5 アタック・バイアレント 6
「あれが実在し、覚醒したと、なれば更なる災厄を、古き強大な、呪いを、虚無為る悪神を惹き寄せるのだ」
再びリトルの視線が、ティアスへと戻される。
「お前らの呼ぶ、第Ⅳ文明【イーギリァ・トキィエ】が、生み落とした、恒星系破壊兵器、である、【ヴァレダ】自体を、滅却すべく、敵対する第Ⅵ文明【ゼセル】が、最後に創りし、次元振動破砕最終、対抗絶対兵器、【光燐海】と云う破壊神を目覚めさせる」
ティアスの記憶巣に蓄積されていたSIDの機密情報群に、リトルの語り始めた内容が繋ぎ合わされ次第に容を整えて行くに随って、朧気ながらに浮かび上がった至るべき一つの結論に彼女の顔色は蒼白に変わる。
「そいつは未だ謎に包まれている、あの超古代星間文明戦争の終焉を招いたモノなのか?」
「そうだ、必ず「それ」は、顕現する。第五化楽天、ニェルマーナ・ラーナティ、この星系の、消滅も、最早時間の、問題でもあるな」
ティアスとしては、出来る事ならこのオペレーションを無難に潜り抜けたかったのだが、どうやら不幸な直感は今回も当たってしまった。
「くそっ・・・テミア、アルと明利から受信した招請通信コードについての真偽を確認しろ。秘匿アルゴスコードを、そう、念を入れて3モニターだ。スライド8.34chサーチで再検証を忘れるな」
「ラジャーですゥー。やっ、とう、そりゃ・・・はい、完了ですゥー。1stスライド《マ・メール・ロア第二楽章》一致。2stスライド《ファイトで、一発!》何じゃそりゃ?これもOK。3st《ディル〇ゥー・アタック》もう病気だよゥー!(こりゃ絶対ラミアの趣味だな。あ~あ、此処まで変態でなくて良かった、善かった)」
身内の恥ずかしいまでの拘り感に思わず首を傾げたテミアは、仕込まれたアルゴスコードの脈略の無さに困惑を覚え、足元直下の主戦闘ブースで激闘を続けるラミアに向けて、そっと憐みの一瞥をくれる。
「でもって、一致だよゥー。括りのモニタリング追検証OKどぇーすゥー。・・・由って、故に、従ってぇ導き出される結論は、アルと明利から発せられたリアルコードの、本物と断定します」
「そうか、生きていたか。良かった」
ティアスは、フッと安堵の溜息を吐きながらリトルを見降ろすと、反対にティアスの顔を見上げていたリトルは、彼女に向かって念を押すように訴えた。
「今一度、言っておく、余を信じよ。これからも、お前達と、共に歩みたい」
「ハハッ!!その手は喰わないわ!素直に応じるにはちょっと物分りが善過ぎはしないか?その程度に遇われるとは、逆に不愉快だぞ」
ティアスは一際不快感を顕わにして声を荒げ、リトルへ向けて言い放つ。
そう、ティアスは心底怒っていた。
「では何が、望みだ?どの道、此処から脱出するには、余の力が、必要であろうに」
彼女の怒りを察知していたのか挑発的にニヤリと微笑んだリトルは、狡猾にもティアスに対して逆取引を仕掛けて応える。
だが、その奸計を含んだ言葉とは裏腹に、リトルの瞳は反抗的な野心の欠片も感じさせない程に澄んでいた。
ティアスは明利のシートに簀巻きに括られて転がるリトルの姿を、さも楽し気に嗜虐的な眼差しで眺めながら、殊更冷徹な薄い笑みを浮かべ威嚇するように問い掛ける。
「確かにな。全く、何時にも況して食えない奴だな、姉貴は。・・・そうだな、では我々の命を再びお前に預けるとしようか?」
一呼吸開けた後、続けてティアスの叩き付けた声には、修羅の如くに一切の容赦が無かった。
