婚約破棄は罠、恋心は本物
王太子の執務室を出たあと、ルークたちは人通りの少ない回廊へ移動した。
アルベルトは壁に背を預け、ふうっと大きく息を吐く。
「12%か……」
ルークは隣に立ち、まだ浮かない顔をしている父を見上げた。
「王宮で味方が減ってるって話、まだ気にしてるの?」
「気にするだろ。俺は何もしてないのに、もう12%だぞ」
「何もしてないわけじゃないよ。王太子殿下に意見したでしょ」
「兄上に、少し思ったことを言っただけだ」
「父さんは少しのつもりでも、聞いた方はきっと腹が立ったんだよ」
ライオネルが、隣で静かに頷いた。
アルベルトはすぐにそちらを向く。
「お前まで頷くな」
「殿下には、以前から申し上げています。正しいことを言っていても、相手を責めるような言い方をすれば反感を買う、と」
「でも、言ったことは正しいんだろ?」
ライオネルは額に手を当てた。
「そのように、正しいのだから相手も受け入れるべきだとお考えになるところが問題なのです」
「間違ったことを言えと?」
「違います。相手が受け入れやすい言い方をしてください、と申し上げています!」
最後の一言だけ、少し声が大きくなった。
ルークは口元を押さえた。笑いかけたものの、すぐに手を下ろして二人の間へ入る。
「それより、エレノアさんのことだよ」
「ああ」
アルベルトも壁から背を離し、表情を引き締めた。
「あの様子だと、何か知っていたな」
「婚約破棄されること?」
「おそらくな。前もって知っていたのか、それとも自分でそうなるように仕向けたのか」
「自分から婚約を壊そうとしてるってこと?」
「その可能性もある」
「でも、何のために?」
「それを本人に聞く」
アルベルトが歩き出したため、ルークは慌てて横に並んだ。
「エレノアさんのところへ行くの?」
「そうだ」
「会ったら、いきなり『婚約を壊そうとしてるのか』って聞くつもり?」
「駄目か?」
「駄目だよ。疑ってるって、そのまま言うようなものじゃない」
アルベルトは足を止め、困ったように腕を組んだ。
「じゃあ、どうする?」
ルークは少し考えてから答えた。
「先に、リナさんへの嫌がらせを調べよう。何があったのか分かれば、エレノアさんにも聞きやすくなると思う」
ライオネルが頷く。
「まず事実を確かめるのがよいでしょう」
「俺の提案より、息子の提案の方が評価されてないか?」
「今のお二人の提案でしたら、ルーク様の方が適切です」
「はっきり言うなあ……」
ルークは苦笑しながら、父の袖を引いた。
「まず、リナさんが階段から突き落とされそうになった場所へ行こうよ」
「場所は知っているのか?」
「知らない。父さんは?」
「兄上付きの侍従に聞けば分かるだろう。案内させよう」
「そういうときは頼りになるね」
「そういうとき以外も頼れ」
※※※
それから30分後。
3人は、王城西棟の階段前に立っていた。
王太子付きの侍従によると、事件が起きたのは3日前。リナが階段を下りようとした際、背後にいたエレノアに押され、落ちそうになったという。
アルベルトは階段を見上げた。
「ここか」
傾斜はそれほど急ではない。それでも、上の踊り場から転げ落ちれば、大怪我をする高さだった。
「誰か見ていた人はいるの?」
ルークが尋ねると、アルベルトは首を振った。
「いないらしい。今のところ、リナ嬢本人の話しかない」
「押したのがエレノアさんだって、どうして分かったんだろう?」
「よろけたあとに振り返ったら、すぐ後ろにいたそうだ」
「押されるところを、誰かが見たわけじゃないんだね」
「ああ」
ルークは階段を上がり、踊り場に立った。それから数段下り、もう一度上がって周囲を見回す。
「何をしてる?」
「リナさんがどこに立っていて、何が見えたのか考えてる」
