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第8話 狩りに出発! 竜王、獲物より食欲が勝つ!?

「レオン! 今日は狩りに行くぞ!」

「……朝から何だよ」

「肉がない!」

「理由がいつも肉なんだよ!」

 宿の朝食を食べ終えたイグニスが、堂々と宣言した。

 料理祭の騒動で町は復旧作業中。冒険者ギルドも人手不足らしく、魔物の討伐依頼がたまっているという。

「狩りで魔物を仕留めれば、報酬も食材も手に入る。一石二鳥だ」

「ほう。たまにはまともなことを言うな」

「当然だ! 俺は竜王だからな!」

「じゃあ、荷物持ちは頼んだ」

「なぜ俺が!?」

「竜王は力持ちだろ?」

「……その理屈は気に入らん!」

 文句を言いながらも、イグニスは大きな荷物を背負った。

森の中で狩り開始!

 二人は町を出て、近くの森へ向かった。

 レオンは地面の足跡を調べ、折れた枝を観察する。

「この辺りに魔猪がいるな」

「よし! 焼こう!」

「捕まえてからな」

「捕まえたら焼く!」

「調理方法が決定済みなのかよ!」

 そのとき、茂みがガサガサと揺れた。

 巨大な角を持つ鹿型の魔物が飛び出してくる。

「来たぞ!」

 イグニスが炎を出そうとした。

「待て! 毛皮まで丸焦げにするな!」

「肉が残れば問題ない!」

「毛皮も売れるんだよ!」

「人間は欲張りだな……」

「お前が言うな!」

 魔物が勢いよく突進してきた。

 レオンは慌てず、半歩だけ横へ動く。

 魔物は勢い余って木に激突した。

 ドゴンッ!

「……え?」

 イグニスが固まった。

「今、何をした?」

「避けただけだよ」

「またそれか!」

 レオンは倒れた魔物の様子を確かめた。

「よし。気絶している。傷も少ないな」

「お前、狩りまで上手いのか?」

「食材の確保は料理の一部だからな」

「その理屈、便利すぎないか?」

獲物より大物が現れた!

 ところが、魔物を回収しようとした瞬間、森の奥から低い唸り声が響いた。

 ズシン……ズシン……。

 木々の間から現れたのは、黒い毛に覆われた巨大な熊型の魔物だった。

 その額には、黒い紋様が浮かんでいる。

 レオンの表情が変わった。

「……あの紋様」

 料理祭で倒した黒い獣。そして、イグニスの呪印。

 どこか似ている。

「イグニス、気をつけろ。普通の魔物じゃないかもしれない」

「ふん。どれほど大きかろうと、俺の敵ではない!」

 イグニスは手のひらに炎を灯した。

「こいつを倒せば、肉が山ほど手に入る!」

「だから肉を基準に考えるな!」

 熊型の魔物が咆哮した。

 森の鳥たちが一斉に飛び立つ。

 次の瞬間、魔物の身体から黒い霧が噴き出した。

 レオンは腰の包丁に手をかける。

「……やっぱり、何かがおかしい」

 イグニスの胸元の呪印も、服の下でじわりと熱を帯びていた。

「レオン。こいつは俺が相手をする」

「町を焼くなよ」

「分かっている!」

「森も焼くなよ!」

「注文が多いぞ!」

 巨大な魔物が、二人めがけて突進してきた。

 レオンは静かに構えを取る。

「さて……狩りの時間だ」

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