第七話「死因」
目が覚めた。
「…………」
また、いつもの天井だ。
車。
階段。
トラック。
アサリ。
何をしても死ぬ。
外に出ても死ぬ。
家にいても死ぬ。
「だったら……もう何もしない」
食べ物も危ない。
外に出るのも危ない。
階段だって危ない。
だったら今日は、部屋から一歩も出なければいい。
俺は美月に電話して、今日も海へ行けなくなったことを伝えた。
そして――。
何もしなかった。
ベッドの上で寝転がる。
スマホを見る。
窓の外を見る。
それだけ。
昼が過ぎた。
夕方になった。
夜になった。
「…………」
何も起きない。
時計を見る。
午後十一時五十九分。
「もしかして……」
俺はスマホを握りしめた。
そして――。
午前零時。
日付が変わった。
「…………」
生きてる。
俺は自分の身体を触る。
間違いない。
「やった……」
思わず声が震えた。
「やった……!」
明日だ。
俺はついに、あの一日を越えたんだ。
「終わった……」
身体から一気に力が抜けた。
今日はもう寝よう。
明日になったら美月たちに謝ろう。
海だって、また行けばいい。
俺は安心して目を閉じた。
そして――。
翌朝。
目を覚ます。
「…………」
スマホを見る。
昨日とは違う日付。
ちゃんと次の日だ。
「夢じゃない……」
本当に抜け出したんだ。
「やったぁぁぁ!」
俺はベッドから飛び起きた。
嬉しくて仕方がない。
もう死ななくていい。
もう同じ一日を繰り返さなくていい。
俺は勢いよく部屋を飛び出した。
「母さーん!」
そのまま階段を駆け下りる。
その時だった。
「あっ」
足を滑らせた。
身体が宙に浮く。
「え――」
そのまま階段から転げ落ちた。
そして俺は――。
死んだ。




