表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
29/63

第八章(1):異世界からの告白


ローゼリアちゃんの宝珠が覚醒し、カスパール君(拗らせてる)も渋々ながら私たちの仲間となった今、いよいよルシアン様の元へと向かう四人での本格的な旅が始まる。


しかし、私は胸の奥で、大きな秘密を抱えていた。


私だけが、皆とは違う。

その秘密を抱えたままでは、本当の意味で彼らと心を一つにできない。そう感じていた。


特に、ルシアン様が「絆の試練」を仕掛けてまで、私たち四人の絆を試したことを知った今、この秘密を打ち明けるべき時だと確信していた。


そして、カスパール君が過去に囚われ、人間に不信感を抱いているのを見るにつけ、私が「勇者セラフィナ」として完璧でいようとすること自体が、彼と同じように心を閉ざしていることなのではないか、という葛藤が生まれていたのだ。




旅の準備が整い、いよいよ出発しようとする直前。

私は、アルドロンさん、ローゼリアちゃん、カスパール君の三人を前に、少し……いや、かなり緊張しながら、切り出した。




「あのさ……皆に、言っておかなきゃいけない、すごく大事なことがあるんだ。」



「なんだ、セラフィナ。急に改まって」

アルドロンさんが、不思議そうに私を見ている。

彼の表情は、賢者らしく、真意を探ろうとしているかのようだ。


ローゼリアちゃんも、心配そうな顔で首を傾げている。

「どうしたの、セラフィナちゃん? なにか、私たちに言いにくいことでもあるの……? それとも、旅について何か心配なことでもあるの?」


カスパール君は、相変わらずひねくれた表情。

「フン……今更、一体なんだってんだ。面倒なことじゃねぇだろうな。早く出発したいんだが。」

彼の言葉には、旅への焦燥と、少しの苛立ちが滲んでいる。



私は、ゴクリと唾を飲み込み、深呼吸した。よし、言うぞ! 覚悟を決めるんだ、私!





「あのね……実は……私、みんなと違って、この世界の人じゃないんだ。」





「……は?」





三人が、まるで示し合わせたかのように、同時に間の抜けた声を上げた。


その声は、驚きと、そして「何を言ってるんだ?」という困惑に満ちている。



「えっとね……私の元の世界は、日本っていう国なんだ。そこで、私は佐倉花っていう、ごく普通の日本の女子高生だったんだ。」



「……ニホンノ……ジョシコウセイ……?」

アルドロンさんが、完全に理解不能といった顔で呟く。

彼の賢者の頭脳が、私の言葉を処理しきれていないのが分かる。


ローゼリアちゃんは、海のような青い瞳を、最大限に丸くしている。

「ニホン……? ジョシコウセイ……? セラフィナちゃん……何を言っているの……? 」

彼女の声は、不安げに震えている。


カスパール君は、私の言葉を聞いて、明らかに私を馬鹿にしたような、そして軽蔑するような表情を浮かべた。

「はぁ? なんだそりゃ。馬鹿馬鹿しいにも程があるぞ。あんた、頭でも打ったか? それとも、長い時が流れて、前世の記憶が混乱でもしてんのか?」


彼は、私から、物理的に一歩距離を取ろうとしている。信じられないものを見る目だ。



「違う違う! 違うんだってば! 頭なんて打ってないし、記憶も混乱してない! 私、本当に、元の世界から、この異世界に、セラフィナとして転生したんだ!」



私は、必死に、身振り手振りを交えて説明する。


異世界転生について、私が知っている、あのオタク知識をフル活用して。


元の世界のこと。

日本のこと。


そして……!


そして……一番重要なこと。

私の人生の、そしてこの物語の、核となる事実。



「それでね……私の元の世界で、ルシアン様はね……」



私は、ここを言うのが、少し……いや、かなり照れくさかったけれど、心に溢れる、抑えきれない情熱を込めて告白した。





「ルシアン様はね……私が、全ての情熱を、魂を捧げていた……私の、『推し』だったんだ!」





「……オシ……?」





再び、三人が、今度は完全に理解不能な言葉を聞いたかのように、フリーズした。


沈黙。


そして、彼らの顔には、疑問符が浮かんでいるのが見える。



「お、お、オシって……なに?セラフィナちゃん……? 食べ物……? それとも……呪文……?」

ローゼリアちゃんが、恐る恐る、本当に恐る恐る、尋ねてきた。

ローゼリアちゃん、可愛い!

本当に天使!

でも、推しは食べ物じゃないよ!

呪文でもない!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