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転生したら推しが魔王様になってた件~①三千年の時を超えて会いに行きます!  作者: 銀文鳥


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第八章(2):勇者、推し活、解禁!


「『推し』っていうのはね!」


私は、立ち上がって、力の限り、全身全霊で、愛を込めて、力説したんだ。


「『推し』っていうのはね! 私が、心から尊敬して、大好きで、応援して、彼のためならなんだってできて、その存在全てに、全ての情熱を捧げている……そういう、私にとって、世界で一番大切な存在のことだよ!」



そして、さらに!



「ルシアン様はね、私の元の世界では、ゲームとか漫画とか、物語の中に登場する、私にとって、文字通り、世界で一番『尊い』存在だったんだ!」





「ゲーム……マンガ……物語……? トウトイ……?」





アルドロンさんが、眉間に深い皺を寄せ、まるで解読不能な古代文字を見ているかのように、難しい顔で呟いている。


彼の賢者の頭脳でも、私の言葉は理解不能らしい。

まあ、無理もないか……。

この世界にはない概念だもんね……。



カスパール君は、完全に呆れたような、そして私を軽蔑するような表情で、私を見つめている。


「はぁ? なんだそりゃ。いい加減にしろよ。馬鹿馬鹿しい。あんた、本当に五光の勇者、セラフィナなのか? 頭がおかしくなったとしか思えねぇぞ。」


彼は、さらに私から距離を取ろうとしている。まるで、私が伝染病にでもかかったかのように。



「おかしくなんてなってない! 本当なんだってば! 私、ルシアン様が大好きで、ルシアン様の活躍を全部追っかけてて、ルシアン様のグッズもいっぱい集めてたんだ! ルシアン様のことなら、三日三晩、いや、一週間でも、一ヶ月でも語れる自信があるよ!」


私は、自分がどれほどルシアン様を愛しているか、前世でどれほど彼に情熱を捧げていたかを、ありったけの熱意を込めて訴えた。


そして、証拠を見せるために、お守り袋の中に入っている、ルシアン様のアクスタを取り出して、みんなに見せた。



「見て! これが、ルシアン様のグッズだよ。」



アルドロンさんが、私の手に握られたアクスタを見て、「セラフィナ、見てもいいかね? 興味深い。」と、賢者らしい真剣なまなざしで尋ねた。



「どうぞ。あ、でも、大切に扱ってくださいね! 世界に一つしかない、ルシアン様のアクスタですから!」


私が、ルシアン様のアクスタをアルドロンさんに渡すと、彼は、まるで未知の魔導具を分析するかのように、真剣なまなざしで観察し始めた。


ローゼリアちゃんもカスパール君も、アルドロンさんの横から、興味津々といった様子で覗き込んでいる。



「まあ……! これって……ルシアン様……そのものではないですか……?」



ローゼリアちゃんが、アクスタを見て、ビックリしたように声をあげた。

ルシアン様そのものの姿が、こんな小さな板状になっているのが信じられない、という様子だ。



「まじかよ……ルシアン様の……ミニチュアじゃないかよ……。どうなってんだ、これ……」


カスパール君も、その目を見開き、驚きを隠せない様子だった。彼の紫色の瞳に、好奇心が宿っている。



「そうなの!そうなんだよ! このルシアン様のアクスタはね、世界に一つしかない、オリジナルなんだ!見て!このルシアン様のポーズ!最高に素敵なの!あ、もちろん、いつも素敵なんだけど、特にこのポーズは、彼の優雅さと強さを兼ね備えていて……」



私は、もう止まらない!


必死に、ありったけの「推し愛」を込めて、ルシアン様のアクスタの素晴らしさを、そして私のルシアン様への、揺るぎない愛を! 情熱を! 力説した。



三人は、私のあまりにも熱い、そして、この世界の常識からは完全に理解不能な告白と、アクスタへの熱弁に、ただただ呆然としていた。彼らの顔には、驚きと困惑が入り混じっている。





そして、ゆっくりと……その表情が、理解しようとするものに変わっていった。



アルドロンさんは、アクスタを私に返しながら、深淵なる瞳で私を見た。

「……なるほど。つまり、セラフィナは……遠い異世界……君の言う『ニホン』という場所から、我々の世界に、聖剣の使い手セラフィナとして転生し、そして……魔法使いの王、ルシアンを……君の元の世界で言うところの、『オシ』として……熱狂的に敬愛している……ということか……?」


彼は、賢者らしく、私の言葉を頭の中で整理し、一つ一つ確認するように呟きました。賢者の頭脳、すごい! だいたい合ってる!



