第五話「異常」
目が覚めた。
「……まただよ」
見慣れた天井。
見慣れた部屋。
もう驚きもしない。
というか――。
「もう偶然じゃないだろ……」
車に轢かれた。
階段から落ちた。
大型トラックに轢かれた。
ここまで続けば、さすがに分かる。
何かがおかしい。
でも、原因は分からない。
「とにかく……慎重に海に向かおう」
駅までは行けた。
だったら、前より少し時間をずらせばいい。
一時間。
いや――。
「一時間十分くらいか?」
俺は準備を済ませ、その時間まで部屋で待った。
窓から外を見る。
例の車が通り過ぎていく。
「よし」
荷物を持ち、部屋を出る。
階段はゆっくり。
一段ずつ慎重に下りる。
玄関を開ける。
何も起きない。
自転車に乗る。
駅へ向かう。
何も起きない。
「……大丈夫だ」
駅が見えてきた。
そして駐輪場の前には――。
「あいつらだ」
美月。
陸。
和也。
三人とも俺を待っている。
「おーい!」
俺が手を上げる。
その時だった。
――ここだ!
前と同じタイミング。
大型トラックが来る。
俺はすぐに周囲を確認した。
――プップーーーー!!
来た。
大型トラックだ。
でも――。
「え……?」
違う。
俺じゃない。
トラックが向かっているのは――美月たちだ。
「美月!」
トラックはそのまま三人の方へ突っ込んでいく。
その瞬間。
トラックを避けようとした一台の車が、大きくハンドルを切った。
そして、その車が向かってきた先には――。
俺がいた。
「は?」
避ける暇なんてなかった。
――ドンッ!!
強烈な衝撃。
視界が回る。
そして俺は――。
死んだ。




