8. やっと中学1年 4月 そして 1月
中学入学後の4月半ば、ヤヨイクリニックからキャンセルが出たと連絡があった。丁度、土曜日で、また父と母とで行った。
医師は女性で、友だちのお母さんにいそうな感じの人だった。もう一人は男の先生みたい。
ビルの2階で、待合室の窓が大きくてすごく明るかった。
本棚に絵本や児童書、付添の大人用なのかビジネス書や児童精神専門書なんかもあった。本棚の上には木製のおもちゃ、パズルもあった。
医師は、ヤヨイ先生は、
『なるべく、毛を抜かないようにしてみることはできそう?』
と聞いた。わたしはうなずいただけ。ちょっと首をかしげた。できるかなぁと思った。それを見て、ちょっと微笑み、
『できたら、やってみてね』
と言った。
1ヶ月後に予約して、初回は終わった。気持ちが楽になる薬が出た。ヤヨイ先生は母に、小児用だから安心してしてくださいと言った。
……で、今に至る。
わたしの登校しぶり中に診察の予約日があった。
ヤヨイ先生は、
『少し休んでいいよ』
と言い、
『学校から問い合わせがあっても、対面以外にはお答えしませんので、予約取ってもらうか、真悠さんの予約日に一緒に来てくださいとお伝え下さいね』
とにっこりして、だけど口調はきつめに母に言った。
『いきなりきちゃう先生がいるんですよねぇ、困っちゃいますよ』
と続けた。
母も母で
『学校の先生って、ちょっと世間知らずですよね』
なんて言って、二人で笑っちゃってんの。
母が月曜日に欠席の連絡を入れたら、大塚先生は出勤してた。
主治医にしばらく休んでいいと、言われたので様子をみたいと言ったら、やはり
「どこの病院ですか?」
と聞かれた。
病院名は言ったが、電話番号などは聞かれなかった。確認しただけだろうけど、ネットで調べられるしね。
夕方、電話があり、今後のことを話し合いたいので、わたしと親御さんとで来てくださいと言われた。
金曜日の部活が終わって、生徒たちが皆帰った後、6時半ごろから面談することになった。
その日は整形外科に行く日だったが、予約は3時半だったので、大丈夫だろう。
実は、母は父に登校しぶりの事を話していなかったが、とうとう(⁉︎)話した。
父はびっくりしてたけど、なんで言わなかったのとか、そんなことより
「ママが行けばいいじゃん」
病院といっしょ…
母は面談に父も行った方がいいのではないかと思っていた。むこうも、いるといないとじゃ、対応も違うだろうからと、父親ではなく“男親”と言った。
また、苦虫顔になって、ブスッとするんだろうね。
なんで言わなかったの、と聞かれなかったけど、なんで行かないのかとは聞かれた。
「いじわるする人たちがいる」
そう言うと
「世の中にはいろんな人がいるよ。いちいち気にしてたら、仕事できないよ」
仕事と言われてもだけど、そんなことわかってる。そんなことはわかってるけど、いやなことはいやなんだ。
わたしも自分がまったく正しいです、とは言わないけど、あいつらは自分達より下の子たちを、なにがなんでもバカにする。些細な事をチクチク刺してくる。
わたしや仲良くしてる友達は、わかりやすく言うと、オタクの集まり。
あいつらはそれをバカにしてる。世間でもそんな感じじゃないですか? 小さな学校の小さな教室の中でもそれはある。
オタクをバカにしてるだけじゃなくて、そこから、なにかっていうと、バカにするネタを探して騒ぐ。
例えば、授業中に指名されてわからなくて、首をかしげただけで『かわい子ぶってる』とクスクス笑いあう。その後の休み時間に首をかしげる真似したりしてる。
例えば、トイレの後、うっかりスカートが捲れ上がってるのを、教えてもくれず指差して笑う。
例えば、知らない上級生に『近寄んな!』と叫ばれる。廊下ですれ違っただけだよ? それで誰なのかも知らない上級生。どうも同じクラスの男子の部活で先輩で、オタクで気持ち悪いとでも話したんじゃない?
わたし達も、アニメやマンガの話を興奮して話してしまうこともある。でも、それはアイドルやかっこいい先輩の話で盛り上がってるあいつらとなんにも変わらないと思う。
それで、たまに、たまーにだけど、そいつらの中に、アニメやマンガ好きなやつがいて、アニメなんかのことを聞いてきたりする。そういう時って、だいたいわたしが1人でいるとき。向こうも1人だけどね。なんなの? おまえらだったら、『話しかけてくんな!』ってやつじゃないの?
ある時なんか、土曜日に家まで来て、コミックス貸して欲しいと言われて貸したけど、なんなの?
都合よく利用しているんだろうけど、図々しいんだよ!