ローゼリアちゃんは、困惑しつつも、私の目に宿るルシアン様への真剣な思いに、偽りがないことを感じ取ったよう。


そして、いつもの、太陽みたいな優しい笑顔で、ふわりと微笑んだ。

「うん……! よく分からない言葉だけど……セラフィナちゃんは、ルシアン様のことが、すごくすごく大好きなんだね! セラフィナちゃんにとって、ルシアン様は、かけがえのない、大切な存在なんだね!」


ローゼリアちゃん!

ローゼリアちゃんは、本当に天使!

私の言葉を、心で理解してくれたんだ……!



カスパール君は、相変わらず呆れた表情。

「フン……勝手にしろよ。どうでもいい。そんな馬鹿馬鹿しい話、俺には関係ねぇ。ただし、俺たちの旅の邪魔だけはするなよ、馬鹿。」


彼は、相変わらず私から距離を取ってはいるけど、彼の紫色の瞳の奥には、私の目に宿るルシアン様への真剣な思い、そして、私と同じようにルシアン様を特別に思っている彼にとって、私の「オシ」発言は、少しだけ……面白かったのかもしれない。


彼の口元に、微かに笑みが浮かんでいるのが見えた。


ツンデレめ!





かくして、私の「推し」告白は、勇者仲間たちに、呆れられながらも、困惑されながらも、それぞれの形で、受け入れられた。



そして、この日から!


私は、ルシアン様への「推し愛」を、彼らに全く隠さなくなったんだ!



私は、この世界にセラフィナとして転生し、あの頃、直接ルシアン様にお会いできるようになってから、その神々しいお姿を脳内に焼き付けていた。


そして、三千年の時を経て、私は、ルシアン様のお姿をスケッチとして具現化することに成功したんだ!





旅の休憩時間。


私はそのルシアン様スケッチを見たり、描いたりしては、再び脳内推し活モード全開!


「ルシアン様、今日も最高に尊い……!」


「ルシアン様が剣を振るう姿、マジかっこいい……!」


「ルシアン様の髪の靡き方まで完璧すぎて泣ける……!」


仲間からルシアン様のお話を聞けば、


「ルシアン様の新しい情報来たー! 神エピソードキター!」と叫び、何かにつけて、ルシアン様への愛を、情熱を、叫びまくる私。


それは、私の、セラフィナとしての、そして前世からの「推し活」の日々。



アルドロンさんは、たまに「セラフィナ、少し静かにしてくれないか。思考が妨げられる」と注意するけれど、その声はどこか優しく、最早諦めているのが分かる。



ローゼリアちゃんは、私の推し活に、微笑ましく付き合ってくれる。

私の推し語りを聞いて、「へぇ、ルシアン様って、そんな一面もあったのね。素敵ね!」なんて相槌を打ってくれたりする。

ローゼリアちゃん、マジ天使!



カスパール君は、「うるせぇ! 馬鹿! 耳元でギャーギャー騒ぐな!」と文句を言いながらも、私の推し語りを、完全に無視するわけではない。

むしろ、時々「ルシアン様がそんなことするわけねぇだろ」とか「そのスケッチ、ちょっと見せろ」とか、反応してくることもある。

彼も、私と同じようにルシアン様を特別に思っているから、私の推し活が、全く無関心ではないみたいだ。


ツンデレめ!





そして、毎晩のルシアン様礼拝も欠かさない。


驚くことに、私がルシアン様の推し活を告白してから、ルシアン様のアクスタに皆で礼拝するようになったんだ。


ルシアン様のお姿そのもののアクスタが、三人とっては、ルシアン様が遺してくれた宝珠と同じくらい、奇跡みたいなものだったらしい。



私が毎晩、アクスタの前で熱心にお祈りしていたら、はじめは優しいローゼリアちゃんが「私も一緒に……」って、一緒にしてくれて。


それから、アルドロンさんも「まあ……ルシアン殿の無事を祈るのは良いことだろう」なんて言いながら、渋々、だけど真剣な顔で加わってくれて。



そして、あのカスパール君まで……「面倒くさい……」とか言いながらも、実は、アクスタの前で「ルシアン様……一体どこにいらっしゃるんですか……」なんて小声で語りかけているのを聞いちゃったんだ!



私たちの新たな旅は、この日から、「ルシアン様が遺してくれた宝珠に導かれる旅」であり、「ルシアン様を探す旅」であると同時に、「五光の勇者、セラフィナのルシアン様推し活旅」となったんだ!

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