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第34話 遺跡の番人は超しつこい!じいさん、石像に弟子入り!?

「三つの光がそろったか……」

遺跡の奥から、低い声が響いた。

ゴゴゴゴゴ……!

巨大な扉が開き始める。

その向こうから現れたのは、全身が黒い鎧に覆われた巨大な騎士だった。

頭には二本の角。

背中には六本の黒い翼。

そして、手には大剣。

「侵入者よ。ここから先へは進ませぬ」

「また石像かよ……」

レオンがため息をついた。

「今度のは、さっきのより立派じゃな!」

ゴウエンが目を輝かせる。

「じいさん、感心してる場合じゃない!」

「いや、あの鎧はなかなか高級そうじゃ。売れば金になるかもしれん」

「売るな!」

イグニスが前に出た。

「邪魔をするなら、竜の力で粉砕してやる」

黒い騎士はイグニスを見た。

『竜の呪い……まだ解けておらぬか』

「何だと?」

イグニスの表情が険しくなる。

『呪われし竜よ。お前は再び封じられる運命にある』

「黙れ!」

イグニスが一気に距離を詰めた。

ドンッ!!

拳が黒い鎧に直撃する。

しかし、騎士はびくともしなかった。

「なっ!?」

次の瞬間、黒い騎士の大剣が振り下ろされる。

「イグニス!」

レオンが叫ぶ。

イグニスは横へ飛んだが、衝撃波だけで地面が大きく砕けた。

「こいつ、かなり強いぞ!」

「見れば分かる!」

黒い騎士が六枚の翼を広げた。

そこから黒い羽根が無数に飛び出す。

「全員、伏せろ!」

レオンがヒカルを抱えて地面に転がった。

ゴウエンはというと――。

「おお! 羽根が降ってきたぞ!」

「じいさん、避けろ!」

「わしの頭に刺さるではないか!」

ゴウエンは頭を抱えて走り回った。

一本の黒い羽根が背中に刺さる。

「ぎゃあああ! わしの背中が!」

「大丈夫!?」

ヒカルが駆け寄る。

「うむ……ただし、夕飯は肉多めで頼む」

「そこは関係ないだろ!」

レオンが叫んだ。

そのとき、ヒカルの瞳が淡く輝いた。

「みんな! あの敵、体の中に黒い線がある!」

「黒い線?」

「胸と背中! そこから力が流れている!」

レオンは黒い騎士を観察した。

確かに、鎧の隙間から黒い線が脈打っている。

「なるほど。あの線が力の流れか」

「ならば、そこを断てばいい!」

イグニスが再び飛び出した。

「待て! 正面からでは駄目だ!」

しかし、イグニスは止まらない。

黒い騎士の大剣を腕で受け止め、力任せに押し返す。

「俺は竜だ! この程度で倒れるか!」

「イグニス、右だ!」

レオンの声に反応した瞬間、黒い騎士の翼が横から襲いかかった。

バシィィン!!

イグニスの体が壁に叩きつけられる。

「ぐっ……!」

「イグニス!」

ヒカルが叫んだ。

「よくも仲間を!」

ゴウエンが飛び出す。

「この老体の拳を受けてみよ!」

ドゴンッ!

黒い騎士の膝に拳が命中した。

だが、騎士はゆっくりとゴウエンを見下ろした。

『小さき人間よ』

「小さいとは失礼じゃな! わしは心が十七歳じゃ!」

『……意味が分からぬ』

「わしもじゃ!」

レオンは思わず頭を抱えた。

しかし、ゴウエンの一撃で騎士の膝がわずかに傾いていた。

「じいさん、今のはよかった!」

「そうじゃろう! 褒めるなら金か飯をくれ!」

「後でな!」

レオンは深く息を吸った。

敵の動きを見る。

剣を振る前に肩がわずかに動く。

翼を広げる前には背中の黒い線が光る。

そして、攻撃のたびに胸の結晶へ力が集まっている。

「分かった……!」

レオンは両手を構えた。

「イグニス! もう一度、正面から攻めてくれ!」

「また正面か?」

「今度は俺を信じろ!」

イグニスは口元を上げた。

「いいだろう!」

竜の気配が膨れ上がる。

イグニスが黒い騎士へ突進した。

騎士が大剣を振り下ろす。

その瞬間、レオンが横から飛び込んだ。

太極拳の動きで剣の軌道を受け流し、騎士の腕を外側へ押し出す。

「力を流せば、巨体でも崩れる!」

黒い騎士の体勢が崩れた。

「今だ! 胸の結晶!」

イグニスの拳が、黒い結晶に直撃する。

バキィィン!!

鎧に大きな亀裂が走った。

だが――。

『愚かな……』

黒い騎士の体から、無数の黒い腕が伸びた。

「うわっ! 何だあれ!」

ゴウエンが飛びのく。

黒い腕はイグニスを捕らえ、レオンの足にも絡みついた。

「しまった!」

「レオン!」

ヒカルが叫ぶ。

そのとき、ヒナがレオンの肩から飛び立った。

「ピィィィッ!」

金色の角が強く輝く。

黒い腕が一瞬だけ動きを止めた。

「今だ、ヒカル!」

「うん!」

ヒカルの瞳が光る。

黒い線の中に、一本だけ金色の線が見えた。

「レオン! 左の胸! そこに光る線がある!」

レオンは力を振り絞った。

「そこか!」

一気に体をひねり、黒い腕を振りほどく。

そして、金色の線に向かって拳を放った。

ドォォォン!!

黒い騎士の胸が大きく砕けた。

鎧が崩れ、巨大な体が膝をつく。

『三つの光……そして、竜の呪い……』

騎士の声が弱くなる。

『扉の奥に進むな……あれは、目覚めてはならぬ存在……』

「おい! 待て! それは何だ!」

レオンが尋ねた。

しかし、騎士は答えなかった。

黒い鎧が砂のように崩れ、床へ落ちていく。

ようやく戦いが終わった。

「ふう……助かった」

レオンが息を吐く。

イグニスは腕をさすりながら立ち上がった。

「なかなかやるじゃないか、レオン」

「そっちこそ。無茶しすぎだよ」

「竜だからな」

「竜でも痛いものは痛いだろ!」

その横では、ゴウエンが崩れた鎧をつついていた。

「ふむ……これ、持って帰れんかのう」

「じいさん、何に使うんだよ?」

「鍋じゃ!」

「鍋にするな!」

ヒカルが大笑いした。

そのとき、遺跡の奥にあった巨大な扉が、ひとりでに開き始めた。

ギギギギ……。

扉の向こうには、金色の壁画が描かれていた。

そこには三つの光を持つ者たちと、一匹の巨大な竜が描かれている。

そして、その竜の胸には、イグニスと同じ黒い紋様があった。

「これは……俺の呪いなのか?」

イグニスが胸を押さえる。

レオンの金色の印が熱を帯びた。

ヒカルは壁画の一部を指さした。

「ねえ、あそこ……人がいるよ」

そこには、男女二人の姿が描かれていた。

ヒカルの瞳が大きく揺れる。

「お父さん……お母さん……?」

その瞬間、壁画の奥から声が響いた。

『光の子よ。よくぞ戻った』

一行の目の前で、壁画がゆっくりと光り始めた。

しかし、その光の中に映ったのは、ヒカルの両親だけではなかった。

レオンによく似た男の姿もあった。

「……俺に似ている?」

旅は、さらに大きな謎へと進み始めた。

そしてゴウエンは、真剣な顔で一言。

「ところで……遺跡の中に食堂はないのか?」

「今その話をするなあああ!」

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