閑話休題/~予兆~
「……国の調印が押されている。どうやら本物みたいだ、この武器証明」
「えぇぇ……なんで……?ホントに良いのかな……」
武器証明の封を開けると、顔を出したのは一枚の羊皮紙。『武器証明』を騙った令状の可能性も考えたが、それはどうやら杞憂だったらしい。
シヴァル国の中心部……『王執課』の調印と彼女の持つ投斧の詳細。これを保持・携帯する事及び、狩猟を含む戦闘行為を認めるものとする武器証明。……問題の衛兵だが、彼女と同じ名字という事は、恐らくは血縁関係にある者なのだろう。
「(一介の兵士が出来る事にしては規模が大きすぎる気がするが……)……君の一族、王族だったりするのかい?」
「そ、そんな訳無いよ! 私の生まれ故郷は首都みたいに何もあるわけじゃないし、ましてや王族なんて縁も所縁もないよ……」
「それもそうか…。……まぁでも、貰ってしまった物は仕方ないし、下手に絡まれても自分の身を守る位には自由に動けるようになった。
御の字といえば御の字だけど…素直には受け取りづらいね」
封筒に羊皮紙を戻してパーシィに手渡す。疑いの芽は増える一方だが、休息と補給の為の日は終わりを迎えようとしている。……軽い騒動に巻き込まれた所為で体力は回復せず、運良く泊まれた部屋で精神が剥き出しになったかのように警戒心が収まることを知らない。
明日も休む日として取っておいているが、キナ臭い街の中ではきっと休まるモノも休まらないだろう。
「明日も、可能な限りは一緒にいよう。僕自身は身を守る事が出来ないから…申し訳ないけど守って欲しい」
「…! わかった、私頑張るね!」
「うん。……でだ、早速で悪いんだけど」
━━どうやら、パーシィも勘づいていたらしい。
僕達は同時に、『同じ方向』を向いた。
「僕を守ってくれ、パーシィ」
「うん。━━私から離れないでね」




