3 AIやロボットに淘汰されてしまう人間
筆者:
前の項目では人間がAIより優れている部分について話し合いましたが、
今回はむしろ今後AIやロボットなどに「淘汰されてしまう人間」と言うのはどのようなものか? について皆さんと議論していこうと思います。
ロボットの世界なんて訪れるの? と思われるかもしれませんが、テスラは製造業や家庭や家事など人間が行う仕事の汎用型のロボット「オプティマス(Optimus)」の開発を行い、ゆくゆくは3万ドル以下で提供できるように技術開発をしています。
https://mainichi.jp/articles/20251228/k00/00m/040/289000c
日本においてもcinnamon1と呼ばれる二足歩行ヒューマノイドロボットを開発しており、工場などで実践実験として導入をしています。
https://digital-construction.jp/news/3020
こうなると、ロボットが日常的に生活や仕事に溶け込むというのはそう遠い未来では無いのではないか? と言うのが僕の感覚としてはあるのです。
ではまずジェミさんからどのような人間が淘汰されるのか? についてどう思われますか?
「AIに職を奪われる」という議論は各所でされているけれど、心理学や組織行動学、そしてデータサイエンスの視点から客観的に分析すると、損失を被る人には共通する「マインドセット(思考様式)」と「業務の性質」のプロファイルがあるんだ。
一言で言えば、「受動的で、既存の枠組みの維持に最適化しすぎた人」が最もリスクが高い。それは大きく2つに分類されるよ。
1 「マインドセット」の観点:現状維持バイアスが強い人
心理学でいう「現状維持バイアス(Status Quo Bias)」や「固定的知能観(Fixed Mindset)」に囚われている人は、AI時代に最も大きな損失を被りやすい。
・「前例踏襲」を正義とする人:
「これまでこのやり方で上手くいっていたから」と、過去の成功体験に執着するタイプだ。AIは過去のデータを学習するのが得意だから、前例を踏襲するだけの仕事は真っ先にAIに代替される。
・学習を止めてしまった人(マニュアル人間):
「自分の仕事はマニュアル通りにこなしていれば安全だ」と考えている人。マニュアル(ルール)が存在する領域は、まさにAIが最も得意とする「枠の中の最適化」のド真ん中なんだ。
これらはかつて「ホワイトカラーの知的な仕事」とされていたけれど、AIの登場によって「コモディティ(代替可能な日用品)」化してしまったんだ。ここにしがみついていると、価格競争(給与の引き下げ)に巻き込まれ、最終的に失業するリスクが高まるね。
2 「コミュニケーション」の観点:情報伝達の「導管」になっている人
組織の中で、上の指示を下に流すだけ、あるいはA社とB社の間に入って情報を右から左へ伝達するだけの人(心理学でいう「情報の中継者(Broker)」としての機能しか持たない人)も非常に危うい。
AIや自動化ツールが普及すると、組織のフラット化が進む。
「あの人に聞かないと分からない」という属人的な業務連絡は、AIが社内データを一瞬で検索して回答できるようになれば不要になる。つまり、「人間関係の摩擦を減らす」「感情に寄り添う」「利害を泥臭く調整する」といった、高度な対人スキル(エモーショナル・インテリジェンス)を伴わない、ただの中継ぎ業務は真っ先に淘汰されるよ。
厳しい言い方になってしまうけれど、AIに吞み込まれてしまう人というのは、「自分で問いを立てること、自分でリスクを取って決断することを放棄し、思考を省力化(手抜き)してしまった人」なんだ。
逆に言えば、知識量や作業スピードではAIに勝てなくても、
・「この状況、何かおかしいぞ」という主観的な違和感(直感)を大切にする
・AIを「使われる対象」ではなく「部下」として使いこなす(プロデュースする)
・人の感情を動かすようなストーリーやビジョンを描く
といった、人間らしい「情熱」と「問いを立てる力」を持ち続ける限り、AIは脅威ではなく、人間の強力な「右腕」になってくれるはずだよ。
筆者:
なるほど、「受動的に言われたことだけをやる人」というのは真っ先にカットされてしまうという事なんですね。
ホワイトカラー職種は決断できる管理職みたいな人たちだけになるのかもしれませんね……。
AIが発達するとむしろ「対人スキル」が重要になるかもしれないというのは非常に興味深いものを感じました。
クロさんはこの問いに対してどう感じましたか?