踊り場の片側には大きな窓があり、反対側は回廊へ続いていた。壁際には、背の高い細身の花瓶が置かれている。
「ここって、いつも人が少ないの?」
「時間によります」
ライオネルも階段を上がり、回廊の先を確かめた。
「事件があったのは夕刻前だそうです。侍女たちの交代時間と重なりますので、この辺りを通る者は少なくなります」
「誰かに見られずに何かするなら、都合のいい時間だったんだ」
「ええ。ただ、その時間をわざわざ選んだかどうかは、まだ分かりません」
ルークは頷き、花瓶の足元へ視線を落とした。
「これ、最近動かしたのかな」
「どうしてそう思う?」
アルベルトが近づくと、ルークは床を指差した。
花瓶の底を囲むように、薄い埃の輪が残っている。だが、今の花瓶はその輪から少しずれ、壁側へ寄っていた。
アルベルトはしゃがみ込み、指先で輪の端をなぞった。
「確かに、元の位置からずれているな」
「掃除のときに動かしたんでしょうか」
ライオネルの言葉に、ルークは周囲の床を見る。
「それなら、この埃も拭き取るんじゃない?」
「……そうですね。別の理由で動かした可能性はあります」
ルークは花瓶と壁の隙間を覗き込んだ。
その奥に、淡い銀色の細い糸が落ちている。
「あれ、何だろう」
手を伸ばしかけたところで、ライオネルが制した。
「ルーク様、そのままで。私が確認します」
ライオネルは手袋をはめ、糸を慎重につまみ上げた。
その瞬間、糸の表面を青白い光がすっと走る。
「今、光ったよね?」
「ええ、魔力が残っています」
ライオネルは糸を指先に載せ、目を細めた。
「魔導絹糸の一種でしょう」
「魔法に使う糸か?」
アルベルトが尋ねると、ライオネルは頷いた。
「はい。魔力を流すための細い通り道として使います。糸に術式を組み込むこともできます」
「こんな細い糸で、人を縛ったりするの?」
「この糸そのものに、それほどの強度はありません。何かの魔法を働かせるために使ったのでしょう。ただ、何の魔法かは――」
「何をしているのですか?」
背後から声がした。
3人が振り返ると、回廊にエレノアが立っていた。
ルークはアルベルトの袖を引き、小声で念を押す。
「父さん、いきなり問い詰めないでね」
「分かっている」
エレノアが近づき、階段の前で足を止めた。
「アルベルト殿下、なぜ、こちらに?」
「散歩です」
エレノアは、しゃがんだままのアルベルトを見下ろした。
「床の埃を調べながらですか?」
アルベルトは自分の指先を見る。指には、先ほどなぞった埃がしっかりついていた。
「……途中で、少し気になりまして」
「何が気になったのでしょう?」
ルークが隣でじっと見ている。
アルベルトは観念したように立ち上がり、指先の埃を払った。
「リナ嬢の件だ。ここで何があったのか確かめていた」
「私が押したという話ですね」
「ああ、君の話も聞きたい」
エレノアは顔色を変えず、今度はルークへ視線を向けた。
「この子も、一緒に調べているのですか?」
「はい」
ルークが答えると、エレノアはわずかに眉を上げた。
「ずいぶん、しっかり受け答えをするのですね」
「口が達者だって、よく言われます」
「誰に?」
「父さ――」
アルベルトが、ごほんと咳払いした。
ルークは慌てて言い直す。
「親戚のおじさんに」
エレノアは二人を交互に見たが、それ以上は尋ねなかった。
ルークは話を戻す。
「エレノアさん、本当にリナさんを押したんですか?」
「はい、押しました」
ためらいのない返事に、ルークは目を丸くした。
「どうして?」
「身の程をわきまえず、王太子殿下に近づいたことが気に入りませんでしたので」
エレノアは冷たい表情のまま答えた。
「お茶を服にかけたのも?」
「私です」
「それも、リナさんが気に入らなかったから?」
「ええ」
ルークは彼女の顔を見つめた。
