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第28話 卵を守る怪鳥!じいさん、命を懸ける!?

「ギャアアアアッ!!」

山頂に響き渡る怪鳥の咆哮。

巨大な赤い目が、レオンたちを睨みつけていた。

「でかっ! 鳥って、こんなに巨大化するものなのか!?」

レオンが叫ぶ。

「知らん! だが、焼き鳥にしたら何人分になるかのう!」

ゴウエンは真剣な顔で怪鳥を見上げた。

「じいさん! 今は料理の心配をする場面じゃない!」

「何を言う! 料理人が食材の可能性を考えるのは当然じゃ!」

「こいつを食材扱いするな!」

その瞬間、怪鳥が巨大な翼を広げた。

「来るぞ!」

イグニスが叫ぶ。

次の瞬間、猛烈な突風が襲いかかった。

「うおおおおっ!?」

ゴウエンの体が宙に浮く。

「わしの昼飯がああああっ!」

「自分の心配をしろ!」

レオンはヒカルを抱き寄せ、太極拳の動きで風の流れを受け流した。

足元の小石が舞い上がる。

レオンは目を細めた。

「なるほど……力任せにぶつかっても駄目か。風の流れを読んで、攻撃をかわす!」

「ほう。少しは分かってきたようじゃな!」

いつの間にか木の枝にしがみついていたゴウエンが、偉そうに頷いた。

「じいさん、いつの間にそこへ!?」

「修行の成果じゃ!」

「絶対に風で飛ばされただけだろ!」

イグニスが炎を吐き出す。

しかし怪鳥は翼を一振りし、炎を吹き散らした。

「何だと!?」

「イグニス、炎だけじゃ押し切れない!」

レオンが叫んだ。

「分かっている! 誰に向かって言っている!」

「いや、さっきから翼で吹き飛ばされてるから!」

「貴様、後で覚えていろ!」

そんな言い争いの中、ヒカルが怪鳥をじっと見つめていた。

「……あれ?」

「どうした、ヒカル?」

「鳥さんの周り、光ってる」

「光ってる?」

レオンには何も見えない。

だが、ヒカルは怪鳥の足元を指差した。

「ここにも、キラキラした線があるよ」

ヒカルの瞳が淡く輝く。

「鳥さん、怒ってるんじゃないよ」

「何だと?」

イグニスが怪鳥を見上げる。

ヒカルは首を傾げた。

「何かを守ってるんだと思う」

その言葉に、レオンの表情が変わった。

怪鳥は何度も攻撃してくる。

だが、その翼は巣のある木々を避けていた。

「そうか……こいつは、巣を守っているのか!」

「つまり、親鳥ということか?」

イグニスが呟く。

「そう考えると、攻撃するのはまずいな……」

レオンが考え込む横で、ゴウエンが手を叩いた。

「よし! 卵を二つほど分けてもらおう!」

「話を聞いていたか、じいさん!」

「親なら、子どもを大切にするじゃろう! わしにも卵を大切にする権利がある!」

「そんな権利はない!」

怪鳥が再び翼を振り上げた。

「ギャアアアッ!!」

「うわっ、また来るぞ!」

レオンたちは散開する。

レオンは風を読み、岩陰へ滑り込んだ。

イグニスは人間の姿のまま跳躍し、鋭い爪のような炎を放つ。

だが、怪鳥は炎をかわすと、イグニスめがけて急降下した。

「イグニス!」

「問題ない!」

イグニスは身を翻して攻撃を避ける。

その直後、怪鳥の爪が地面に突き刺さった。

岩が砕け、土煙が舞い上がる。

「おいおい……あれを食らったら、焼き鳥になる前に俺たちが串刺しだぞ!」

レオンが叫んだ。

「レオン! お前は料理人だろう! 何か考えろ!」

「料理人に戦闘中の献立を要求するな!」

そのとき、ヒカルが叫んだ。

「レオン! 右!」

レオンは反射的に身をひねった。

頭上を怪鳥の翼がかすめる。

「助かった、ヒカル!」