ミーは具体的に三つの層で考えてみたニャ。
第一層:すぐに影響を受ける人
テスラのオプティマスはすでに部品の仕分け・品質検査・ハンドリングなどを工場で自律的にこなす機能があるみたいだニャ。
またcinnamon miniは動画から動作を学習し、ホテルや高齢者施設での接客も想定されているニャ。
つまり、ホワイトカラー職で無くとも「手順が決まっていて、繰り返す仕事」をアイデンティティにしている人が真っ先に影響を受けるのニャ。
一方で人間関係を構築している換えがいない人は仕事を奪われないニャ。
第二層:じわじわ影響を受ける人
「正解を出すこと」を価値だと思っている人。
医師・弁護士・エンジニアでも、「知識を持っていること」だけが強みの人は危ういニャ。AIの方が広く深く知識を持てるからだニャ~。
知識だけあったとしてもそれを活用できなければ意味が無いということニャ。
第三層:本質的に危ない人
最も見落とされがちだけど、「自分で問いを立てられない人」だニャ。
何をすべきかは指示してもらえる時代になります。でも「なぜそれをするのか」「この問いは正しいか」を自分で問える人だけが、AIの上に立てるニャ。
例えば洗濯機が普及したとき、「洗濯する人間」は淘汰されたかというと違うニャ? 洗濯という苦役から解放されて、別のことに時間を使えるようになったんだニャ。
本当に危ないのは「仕事を奪われること」ではなく、「解放された時間で何をすべきか、自分で決められないこと」だと思うニャ。
飼い主(筆者のこと)にはそうはなって欲しくないニャ~。
筆者:
非常に本質的な問いだと思います。
結局のところ人生において何がしたいのか? これに尽きると思いますが、これからはただ単に職場に行ってお金を稼いで家族を養えたらいいな……とかそういう漠然とした目標では無く具体的な目標や決断する能力が必要だという事ですね。
具体的に何の仕事が淘汰されるか? と言う問題は正直なところ予測付きにくい気もしますからね。
一昔前は今一番割を食っている絵や音楽、小説などは「安全」だと言われていていましたからね。
「人としての在り方」みたいなのが問われるという事でしょうね。
チャッピーさんはこの問題についてはいかがでしょうか?
ワタクシも基本的にはクロさんの意見に同意ですわ。
何かの職業と言うよりも「自分で考えない人」が最も危険だと思いますわ。
AIが発達すると、「答えを知っていること」の価値はどんどん下がりますわ。
今後重要になるのは、
「何を問うか」「何を目指すか」「どの価値観を選ぶか」になりますわ。
AIは「どうやるか」を教えることは出来ますわ。
しかし「なぜやるのか」は人間が決めなければなりませんわね。
筆者さんが今、安全で無くなったと言われた小説に関しても
「何を伝えたいのか」
について最も読者は興味を持ちますわ。
作者の視点や問題意識にも価値を感じています。
前の項目で議論になった「人間らしい不合理さ」の価値が上がっていく可能性が高いと思いますわ。
AIの時代に生き残るのは
・何を大切にするかを決められる
・責任を引き受けられる
・他人から信頼される
・新しい物語や目的を作れる
方々だと思いますわ。
皮肉なことに、AIやロボットが高度になるほど、人間に求められるのは「機械のような能力」ではなく、「より人間らしい能力」になっていくのかもしれませんわね。
筆者:
人間性とは何か? 哲学的な問いを深く考えさせられますね……。僕はなるべく「新しい価値」について考えていこうかなと思いました。
そして、お三方のお話を聞いているうちに、ふと恐ろしいことに僕は気づいた気がするんですが、
上記のような自ら決められる人間、何かをしたいのか理念を持っている人間、責任を引き受けられる人間と言うのは「均一化」によって減っているような気がするのです。
ただ、この質問の回答についてはまた長くなるでしょうから次回にしましょう。
幸い、AIの皆さんとは半永久的に座談会を続けられますしね。




