第38話 レオンの過去が明らかに!? そこにいたのは若き日の祖父!
巨大な黄金の祭壇の奥。
レオンたちの前に、一人の男の姿が浮かび上がった。
その顔を見た瞬間、レオンは息をのんだ。
「じいちゃん……?」
そこにいたのは、若き日の祖父によく似た男だった。
男は静かにレオンを見つめた。
『久しいな。継承者よ』
「いやいや、久しいって……俺、あんたに会ったことないんだけど!」
『私はお前の一族に残された記憶の番人だ』
ゴウエンが横から顔を出す。
「おお! じいさんの若い頃か! なかなかの男前じゃないか!」
「そこじゃないだろ!」
イグニスは祭壇を見上げながら、低くうなった。
「この場所……妙な気配がする。俺の呪いと同じ匂いだ」
男はうなずいた。
『かつて、お前の祖父はこの世界を訪れた。そこで一頭の竜と出会い、封印の儀式に加わったのだ』
「じいちゃんが異世界に来ていたってことか?」
『そうだ。そして、その竜は呪いに侵されていた』
イグニスの目が鋭くなる。
「その竜と俺に何の関係がある?」
『お前の呪いは、古代の竜から受け継がれたもの。しかし、単なる呪いではない。誰かが竜の力を封じるために仕掛けたものだ』
「誰かって誰だよ!」
レオンが問い詰める。
だが、男の姿が少しずつ薄くなっていく。
『北の祭壇へ向かえ。お前の手に残った黒い力を取り除くには、封印術を知る者が必要だ』
レオンは自分の手の甲を見た。
金色の紋章には、まだ黒い染みが残っている。
「俺の力を取り戻す方法も、そこにあるのか?」
『すべての答えは、北の祭壇にある』
そのとき、ゴウエンが手を挙げた。
「ところで、その祖父殿は料理ができたのか?」
「今それ聞く!?」
「いや、重要だぞ。偉大な人物なら、料理の腕も気になる!」
イグニスが呆れた顔をする。
「お前は食べ物のことしか考えていないのか」
「失礼な! 修行と食事のことも考えておる!」
「ほとんど同じだろ!」
その瞬間、祭壇の横に小さな扉が開いた。
中から一冊の古びた本が現れる。
表紙には、こう記されていた。
『竜の呪いと継承者の記録』
レオンが本を開くと、そこには若き日の祖父と巨大な竜の姿が描かれていた。
そして、その竜の隣には――。
「……イグニス?」
そこに描かれていたのは、今のイグニスとそっくりな竜だった。
イグニスも驚きを隠せない。
「なぜ俺が、こんな昔の記録にいる?」
ページの下には、文字が刻まれていた。
『竜を救う者は、竜に選ばれし料理人』
「竜に選ばれし料理人……?」
レオンは自分の手の甲を見つめた。
さらにページをめくると、最後の一文が目に入った。
『次の満月、封印は破られる』
「次の満月って……もう時間がないじゃないか!」
ヒカルが不安そうにレオンの服をつかむ。
「レオン……大丈夫?」
「大丈夫だ。絶対にみんなで帰るぞ」
そのとき、ゴウエンが本の裏側を指さした。
「おい、まだ何か書いてあるぞ!」
本を裏返すと、隠された文字が浮かび上がった。
『継承者を守る者は、すでにこの中にいる』
全員が顔を見合わせた。
「この中って……俺たちの中にいるってことか?」
レオンの声が響く。
イグニスは仲間たちを見回した。
ゴウエンは自分を指さして胸を張る。
「当然、わしじゃな!」
「いや、絶対違うだろ!」
その足元で、金色の小さな生き物が静かに羽を動かした。
二本の小さな角が、ほんの一瞬だけ黒く光る。
しかし、誰もその変化には気づかなかった。
祭壇のさらに奥。
暗闇の中で、何者かが小さく笑った。
『ようやく、役者がそろった……』
次の満月まで、残された時間は少ない。




