第二話「目覚め」
目が覚めた。
「…………」
見慣れた天井。
見慣れた部屋。
いつもの俺の部屋だ。
「……何が起きた?」
確か俺は、海へ行こうとして家を出て――。
車に轢かれた。
身体に走った強烈な衝撃。
遠くから聞こえてきた叫び声。
そして、少しずつ暗くなっていく視界。
あまりにも鮮明に覚えている。
俺はゆっくりと身体を起こした。
腕を見る。
足を見る。
どこにも怪我はない。
痛みもない。
「……夢か?」
そう考えるのが一番自然だ。
というか、それ以外に考えられない。
「嫌な夢だな……交通事故で死ぬだなんて」
せっかくの夏休み初日だっていうのに、縁起でもない。
……まあ、そんなことはどうでもいい。
なぜなら――。
「今日から夏休みだ!」
俺はベッドから飛び起きた。
宿題?
そんなものは後回しだ!
夏休みは始まったばかり。
今日は美月たちと海へ行って、ぱーっと遊ぶんだ!
俺はさっさと着替えを済ませ、海へ行く準備をする。
財布。
スマホ。
タオル。
必要なものを鞄に詰め込んで、部屋を出た。
そのまま階段を駆け下りる。
靴を履いて、玄関のドアを開けた。
外は快晴。
昨日の夢と同じ――最高の海日和だ。
「行ってきまーす!」
勢いよく家を飛び出す。
その瞬間。
――プップーーーー!!
「……え?」
聞き覚えのある音。
反射的に横を向いた。
車が、
俺に向かって突っ込んできていた。
「嘘だろ……」
昨日の夢と、
同じ――。
いや。
もしかして。
正夢――?
そんなことを考える暇もなかった。
――ドンッ!!
再び身体に強烈な衝撃が走る。
そして俺は――
また、死んだ。