「我らの難儀なるも此れ即ち法と身・・・なれば!お前は如何する!ルーミィ!!」
「・・・余は、尊厳なる、星龍の盟約を、此処に交すとしよう。余の命を、捧げよう。未来永劫、お前らと、これ以降の盟約が、保てるならばな。お嬢、お前こそ、・・・裏切るでないぞ」
一瞬の沈黙を経た後、リトルは先ほどの恫喝めいた態度を微塵も感じさせずに、いやその上で心なしか薄笑いを浮かべた表情をして、ティアスから売られた喧嘩に淡々と応えた。
その間にも、第Ⅰ装甲盤を叩き続ける無数の超硬化刺胞触手による振動は尚も激しさを増し、二人の間を漂う奇妙な雰囲気が【ルーミィ】ブリッジを包む中、ティアスは赤く彩られた唇の片方を歪めて静かに口を開く。
「フン!!何を今更。それはこっちの台詞だ・・・都合が悪けりゃ、死んだふりしといて図々しいにも程があるぞ」
(欲しいのは、やはり《明利》か・・・こんな直感はまず当たるからねぇ)
逆さまに転がって視線を交していたリトルの真っ直ぐな瞳に、ティアスは【ルーミィ】の隠した真の欲求が、見え隠れしているように感じられて仕方がなかった。
(ならば、利用できる限りはお互いの利益を享受しておくのも、良しとすべきか)
心の中でそう呟いたティアスは、一瞬の躊躇いの後リトルに向かってゆっくりと頷いて見せ、矛を収める頃合いとばかりに交渉終結のサインを送った。
「いいこと?後で《星龍の顕現》について詳しく話すこと」
「ああ、ラジャーだ。余の、知り得る、限りな」
リトルの瞳が驚いたように大きく見開かれると、彼女は続けて満面の笑みを現した。
「それと、《彼》については今後一切の欺瞞・奸計を用いないこと。《彼》の意思を受け入れる覚悟はある?」
「其れについては、こ、考慮しよう。・・・いや、ら、ラジャーだ。い、何時でも、覚悟している、つもりなんだが・・・いや、つもりだ。況してや欺瞞・奸計等とは、そんな卑怯なマネは・・・する筈も無い」
ティアスは、リトルの発した最後のまどろっこしい回答に一抹の不安を憶えたが、この圧倒的不利な局面を打破する方法について他に良いアイディアを思い付く筈も無く、それに他の策を選択する余地さえも彼女には残されてはいなかった。
(やれやれ、是も何れは叶わぬ時が来るのかな。ええい儘よ、今は遣れるだけ遣れ!行ける処まで行け!だ!!)
ティアスの意思にはには、もう躊躇いは無かった。
「よし良いだろう、契約復活承認再締結だ。こっちの台詞だぞ、ルーミィ!お前こそ二度と裏切るな!!」
真剣な表情のままのティアスは、指のリングを再びリンク・フォロビジョンに翳して皆に向かって宣言する。
「これより室長権限履行【Qs-0R】を解除する。O・S・T包括機能停止プラグコードをフル・エジェクトし、凍結した【ルーミィ】の制御機能回復処置後、全サポート・コントロール機能を一気に復活移行しろ」
そしてティアス・マッコード室長の承認と共に、ブリッジの其処彼処で《強制遮断中》と深紅に明滅しサインアップされていたフォロビジョンが、淡いオレンジ色をした《機能復活中》サインへと一斉に変わった。
「ラジャー。全航法管制・自律航行コントロール、サポート・フルオートモードへ復活移行開始した!」
「うえぇ、ラジャでーすゥー。火器管制・自律防衛システムメイン・サブとも、フルオートモードへ復活移行開始しますゥー」
