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ラチサ  作者: 藤ノスエ
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6. 小学6年 秋-2 心療内科

 抜毛が始まった頃、老人ホームに入っていた祖母が骨折して入院したり、そこで別の病気が見つかり、転院したり、その病気だと老人ホームでは対応できず、別の施設を探さないといけなくなったり…

 父と母は急ぎ“療養型病院”を探さないといけなくなった。

 転院した病院も、見つかるまで入院させてくれたり、ソーシャルワーカーさんもいろいろ探してくれたりしたが、どこもいっぱいで、なかなか見つからず。

 受け入れてくれるところは老健ではあったが、大体、3ヶ月くらいで出ないとならない。老健ジプシーして、療養型病院が見つかるまで待つなんて大変だ。

 施設によったら、300人待ちなんて所もある。介護度により、早めにしてくれる場合もあるらしいが滅多にない。


 父と母は休日ごとに、祖母の見舞いと療養型病院の見学に行き、時には平日にも行った。と、なると、わたしは留守番しないといけなくなる。

 母は専業主婦で学校から帰ったら必ずいたから、最初はちょっと不安だったけど、一人でおやつ食べながら、TV見放題、漫画読み放題、昼寝し放題、こんな天国みたいなのある?

 嘘みたいにハッピーでウキウキして過ごしてた。イヌもネコもいたし、全然寂しいとか怖いとかなかった。夕飯の支度ができないから、お弁当やお惣菜を買って来てくれて、食べるのも楽しみだった。


 …この祖母関係の時期と抜毛が重なっていたので、留守番がストレスになっていた、とも考えられたが、母は医師に

『楽しんでたんじゃないかと思うので、違うと思う』

と言った。私も『楽しい』と答えた。

 医師もそう思ったようだけど、それ以上は聞かなかった。

『飲んだらすぐにおさまりますよ』

と薬を処方してくれた。特に次の予約はなくて

『気になることあったらいつでも来てください』

と言った。

 薬飲んだら直ると思っていたんだよね。でも、なんかイヤだなと思っちゃった。だって、そんなすぐおさまるってどういうこと? そんなすぐ治るのかなぁ、と子どもながらにちょっと怖いなぁと思っちゃった。

 そしたら、父も処方箋見て(父も一緒にきて、待合室で待ってた)

『子どもにそれ処方するの変だよ』

と言った。母は

『そりゃ、子ども用になってるんじゃない?』

と、まぁ、それもわかる。父はスマホで調べて

『子どもに処方しないって書いてあるよ』

と母に見せていた。せん妄や凶暴性が出る事があるとか…

 とは言え、薬局でいりませんと言うわけにもいかず、一応もらっといた。

 薬をしまいながら、母は

『戻って先生に聞いてみようよ』

と言うと、父は

『もう行かなくていいよ、予約してないんだし』

と言い

『調べてみるからさ、ちょっと待ってよ』

と別の病院を探すようだった。

 わたしは薬を飲まなくていいと思って、ホッとした。その薬は精神安定剤で、以前、父がちょっと眠れない時があり、かかりつけの内科クリニックで処方され、何回か飲んだらしい。効いたかどうかは知らないけど、それきりやめてしまった。眠れるようになったからだが、それは効いたってことかな。そしたら、祖父も不眠に悩んでいて飲んでたらしい。祖父は小1の冬に亡くなったけど。


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