第一話「昨日」
俺の名前は、朝倉湊。
ごく普通の高校二年生、十七歳だ。
誕生日は十月。
好きな食べ物はアサリ。
……まあ、そんな俺のどうでもいいプロフィールは置いておこう。
なぜなら今日から――。
「夏休みだぁぁぁ!」
待ちに待った夏休み。
勉強から解放され、朝から晩まで好きなことができる。
そして夏休み初日の今日。
俺は友達と海へ遊びに行くことになっていた。
せっかくだし、ここで今日一緒に遊ぶ友達を紹介しておこう。
まずは、白石美月。
俺の幼馴染で、小さい頃からずっと一緒にいる女の子だ。
次に、高橋陸。
とにかく明るくてノリがいい。
こいつがいるだけで、大体のことは楽しくなる。
そして、佐伯和也。
一見するとクールで少し近寄りがたいが、意外と優しい。
この三人とは高校に入ってからもよく一緒に遊んでいる。
今日は駅で待ち合わせだ。
俺は海へ行くための荷物を持ち、玄関へ向かった。
靴を履いて、ドアを開ける。
外は快晴。
まさに海日和だった。
最高の夏休み初日になりそうだ。
「行ってきまーす!」
家の中へ向かって声を上げ、俺は玄関から飛び出した。
その直後だった。
――プップーーーー!!
「え?」
横を向く。
目の前には、車。
避ける暇なんてなかった。
――ドンッ!!
身体に強烈な衝撃が走った。
視界が激しく回転する。
痛い。
……いや。
もう、痛いのかどうかすら分からない。
遠くから誰かの叫び声が聞こえる。
だけど、その声も少しずつ遠くなっていった。
視界が暗くなる。
意識が消えていく。
こうして俺――朝倉湊は、
夏休み初日。
家を出て数秒で、
死んだ。