「うおぉ、ラジャでーすゥー。警戒管制・艦内各種アビオニクスコントロール、フルオートモードへ復活移行開始しますゥー」
苦々しい顔をした、伽罹那と双星神の3人はティアスの決断に応じて返事を返すが、リトルはと云うと平然と周囲の様子を見渡して、皆に悟られぬように小さく「ニヤリ」と北叟笑んでいた。
やがてライトグリーンに輝く《復活移行完了》サインがアップされ、【ルーミィ】による各種サポート機能権限の復活移管が完了すると、それまで絶えず艦を包んでいた微細な振動が一度撓んだ後で嘘のようにピタリと止んだ。
伽罹那は応急操艦補助ユニットのパイロット・シートを飛び出して、再び多重操環円フォログラムステージの中へとスルリと飛び移ると、大きなため息を吐き威勢を上げる。
「ふううう。やれやれ、やっぱこれだよね。さあ、行こうか【ルーミィ】!」
彼女は七色に輝く多重操環円ユニットの中で、ゆっくりと小刻みに肩を揺すりながら呼吸を整え、操艦調律ユニフォームの手首にあるスイッチをONにする。
途端に、周囲は虹色に乱舞するイメージフォロニクスに包まれると、彼女はその中で華麗にフィギアの舞いを始め|操艦S.G.I(シンクロナイズ・グラフィック・イコライザー)との同期を調律する。
「いっやー、ジェットフォイリングってのは、超絶好いね~ぇ」
その時【ルーミィ】の直上には、硬化された刺胞触手の雨が再び降り掛かり、連続した鋭い衝撃が【ルーミィ】を襲った。
「しつッこい奴らだ!ええい、伽罹那。ランダム回避行動を取りつつ、テミアとラミアの火器管制軸線上へ急速遷移。双星神、今度は一発で仕留めろ!!」
更に強い語気を込めて、ティアスからの指示が飛ぶ。
「ラジャーだよゥー。ラミア、ターシャリーブラスター護幇塔厭勝結合印生成だよゥー。リニアキャノン90-伍式徹甲型定域重力弾頭再装填完了ゥー。今度はちとばかりちゃうどゥー、復活【ルーミィ】一番搾りぃ、超弩級の厭勝をタップリ込めて幇印括ってるぞぃ、今度は外すなよゥー」
「一番搾りってよゥー、何ーだぁ?リトルも「欲求不満しちゃって」だったのかぁよゥー?」
「ば!か!め!・・・余は、溜まってなどおらぬぞ。「ちち」なぞ出らぬわ!ええぃ搾らんでぇいい!搾らんで!」
可愛らしくも、真っ赤な顔をしてブツクサ文句を喚き散らすリトルを後目に、ラミアの火器管制フォロビジョンには、【ルーミィ】のフォローを受けて既にロック・オン済みとなっている【ヴィオラディ・シグラ】の悍ましい姿が浮かび上がっていた。
最早、古式照準タブレットを補正してまでセミオート射撃管制に拘る必要もなかったのだが、それでも尚、ターレット・スコープを覗き込み続ける彼女の声が殺気を帯びる。
「ラジャーだよゥー。おのれぇい一撃~必殺!二匹とも、大人しくそこで沈ーめーえーえ゛え゛い゛!」
ラミアが幇雷撃射撃タクトのスイッチを再びグッと押し込むと同時に、リトルの発した不気味な囁き声がティアスの耳に纏わり着く様に微かに届いていた。
「此度は、もっと念入りに、ジックリと、焼滅させてやろうのう。フフフフ」
再びルーミィから投射された定域重力弾頭弾が、ギュンと唸りをあげて滑空する。
同時にターシャリーブラスターの高エネルギーラインが、二体の【ヴィオラディ・シグラ】から次々に繰り出されて来る硬化触手を蒸発させつつ胴体部へと届くと、一斉に炸裂した定域重力弾が瞬く間に包み込み二重の重力閉鎖空間を形成する。