言葉ははっきりしている。だが、相手への怒りを口にしているのに、声の調子は少しも変わらない。質問に答えるたび、同じ冷たい表情を保っていた。
「……本当にそう思ってる?」
エレノアの眉がわずかに動いた。
「どういう意味です?」
「さっきから、用意してきた答えを言ってるみたいだから」
「私が嘘をついていると?」
「何か隠してるんじゃないかと思ったんです。たとえば、これのこととか」
ルークは、ライオネルが持つ銀色の糸を指差した。
エレノアの視線が、一瞬だけ糸へ動いた。すぐにルークへ戻ったものの、その口元は先ほどより硬くなっている。
「この糸を知ってるんですか?」
「……なぜ、そう思うのです?」
「今、気にしたから」
「それだけで決めつけるのは早いでしょう」
「うん、だから聞いてるんです」
ルークは花瓶の横へ移動した。
「この花瓶は、少し壁側へ動かしてあります。その裏に、この糸が落ちていました。もしかしたら、何かを隠すために花瓶を動かしたのかなって」
アルベルトも花瓶と階段を見比べる。
「階段の前に糸を張っていたのか?」
「でも、足を引っかけるだけなら、魔法に使う糸じゃなくてもいいよね」
ルークはライオネルへ向き直った。
「これ、どこかにつないで使っていたんじゃない?」
ライオネルは糸の端を調べ、それから手すりの根元へしゃがみ込んだ。
装飾の裏側に指を添え、残っていた小さな繊維を確かめる。
「ここにも同じ色の繊維があります。手すりに結びつけていたようですね」
「反対側は?」
「花瓶の裏か、壁際かもしれません。術式の痕跡も調べてみます」
ライオネルは他の3人に少し離れるよう促し、糸へごくわずかな魔力を流した。
ふわりと、銀色の糸から青白い光が広がる。
「わっ!」
ルークが一歩下がった。
光は細い線に分かれ、空中で網のように重なった。数秒だけ形を保つと、静かに消えていく。
ライオネルは糸を見つめたまま頷いた。
「転落防止用の術式ですね」
「落ちた人を受け止める魔法?」
「はい、人が落ちてくると魔力の網を広げ、身体を受け止めます。受け止める力を広く分散させ、身体の一か所に強い衝撃がかからないようにするものです」
「じゃあ、細い糸で人を支えるわけじゃないんだ」
「ええ。糸は魔法を働かせるためのもので、実際に受け止めるのは魔力の網です」
アルベルトは階段を見下ろした。
「なぜ、こんなものがここに?」
「貴族の屋敷では、幼い子供の転落防止に似たものを使うことがあります。ただ、これは目立たないように細かく加工されています」
ルークはエレノアへ向き直った。
「リナさんを押す前に、これを仕掛けたんじゃないですか?」
エレノアは答えなかった。
「押されたと思わせたかった。でも、階段の下まで落として怪我をさせたくはなかった。だから、先に受け止める魔法を用意した」
アルベルトも彼女を見る。
「本当に傷つけるためではなく、嫌がらせをしたと思わせるためだったのか?」
エレノアは唇を結んだまま、視線を動かさない。
ルークは声を少し落とした。
「人が少ない時間だったのも、この魔法を他の人に見られたくなかったからですか?」
「……」
「お茶のことも、冷めたものを使ったんじゃないですか。服は汚れるけど、火傷はしないように」
エレノアの指先が、ドレスの脇をきゅっとつかんだ。
アルベルトはその手元を見てから、静かに尋ねた。
「エレノア嬢、君はなぜ、自分が悪者になるようなことをしている?」
しばらく、誰も口を開かなかった。
やがてエレノアが、小さく息を吐く。
「知らない方がよいことです」
「そう言われても、見過ごせない。このまま兄上が婚約を破棄すれば、公爵家との関係まで壊れるだろう」
「その心配はありません」
「なぜ言い切れる?」
エレノアは一瞬ためらい、それから答えた。
