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第4話「笑う女の子」

森の中で、レインは“ある違い”に気づき始めます。

同じ「笑い」に見えて、何かが違う。

森の中。

ミレアは空を見上げた。

「ツバメだ」

黒い鳥が、低く飛んでいく。

ミレアはすぐに立ち上がった。

「待ってぇ」



本気で捕まえられると思っているらしい。



もう歩き出している。

レインは地面に座り込んだまま、ノートを書いていた。

「追うのか」

顔も上げずに言う。

「じゃあ、いってらっしゃい」



ミレアが振り返った。

「いっしょに行くの」

そう言って、レインの手をぐいっと引っ張る。

レインは眉をひそめた。

「……随分大胆だな」



ツバメは森の奥へ飛んでいく。

二人はその後を追った。

しばらく進むと、ミレアが立ち止まる。

「ここ見て」



木の枝の間。

小さな巣があった。

その中で、ヒナが口を大きく開けている。

「ピーピー」

ミレアはしゃがみ込んだ。

「赤ちゃん」

 


レインも近づく。

ヒナは口を開けたまま、空を見ている。

「なぜ開けている」

レインは呟いた。



そのとき。

ツバメが戻ってきた。

口に小さな虫をくわえている。



ミレアが小声で言う。

「ほら」

ツバメは巣に止まり、ヒナの口にエサを分け与えていた。



ヒナはすぐに飲み込む。

レインはノートを取り出した。

『ツバメ

エサ運ぶ

ヒナ口開く

反応』



ミレアは嬉しそうに見ている。

「すごいよね」

「お母さんは口の中で噛み砕いて、エサを食べさせてあげるの」

「あっあっちには玉虫だ、キレイ待ってぇ」



ミレアは昆虫を追って、森の奥へ走っていった。

レインは足を止めて、ツバメをゆっくり観察していた。



レインは少し考えた。

ノートに書き込む。

『親

エサ

子供』

「なんとも仲睦まじい光景だな」

そのときだった。



森の奥から声が聞こえた。

「あはははっ!」

レインのペンが止まる。

顔を上げた。

(……?)



「何奴?」

「どこにいるんだ?」

 


また聞こえる。

「あはははっ!」

レインは立ち上がった。

(違う)

(クスクスじゃない)



木の向こうで、銀色の髪が揺れた。

カイが必死に走っている。

「来るなああ!!」

 


その後ろを、誰かが追いかけている。

「ほら!かわいいよ!」

手には小さな虫。

カイは全力で逃げていた。

「近づけるな!!」 



レインは静かに呟く。

「凄い速さだ!!」

「……人間は、あんな速度で走れるのか」

そしてノートを開いた。

『人間

逃走

速い』



カイは走りながら、その様子を見た。

「あんた観察してないで助けろよ!!」



その少し離れた場所で。

赤い髪の少女が笑っていた。



お腹を抱えて。

「あはははっ!」

涙を拭きながら、まだ笑っている。

「あはははっ!すごい逃げてる!」



森の静かな空気に、笑い声が広がる。

レインは動きを止めた。

胸の奥が、少しざわつく。

(なんだ)

(その笑い方は)

サリアはまだ笑っている。

「あはははっ!」



レインは、はっとした。

(……違う)

(それは)

(クスクスじゃない)

レインは小さく呟いた。

「……それが」

少し考える。

そして言った。

「本当の笑い?」



そのとき。

赤い髪の少女がこちらに気づいた。

笑いながら近づいてくる。

「君たち、何してるの?」


ここまで読んでくれてありがとう。

今回の話で、レインが感じた「クスクス」と「あはは」の違い。


これが、この物語の中でかなり大事になってきます。

そして新しく登場した赤い髪の少女。

彼女は“自然に笑う側の人間”です。


次回、レインはその笑いをどう捉えるのか。

少しずつ、「娯楽」に近づいていきます。

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少しずつ、三カ国の全貌が見え始める。 『笑い』『選別』『価値』が交差する異世界ファンタジー。 (※執筆・画像すべてスマホ1台で制作しています)
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