悪戯好きの大元帥を相手にやっぱり途方に暮れる。

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