第四話「偶然」
また、目が覚めた。
「…………」
見慣れた天井。
見慣れた部屋。
見慣れた景色。
「もういいよ!」
何回この天井を見ればいいんだ。
車に轢かれて死んだ。
もう一度、車に轢かれて死んだ。
今度は車を避けたのに、階段から落ちて死んだ。
でも――。
「ただの偶然だろ……」
車の時間はもう分かっている。
階段だって、俺が焦って走ったから足を滑らせただけだ。
だったら今度は、全部避ければいい。
俺は海へ行く準備を済ませると、部屋でじっと待った。
そして一時間後。
窓から外を確認する。
例の車が家の前を通り過ぎていった。
「よし」
まず一つ。
俺は荷物を持って部屋を出る。
階段の前で一度立ち止まった。
「ゆっくり……ゆっくり……」
一段。
また一段。
手すりもしっかり掴む。
最後の一段を下りきる。
「よし……!」
次は玄関だ。
靴を履く。
ゆっくりドアを開ける。
外を見る。
何もない。
車も来ない。
「大丈夫だ」
俺は外へ出た。
何も起きない。
自転車に乗る。
何も起きない。
そのまま駅へ向かう。
何も起きない。
「やっぱり……」
ただの偶然だったんじゃないか?
多分そうだ。
そうに違いない。
俺はただ、運が悪かっただけなんだ。
駅が見えてきた。
その近くにある駐輪場。
その前に――。
「あっ!」
美月。
陸。
和也。
三人ともいる。
俺を待ってくれていた。
「おーい!」
俺は嬉しくなって、片手を上げた。
その瞬間だった。
――プップーーーー!!
「え?」
横を見る。
大型トラックが、
俺に向かって突っ込んできていた。
「また――」
――ドンッ!!
そして俺は、
死んだ。




