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第31話 地図にない道

ここから少しずつ、“管理された世界の外側”が見え始めます。

「開いてる」

アリアは迷いなく言った。



目の前にあるのは、古びた扉だった。

小屋、と呼ぶには小さすぎる。

倉庫、と呼ぶには場所が悪すぎる。



ノヴァリスとリベルタスの境。

どちらの地図にも、何も描かれていない場所。



そこに、ぽつんとあった。

「……本当に入るの?」

エイルがレインの袖を掴む。



「追われてるのよ。選んでる場合?」

アリアはそう返すと、扉に手をかけた。



きぃ、と音が鳴る。

その音が、妙に軽かった。

レインは眉をひそめる。



古い扉のはずなのに。

朽ちているはずなのに。

まるで、ずっと誰かに使われていたみたいだった。



「早く」

アリアが中へ滑り込む。



シオンが続き、エイルが不安そうにレインを見た。

「レイン」



「……うん」

レインも中へ入る。



最後に扉が閉まる。

暗い。

だが、完全な暗闇ではなかった。

床の奥に、細い隙間がある。



そこから、下へ続く階段が見えた。

「地下……?」

レインは思わず呟く。



シオンが小さく笑った。

「地図にない地下道。いいねぇ」



アリアは階段を見下ろしたまま、少しだけ笑う。

「でも、行くしかないでしょ」



誰も反論しなかった。

階段を降りる。



湿った空気が肌に触れる。

けれど、匂いがない。



土の匂いも。

黴の匂いも。

何もない。

(……ここ、本当に地下か?)

レインは壁に触れた。

冷たい石。



でも、感触がどこか薄い。

「レイン」

エイルが袖を引く。

「ここ、変」

「……うん」



言葉にすると軽くなるのに、違和感は消えない。

地下道は長かった。



一本道の地下を進む。

足音が響く。



「外に出たな」

長い地下道を抜けた先。

シオンは地上を見渡した。



レインは少し先を見る。

「……関所だな」

「どうすれば中に入れるか」



一拍。

視線の先。 石の門。 数人の兵。

「こら、待て!」

「通行証を出せ!」



一人の男が止められている。

兵に囲まれ、強く腕を掴まれていた。

「持ってねぇって言ってんだろ!」



必要以上に声が大きい。

レインはわずかに眉をひそめる。

(……?)

「いいから出せ!」



シオンは疲れたように言った。

「今行くのは危ないな」

「捕まるのもダルいし」

「通行証くらい用意しとくべきだった」



「普通の地下道じゃない」

レインが感じる違和感は、 この世界そのものの“ズレ”にも繋がっていきます。

そして、ついにリベルタス側の入口へ。

この物語は、結末から逆算して構造を組んでいます。

後半になるほど、第一章〜第三章の意味が繋がっていきます。

次回も読んで頂けると嬉しいです。

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少しずつ、三カ国の全貌が見え始める。 『笑い』『選別』『価値』が交差する異世界ファンタジー。 (※執筆・画像すべてスマホ1台で制作しています)
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