【ルーミィ】の厭勝を帯びて威力を増したその一撃は、【ヴィオラディ・シグラ】の念積構造体を徹底的に引き千切り四散させ、再びあの高エネルギー渦巻くプラズマ超重力閉鎖空間の灼熱地獄を再現させていた。
やがて断末魔の顫動と共に、超古代文明の残した超越魔法技術制御の積層念疑似生命体【ヴィオラディ・シグラ】は、【香粋】の洋上にて今度こそ完全に封滅されたのであった。
「ゲ・き・メ・つゥー!か・い・か・んーやたー!」
「消し飛ばせたよゥー!か・い・か・んーやたー!」
「この滑るようなージェットフォイリングの感覚はー、うん、確かに気持ち、か・い・か・んーだな」
火器管制ユニットの上下に座るテミアとラミアは、それぞれの手と足で見事なタッチングを披露し、片や多重操環円フォログラムで舞い続ける伽罹那は、調律されたジェットフォイル航行の感覚を楽しんで恍惚感に浸っている。
「良くやったな、伽罹那、双星神。おっ疲れさん!」
キャプテンシートにどっと沈み込んだティアスも、銀色に輝く髪をかき上げると、その美脚を「ブン」延ばして一際高く弧を描きながら華麗に組み替えた。
「まだ、終わった訳ではないぞ、レセプターは、遠い。そら、我々からは、惑星のほぼ真反対側に位置しているのだからな」
一息つく間もなく、フォロビジョンに浮かんだ【香粋】の立体画像を示して、リトルが急き立てる。
激闘の末遂に【ヴィオラディ・シグラ】を屠ったティアス達一行だったが、その2体の犠牲こそ本体を逃すための偽装誘導と、時間稼ぎの術中に見事に嵌まったに他ならず、ティアス達一行はアルと明利から送られてきたランデブー・ポイントを示した大陸南端【鎮める神殿】とは反対方向の、遥か惑星半周程に及ぶ位置へと誘い出されていたのである。
「くぉのぉ!えっらそーにぃ、解っちゃいるけどねリトル、元々アンタの所為でもあるんだからね。反省しろ、反省!本っ当しょうがないわねぇ。・・・でもって、これは結構離され過ぎだな」
「・・・はて面妖な。余の動きを凍結していたのは、お前達の方ではないのか?大体己が未熟を知らずして、無明の闇に彷徨えし人類属如きが余の躰を御そう等と、傍若無人、無礼千万、言語道断なのだよ。あっり得な~いぞ」
再び不貞腐れ文句を吐き続けるリトルを無視して、ティアスは双星神に問い掛ける。
「テミア、アルと明利のランデブー・ポイントまで、どれくらい時間が掛りそうなのか?」
「やや、仕舞った。確かにこりゃ、惑星約半周分に近いんだよゥー。このまま海面滑って行ったら約2テレンスは掛かるってとこだよゥー」
「気圏内飛んでも丸ッと10レンスってとこかな?結構時間喰っちゃうよゥー」
「馬鹿め、これではまるで単なる道具扱いではないか?お前ら、聞いているのか?余の助力無しでは、到底辿り着けぬぞ。悔しかったら、余の許しを、請うがいい、地べたを、這いずる、しがない、能無し猿に、何事かを成せる事なぞ到底叶わぬわ。大体だな・・・」
「小賢しい、まんまと嵌めおったにゃゥー」
「飛んで行っても結構掛るものじゃのゥー」
独り言語調律を続けているのか、延々と続くリトルの小言を完璧なまでに放置しながら、ティアスの質問に真っ当に答えようとした双星神は、一頻り頭を捻った挙句にホットポテトな難問を、ポイッとばかりに伽罹那へと放り投げた。
「ほいパス!「伽罹那ぁ?何とか為らんもんかのゥー」」
「繰り返して措くが、お前ら、ちやんと聞いておるのか?余の助力無しでは、到底辿り着けぬのだぞ?悔しかったら、余の許しを請うが良かろう。ええぃ意地を張らずば、容易き事よ。余の、深き慈悲にて赦しを与え、その望み叶えてやっても良いのだがのぉ?どうじゃ此処らでぇ・・・・・・」
