第二話 少女の嘆きは豪雨に消され
にしても「好きにしろ」か⋯⋯私にとって一番残酷な言葉だ、これが命令ということは承知している、選択肢もある、でもその後の道しるべは立てられていない、それに他人ではなく自分のことだ、じいさんは私にもっと自主的であって欲しかったのかもしれない⋯⋯でも無茶を言うな、わかったと言ったものの、私は忌み嫌われる存在だぞ。
これが託される高揚と過度の思考による低迷か。
夜が明けるまで思考を巡らせた。
朝がやってくると共に空は灰色へと変色した。
外の景色がぼやけるほどの激しい雨だ、外出は避けたい、私の鎧は水に濡れると痛みやすい......この際何をすればいいのか余計にわからなくなる。
コンコンコン
その時、ドアを叩く音がした。
「だ、誰かいますかー?」
こんな豪雨になぜ人が?
私は一階まで降り、ドアを開けた。
……そこには雨に濡れ、茶色いポンチョを着た黒髪と緑眼の少女がいた。
「大丈夫ですか?お嬢さん」
「す、すみません、少し雨宿りしていってもいいですか?」
息が荒い、かなり疲弊しているようだ。
「ええ、問題ありませんよ、風邪を引く前にどうぞ中へ」
「あぁりがとうございます!」
少女の手は震えていた、私は余り感じないがこの時期になると夜も寒くなってくる。
「こちらへ」
私は階段の横を通り過ぎ、奥の居間へ案内した。
「今暖炉に火を付けますので椅子におかけになって少々お待ちください」
机の上からじいさんが工作気分で作った「火吹機」を手に取り、魔力が押し出され、空気と摩擦して木材に点火した。
タンスからタオルを取り出し、少女に渡す。
「ありがとうございます、何から何まで」
「いえいえ……ところでお名前を伺っても?私はロウディアンと申します」
「ケ、ケヴェリア・モンタートです」
「いい名前ですね」
「はい、父が付けてくれました……」
彼女の声はかすかに悲しみを帯びていた、やはりおかしい。
「こんな激しい雨の中一人で……何かあったのですか?」
「……何もありません。少し雨も弱くなってきましたね、本当にありがとうございました。ではこれで」
弱く?強くなる一方ではないか、もっとマシな口実をしてくれ!
ケヴェリアが早足で家から出て行こうとしたところ私は彼女の腕を掴んだ。
「離してください!」
私の手を勢いよく振り払おうとした。
「離しません」
「じゃないとあなたまで巻き込んでしまいます!罪魔からの魔力追跡が!」
涙はケヴェリアの顔に滴る。
罪魔?なぜ?
「とりあえずこの雨では強まる気配しかしません、家に泊まってください」
「ですから魔力追跡が!」
「ここは魔力濃度が高い森です、追跡は非常に困難、加えて雨の中、あなたの痕跡はほぼ残りません、ですからひとまずは休んでください。それとも何か行く場所でもありますか?」
「あ……りません」
「そのようでしたら尚更見過ごせません」
ケヴェリアは少し安堵した表情を私に向け、次第にそれは込み上がる絶望感を表にした。
「うぅ……うああああああぁ!!」
彼女は残った多くない体力で嘆き、泣き崩れた。
「ケ、ケヴェリアさん!!」
「あいつが…あいつが……あいつが!!お…父さんを殺した」
「え?」
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
ケヴェリアとの出会い、そして雨と混ざる彼女の涙。
次回も読んでいただけると嬉しいです。




