23. 中学2年 6月-1 図書館
授業も部活も1日だけで、それから行ってないけど、市内巡りの図書館での活動についていくつか提案しといた。
ネットで調べたら、博物館的な役割のコーナーがあり、市の歴史などが学べるらしくーらしくというか、存在は知っていたけど、忘れてたよって感じ。
みんなそんな反応で、あまりにも郊外過ぎて、ホームセンターかショッピングモールかってくらい広いけど、小学校の市内巡りでしか行ったことない…って子は結構いるみたいだった。
わたしも何回か行ったことあるけど、ネットで見て、思い出したくらいだから、みんなとたいして変わらない。ムツキ市の図書館が、ムツキ市駅近くなので、みんなだいたいそっちを利用する。
発掘された土器についてとか、江戸から明治にかけての農機具の歴史とか…そんな感じ…
グループメールでやり取りしてたら、リーダーの小俣のお父さんが市役所の職員で、“市立図書館そのものの成り立ち”を提案してくれたとか。リーダーだし、いいね、いいねってみんな乗っかった。いいのか?
さんざん迷ったけど、市内巡りに参加した。
JRの駅で集合して、それぞれ目的地向かう。JRでムツキ市駅に行き、私鉄に乗り換えて最寄りの駅へ。そこはハズキ市で図書館の最寄駅。そこからバスで30分くらい。
わかっているけど、街中からだんだんと山のほうに進む。
私立高校があって、高いフェンスで囲まれている。そこを回り込むと、図書館が見えてくる。見えて来るが、なかなか近づかない。
周辺は住宅街だけど、バス通りや舗道は図書館へ誘導しているかのように整備されている。
ガス灯っぽい街灯やレンガみたいな舗道、ガードレールは木製かと思うほど良くできている。バス停もこの辺りだけ周囲に合わせてある。テーマパークみたいと誰かが言った。
本当にそうだ。舗道に面した住宅も展示場みたいだ。同じような形のアメリカン住宅みたいで、外壁はパステル調で各家の色は違う、境界は塀やアルミの格子じゃなくて低木が植えてある。だから、庭や建物が丸見えだ。
いつも自動車で裏道通ってたから、全然知らなかった。綺麗な街だなぁと思うけど、やっぱり不便だ。車がないと無理だ。だからか、どこの家も駐車場2台分とってある。
図書館で最初はぶらぶらと歩いた。
広すぎてどうかなと思ったけど、1階は半分くらいは市役所やら年金事務所やらの出張所や金融機関の支店、幼児の遊び場なんかがあった。あとはコンビニとカフェ。カフェは広くて山側がガラス張りになっていて、景色がよかった。
図書館は主に2階部分で、学習室や視聴覚室もあり、なんと学外支援学級“若駒”があった!
廊下の奥まったところにあり、少し手前に“関係者以外立ち入り禁止”の表示があった。知らん顔してたけど、他の子たちは気にも留めてない。
図書館は蔵書数はかなりのものらしいが、閑散としてて、なんだかもったいない。
平日だからだろうけど、窓際の椅子に腰掛けて、新聞や雑誌を読んでいるおじいさんばかりだ。女性も年配の人が多い。
だから、わたし達みたいな中学生の集団が現れて、驚いているみたいだ。でも、察しがいいのか、授業の一環なんだろうなと理解しているのか、あとはもう空気みたいだった。
わたしたちもさすがに小学生でもないので、静寂は保てる。事前にさんざん注意されてたらしいしね。
図書館は元々60年以上前から、市役所の近くにあったが、あまり蔵書がなく、市民からは不満が多かった。
ムツキ市に大きな図書館が40年前にできてからは、利用者が激減してしまった。
今の図書館は20年ほど前にできた。もともと、とある電機メーカーの所有で、私立高校のところに社屋があり、住宅街に研究施設があった。
図書館はグラウンドで陸上競技場や野球場、社宅もあり、そこそこ人は住んでいた。でもまあ、不景気だったり、他のメーカーに遅れを取ったりして、撤退してしまった。
すぐに新しい図書館の建築計画が持ち上がったが、郊外すぎて反対があり、しばらく手付かずだった。
土地の造成は進めていて、時折、何かが出てきたとか話題になったようだが、それほど古くない土器とか登り窯の跡とか。
陸軍がらみか、牧場で馬を放牧してたこともあったらしく、電機メーカーが引き継いでた時期もあったが今はない。
あ、だから“若駒”なの? どーでもいけど。
カフェでランチをとりながら、話しあった。
ハズキ市のコーナーに市史や古い地図があり、貸出禁止だったので、コピー取ったり、スマホで写真撮ったりした。
電機メーカーの社史もあって、かつての風景がいい感じのカラー写真の表紙で、これと今の図書館の全景を載せることにした。
社史の写真は、薄緑の外壁の社屋と真っ青な空、真っ白な雲と遠くの山々がくっきりと写し出されていて、海外の映画やリゾートのポスターにも見え、とても綺麗だった。きっと、遠くからよく見えてたのかもしれない。




