第8話 THE 8TH UNIT INDUCTION CEREMONY
秀空と話し込んでしまったのか、開場まで5分ほど遅れて私が尼花支部の講堂に到着した時には既に半分の席が埋まっていた。
講堂とは異能の訓練や測定を行う場所であり、前世という体育館みたいなところである。
そして、2階から私たちは入隊式を受けることになる。
座席に指定はないので最前列に座ろうと最後列に座ろうが真ん中に座ろうが端に座ろうがそれは自由である。
ちなみに私が前世の頃の小中高の入学式の時は入学式前にクラス分けを発表してクラス別に並ばされていたが、この学校はクラスのIDカードが交付される時にクラスが分かる仕組みになっている。
そのため、クラス別に自然に分かれるということもない。
だけど、新入生の分布に、私はある規則性に気付いたのだった。
前方はAグループで、いきなり即戦力で前線に立つことが許されている新入生である。
後方はBグループで、今戦いが起きた場合は補欠扱いになるが、今後の努力次第ではすれすれのAグループの人と入れ替わることが出来る新入生である。
同じ新入生で、共に今日から同じ釜の飯を食う仲間にも関わらず、異様な空気が張り詰めている。
(つまり最も、競争意識を持っているのは、下のものか・・・私もあの人たちの追い上げには気を付けないと・・・)
私は心の底から肝に銘じながら、前方の空席に適当に座った。
私は壁の時計に目を向けて、あと20分であることを確認した。
私は何もすることが無くなったため、クッションの効いていない固い椅子に深く座り直して目を閉じて、そのまま意識を睡魔に委ねていた。
私は、某二刀流メジャーリーガーのように隙あらば睡眠を取るタイプではないが、前世で仕事が長場になった日は基本的に朝まで爆睡する生活を送っていた。
「あと5分ほどで入隊式が始まります。新隊員の皆さんはご準備のほどよろしくお願いいたします。」
私はその声を聞いて、目を覚ました。
そして、笑い声もいよいよ会場の空気は消えていた。
「ただいまより、2018年度日本異能軍関西方面軍第八部隊の入隊式を始めたと思います。まず初めに新隊員答辞でございます、その総代には風本空音さんに答辞を行わせいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。」
そう言って、答辞に上がったのは、朝、店で見かけた少女であった。
「(この子、緊張していないのかな・・・)」
私は7歳に答辞を行わせることはどうかしていると思っていた。
私は新人の頃に新入社員の頃に入社式の答辞を執り行ったことがあるが、常に緊張していたため、私は答辞に関してはかなり念入りに行っていた。
なので、あの子はこんな本番で大丈夫なのかと心配になってと思った。
もっとも、風本一族は位の高い一族なので、教養をされているとは思っていて、そして、彼女の柔らかい口調によってその悩みは一瞬で杞憂に終わったのだった。
「穏やかな日差しが注ぎ、鮮やかな桜の花びらが舞う、この麗らかな春。この第八部隊に入隊できたことは誠に光栄に存じます。私は新隊員を代表して、第八部隊の一員としての誇りを持ち、みんなが等しく成長し合い一丸になって危険が発生したら団結をして異能以外にも力を入れ、総合的に高い部隊になるように目指しましょう。」
この世界においてはかなり際どいフレーズを使っていたが、かといって棘が一切ない絶妙な答辞だった。
会場からは拍手が巻き起こった。
おそらく、彼女の心辺は、明日から、さぞかし賑やかになる。
そして、その後は国家や第八部隊の答辞や電報が怒涛の50連発続いていた。
かなり、そして1時間後ようやく、電報ラッシュが終わって、私は疲労感が半端なく感じていた。
そして、ようやく私は会場の外を出ることが出来た。
「・・・私は、どれだけ缶詰状態だったのかな・・・さて、IDカードでも取りに行かないと・・・」
私は、IDカードの交付会場へ向かった。
To be continued.