「父には、すでに話を通しています」
ルークが顔を上げる。
「婚約破棄されるって、お父さんも知ってるんですか?」
「……はい」
「それでも、止めようとしてない?」
エレノアは目を伏せた。
再び顔を上げたときには、作ったような冷たさが少し薄れていた。
「あなたたちは、ずいぶん厄介なところに気づくのですね」
「理由を話してもらえませんか?」
ルークの問いに、エレノアはアルベルトを見る。
「お話しするなら、条件があります。王太子殿下には、まだ伝えないでください」
「理由を聞いてから判断する。内容も知らずに約束はできない」
アルベルトが答えると、エレノアはわずかに苦笑した。
「慎重になられたのですね」
「息子に、余計なことを言うなと叱られたからな」
「父さん!」
ルークが慌てて袖を引く。
アルベルトも、しまったという顔になった。
「……息子のように可愛がっている、この子にな」
エレノアは二人を見比べ、短く息を吐いた。
「そのご事情まで、今は尋ねません」
※※※
4人は回廊を離れ、人のいない小庭園へ移動した。
ライオネルが周囲を確認してから戻ると、エレノアは静かに話し始めた。
「婚約が破棄されるように、私と父で仕向けました」
アルベルトの顔から笑みが消える。
「兄上は、その計画を知っているのか?」
「いいえ、お知らせしていません」
「……嫌な予感がするな」
「まず、最後まで聞こうよ」
ルークが促すと、エレノアは頷いた。
「公爵領で、軍用物資の横流しが行われています」
アルベルトは腕を組むのをやめた。
「規模は?」
「確認できている分だけで、金貨数万枚に相当します」
「それほどか。誰が関わっている?」
「家臣の一部です。ただ、公爵領の者だけではありません。王宮側にも、取引に協力している者がいます」
ルークはエレノアのそばへ一歩近づいた。
「誰なのか、分かってるんですか?」
「まだ、断定できていません」
「それで、婚約を壊すことにしたの?」
「はい、私と王太子殿下の結婚が近づくにつれ、不正に関わっている者たちの動きが慎重になっていました。父が王家の後ろ盾を得て、調査を強めると警戒しているのでしょう」
エレノアは、順を追って説明を続けた。
「そこで、王太子殿下が私を嫌い、婚約を破棄したという形にしようと考えました。父が娘の扱いに怒り、王家との関係も悪くなったと思わせるためです」
アルベルトが頷く。
「王家と公爵家が協力できなくなれば、自分たちへの調査も進まない。そう思わせたいわけか」
「その通りです。止まっている取引が再開されれば、物資の行き先や、王宮側の協力者を突き止められるかもしれません」
「そのために、自分が嫌な人だと思われるようにしたんですか?」
ルークが尋ねると、エレノアは目を伏せた。
「私に非があると思わせれば、王太子殿下が婚約を破棄する理由になりますから」
「じゃあ、リナさんへの嫌がらせは全部演技?」
「……ほとんどは」
「ほとんど?」
エレノアは少しだけ気まずそうに視線を逸らした。
「一度だけ、本当に腹が立って、紅茶をかけました」
「そこは本当なんだ!」
「もちろん、冷めた紅茶です。その日は王太子殿下が私との約束を忘れ、リナ様と観劇へ行かれましたので」
ルークは返事に迷い、頬をかいた。
「……怒るのは分かるけど、お茶をかけるのはよくないと思う」
「ええ、それについては、私も反省しています」
「押すのもだよ。受け止める魔法があったって、リナさんは怖かったはずだから」
エレノアはルークを見つめ、ゆっくり頷いた。
「その通りですね。怪我をさせなければよいと考えていました」
その返事を聞いたルークが少し肩の力を抜く。
ところが、目の前に新しい文字が浮かんだ。
《第2の失敗に変化が発生》
《王宮内支持者喪失率――18%》
「増えた!」