「うん! 光る線が、次に来るところを教えてくれるみたい!」

「それ、ものすごく便利じゃないか……!」

レオンは怪鳥の動きを観察した。

ヒカルが指差す光の線。

怪鳥の動き。

風の流れ。

それらを頭の中でつなぎ合わせる。

「分かったぞ……!」

レオンは地面を蹴った。

怪鳥の突進をぎりぎりでかわし、その勢いを利用して岩の上へ飛び乗る。

「イグニス! こいつを倒すんじゃない! 動きを止めるんだ!」

「どうするつもりだ?」

「翼の風を利用する!」

レオンは周囲の木々を見渡した。

怪鳥が翼を広げた瞬間、レオンは風下へ走る。

イグニスも意図を察し、反対側から炎を放った。

炎は怪鳥に直撃せず、足元の地面を熱する。

驚いた怪鳥が翼を大きく振る。

突風が吹き抜けた。

その風を利用し、レオンは一気に距離を詰めた。

「今だ!」

レオンは怪鳥の足元へ滑り込み、体勢を崩させる。

怪鳥が大きくよろめいた。

「ギャッ!?」

だが、倒れる寸前、怪鳥は翼を広げて体勢を立て直した。

そして――。

「ギャアアアアアッ!!」

怒りの咆哮が山頂に響き渡った。

「しまった! 怒らせただけじゃないか!」

レオンが頭を抱える。

「お前が作戦を立てたんだろうが!」

イグニスが怒鳴った。

「うるさい! こっちだって予定外だ!」

ゴウエンは二人の横で、なぜか拳を握りしめていた。

「素晴らしい! 命を懸けた卵争奪戦じゃ!」

「じいさんは黙ってろ!」

そのときだった。

怪鳥の背後、木々の奥に巨大な巣が見えた。

巣の中には、金色の光を放つ卵があった。

「あれだ……!」

イグニスの目が見開かれる。

「間違いない。俺が昔食べた幻の卵だ!」

「おおおおっ! ついに見つけたぞ!」

ゴウエンが叫ぶ。

「待て! まだ親鳥がいる!」

レオンが止めるより早く、ゴウエンは巣へ走り出した。

「一個だけ! 一個だけでいいからのう!」

「絶対に一個で済まないだろ!」

その瞬間、怪鳥の目がゴウエンを捉えた。

「ギャアアアアアッ!!」

怪鳥が猛然と襲いかかる。

「ぎゃああああっ! 卵はわしのものじゃあああ!」

「その執念を少しは修行に使ええええっ!」

レオンとイグニスが同時に叫んだ。

一方、ヒカルは巣の奥をじっと見つめていた。

金色の卵。

その表面に、見覚えのある光が浮かんでいる。

レオンの手の甲に現れた、あの金色の印と同じ光だった。

「……レオン」

ヒカルが小さく呟く。

「この卵、レオンと同じ光がするよ」

その言葉を、誰も聞いていなかった。

ただ一人、遠くの岩陰に潜む黒衣の人物だけが、静かに笑った。

「やはり反応したか……」

黒衣の人物は、金色の卵を見つめた。

「継承者の印。そして、竜の呪い。すべてがつながり始めた」

その手には、黒い紋様が刻まれていた。

「だが、卵を目覚めさせるわけにはいかない」

黒衣の人物が指を鳴らす。

すると、怪鳥の目が一瞬、紫色に染まった。

「さあ、試させてもらおう。お前たちに、この卵を手にする資格があるのかを」

怪鳥が、先ほどとは比べものにならない咆哮を上げた。

レオンは思わず叫んだ。

「待て待て待て! さっきより絶対に強くなってるだろ!」

ゴウエンは震えながらも、巣を指差した。

「レオン……」

「何だ、じいさん!?」

「卵が手に入ったら、目玉焼きも作れるか?」

「今その話をするなああああっ!!」

山頂に、レオンの絶叫が響き渡った。

そして金色の卵が、誰にも触れられていないのに、ゆっくりと脈打ち始めた――。

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