「ふハはははは!五月蠅いぞ、あッはははは!黙れぇいリトル!!」
独り、ジェットフォイルの恍惚感に浸っていた伽罹那が、突如笑い声を上げてリトルの小言を制すると、多重操環円フォログラムの中で仁王立ちの姿をしていた彼女は、得意満面にティアスに向かってきっぱりと答えを打ち返した。
「然らば、跳ぶべし!ティア良いだろう?」
「ほぁ?翔ぶゥー??」
「へぁ?飛ぶゥー??」
「・・・伽罹那・・・気の毒な事よのぉ、遂に、常軌までをも逸しおったか?哀われぇよのぉ~」
リトルの惻隠の情をたっぷりと湛えた表情と、双星神の頭上に揺らめく無数の「???」に我関せずの伽罹那は、自信たっぷりと自慢げにティアスへ訴えた。
「まっかせなっさぁい。諸君、跳ぶのだよぉー!!」
彼女の何かしら魂胆有り気な、ニヤケた顔を見ていたティアスはハタと気付く。
「OKだ!伽罹那、じゃあ久しぶりに跳びましょうか?」
「っしゃあ、さぁリトル!やるよ、気圏内弾道飛行用意だ!!」
威勢の良い伽罹那の声に、縛られた儘ポカンと呆れた表情をしていたリトルの顔が、見る間に顰め面となって小さくコクンと項垂れると、コロリと仰向けに仰け反った彼女は首を横に振りながら「ぽそり」と嘆き返した。
「やれやれ、そんなロクでもない事を言い出すとは、勘弁してくれぃ。あれは、ちょっと、摩擦がな?熱くてムズ痒いんだぞ・・・出来れば、御免被りたいのだがなぁ?」
「ぐだぁぐだぃわないこのチビくそガキめ!跳ぶのか、跳ばんのか!ハッキリせい!!」
「ホトホト呆れた奴らよ・・・詮無き事よの、是非に及ばぬわ」
激しい剣幕で捲し立てる伽罹那の勢いに辟易したのか、リトルは涙目ウルウルで渋々縦に首を振って頷くしか無かった。
「これより、オペレーション「ウィルトートス」ターミナル・フェイズに移行する。さあ皆、もうひと踏ん張りよ!」
ティアスはシートから立ち上がると、すっと右手を翳し、続けて宣誓をする。
「本艦は、これよりランデブー・ポイントまで気圏内弾道飛行を行った後、クッソ姉ェチャン!!リディス少佐の確保とアルと明利を回収して、こんな危なっかしい処からとっとと、トンズラするよ!いいわね!!」
やけくそ気味になって来たのか、ティアスのやや砕け始めた宣誓に皆が威勢よく応えた。
「ラジャーだぜぃ!」
「「ラッジャーだぁよゥー!」!」
「・・・ラジャだぞ・・・ぐすン」
斯くしてオペレーションを完遂すべく、リディス少佐の確保と既に潜行している【ヴィオラディ・シグラ】の本体【ヤマタノオロチ】の追撃、そして何よりアルと明利を救い出す為【ルーミィ】とティアス達606分室の一行は再び一つになった。
【ルーミィ】は、一気に惑星【香粋】の大陸南端【鎮める寺院】を目指して、縮退リヴュス反応炉を転用した気圏内弾道飛行発動時のラムジェット・エンジンを最大出力へと上昇させる。
轟音を響かせて艦尾スラスターから見る見る噴射炎が立ち上ると、【ルーミィ】は、あっという間に青紫色に輝くプラズマイオンジェットの噴流による長い航跡を残して、未だ激闘の傷跡が残る沸き立つ大海原を後にした。
そして簀巻き状態にされた儘、明利のシートに放置されていたリトルは独り宙を仰いで嘆いていた。
「・・・処で、余は、何時まで、このまま、なのだろう・・・ぐすン・・・」