ルークは思わず声を上げた。
アルベルトが身を乗り出す。
「何が?」
「父さんの味方が減る割合! 12%から18%になってる!」
「俺、今はほとんど何も言ってないぞ!」
ルークは文字とエレノアを交互に見た。
「この秘密を知ったから、危険が増えたのかもしれない」
ライオネルも顔を引き締める。
「不正に関わる者にとって、殿下が調査に加われば脅威になります」
「まだ加わると言ってないんだが……」
アルベルトは額を押さえた。
ルークは浮かんだ文字を見つめ、父へ向き直る。
「父さん、今回の失敗って、婚約破棄を止められないことじゃないかもしれない」
「どういうことだ?」
「婚約破棄がおとりだって、父さんがみんなの前で話しちゃったら、悪い人たちも計画に気づくでしょ。そうしたら、証拠を消されるかもしれない」
アルベルトの手が、額からゆっくり下りた。
「俺が兄上を説得しようとして、事情を全部話してしまう。そういうことか」
「うん、だから今回は、誰かに話す前に相談してね」
「俺を何だと思っている」
「7回失敗する人」
「ぐっ……」
アルベルトが胸元を押さえた。
ライオネルは横で頷く。
「その忠告は、覚えておかれた方がよろしいかと」
「お前も追い打ちをかけるな」
エレノアが口元に手を添え、小さく笑った。
ルークはようやく父の袖から手を離す。
「じゃあ、婚約破棄がおとりだってことは秘密にしたまま、裏切り者を探すんだね」
「ああ、ただし、勝手に動くなよ。公爵家の調査とぶつかれば、それこそ計画を壊す」
「父さんもね」
「……分かっている」
そのとき、エレノアの笑みが消えた。
「ただ、一つ問題があります」
ルークは彼女へ向き直った。
「まだ何かあるんですか?」
「王太子殿下のお気持ちです」
「気持ち?」
エレノアは指先を重ね、少し言いにくそうに続けた。
「私たちは、婚約破棄を捜査のために利用するつもりでした。ですが、殿下はその計画をご存じありません。本当に私との婚約を破棄するおつもりです」
ルークは目を瞬かせた。
「……じゃあ、裏切り者を捕まえたあとも、元には戻らないの?」
「今のお気持ちのままであれば、そうなるでしょう」
「どうして?」
「リナ様を、本気で好きになられたからです」
ルークは両手で頭を抱えた。
「ややこしい!」
アルベルトも、深くため息をつく。
「つまり、不正を暴けたとしても、婚約の問題は別に残るわけか」
「はい、父と私が望んだのは、王家と仲違いしたように見せることです。ですが、このままでは本当に関係が悪くなるかもしれません」
「父さん、どうするの?」
「俺に聞くな。兄上の気持ちまで変えられるか」
「でも、王子でしょ!」
「王子だからって、兄の恋愛まで解決できるわけじゃない!」
ライオネルが、二人の間に静かに口を挟んだ。
「まずは、殿下が王太子殿下とエレノア様の双方に、余計なことを言わないところから始めましょう」
「俺が一番の問題みたいに言うな!」
ルークの目の前で、文字が切り替わった。
《第2の失敗まで――残り1日16時間》
ルークは下がりかけた手を止め、その数字を見つめた。
横流しの証拠をつかむには、婚約破棄をおとりとして使わなければならない。けれど、王太子は本気で別の少女を好きになっている。
そのうえ、父が勢いで秘密を話してしまわないよう、気をつける必要もあった。
ルークは手を下ろし、深く息を吐く。
「……1回目より難しくない?」
「人の気持ちが絡んでいるからな」
アルベルトは庭園の外へ目を向けた。
「魔獣の方が、何をしようとしているか分かりやすかった」
「本当にそうだね」
ルークも父の隣で、重いため息をついた。
剣で倒せる敵なら、父に任せられる。
けれど今回は、父がよかれと思って口にする一言まで、止めなければならないかもしれなかった。




